碧嶺と蓮花の意見は、真っ向から食い違ってしまった。
「ならば、間を取ろうか。世話になった者たちに挨拶だけ済ませてくるといい。済み次第、出るぞ」
「はい!」
蓮花は、その言葉に、安堵した。
「ということで、碧嶺もいいか?」
「仕方あるまい。久惔、いましばらくの間、僕と語り合おう。蓮花は皆に挨拶をしてくるといい」
碧嶺の言葉に、蓮花は頷いて部屋を出た。蒼翼と雲覇、そして凛音の顔を見て、挨拶を済ませてから行こうと決めた。
蒼翼と雲覇の居場所がわからないため、蓮花はまず凛音のいる部屋に向かった。コンコン、と扉をノックすると、「どうぞ〜」と、凛音の優しい声が聞こえてきた。
部屋に入ると、凛音と想来がいた。2人は食事中だったため、邪魔をしては悪いと、蓮花は退室しようとした。だが、凛音に呼び止められた。
「どうしたの、蓮花ちゃん」
その言葉に、蓮花は驚き、目を丸くする。
「凛音さん?私の名前、思い出したんですか?」
「あら、本当ね。今までは確かサクさんと呼んでいたのに。それにおかしいわ。霜霞国の王城勤めだったこと、名喪人となりこの翠嶺島で過ごしていたこと、どちらの記憶もあるもの。どうして今まで忘れてしまっていたのかしら。今まで私はこの島生まれのこの島育ちだと思っていたのに」



