名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

それでも、蓮花は、城の中へと足を踏み入れた。

待っていたのは、煤にまみれ、顔には絶望の色を深く刻んだ、3人の王族の姿だった。

蓮花は、変わり果てた彼らの姿に言葉を失った。煤にまみれ、顔には絶望の色を深く刻んだ彼らは廃人と化し、「悪くない、悪くない……」と虚ろに呟くだけだった。国が滅んでいく様をただ見ていることしかできず、精神が崩壊してしまっていたのだ。

蓮花は久惔に頼み、今にも崩れんとする王城から彼らを助け出してほしいと頼む。久惔は3人を雲に乗せ、城外へ運び出した。崩れかかっている王城を見上げた彼らは、今度は高らかに笑い始めた。久惔の霊で彼らを保護してもらい、久惔と共に蓮花は地下にある牢を目指した。通路を塞ぐ邪魔な瓦礫は、ことごとく久惔が吹き飛ばしてくれた。

「みなさん!遅くなってしまい、すみませんでした!」

そう言いながらたどり着いた地下牢。怪我をしている人はいるものの、全員無事だった。久惔が軽々と牢の鉄柵や鎖を壊し、人々は蓮花の指示のもと外に出る。怪我人は久惔が雲に乗せ、外まで連れ出してくれた。瓦礫を崩しながら地下牢まで進んだせいか、均衡を保てなくなった城はあっけなく崩壊した。

ひとまず王族3人を含む救出した人々を蓮花の育った家まで案内する。