名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

そして、彼らを乗せた舶が動き出したとき、ついに霜霞国の最後の審判が下されたのだ。

空は、無数の光の筋で彩られる。それは、人々が夢に見るような美しい流星群ではなかった。空を切り裂く、灼熱の塊。ひとつひとつが、街を、森を、そして命あるものを無慈悲に焼き尽くす、巨大な天墜の礫岩だった。

初めに墜ちた礫岩は門をふさぐように地面に刺さった。そして次々と、轟音と共に大地が裂け、家屋が砕け散る。炎の海と化した街は、焼け焦げた木材と人々の悲鳴が混ざり合い、地獄絵図と化していた。

決断しきれなかった人々や、地揺れや砂の影響をさほど受けなかった貴族たちを、礫岩は襲う。彼らは降り注ぐ礫岩や瓦礫の山を駆け抜け、ただひたすらに、唯一の希望である王城を目指した。

「助けてください!王よ!門を開けてください!」

悲痛な叫び声が、王城の高い壁に虚しく響き渡る。だが、王城の堅牢な門は、彼らの絶望を嘲笑うかのように、固く閉ざされたままだった。王族は、国民や貴族を救うことよりも、自らの安寧を優先したのだ。門の外で、炎に包まれ、瓦礫の下敷きになっていく国民を、ただ冷酷に窓から見下ろすだけだった。

その惨劇は、遠く離れた島々にすら影響を及ぼした。
幻衣によって護られていたはずの島が、激しい揺れに襲われたのだ。