名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

他にも、翠嶺島の島人は、姿を見かけなくなったサク、お前を気にかけていたぞ!界理の御告げのことは、碧嶺から聞いている。あの状況は、あいつらが選んだものだ。成れ果てていく国の姿を、目に焼き付けるしかないんだ。だから、俺たちにできることは何もない」

「そんな!牢に残してきた人たちがいるの!必ず助けるって言ったのに……」

舟は、蓮花だけのすすり泣く声だけが響く。

島に戻ると、凛音さんをはじめとした島人の皆が出迎えてくれた。蓮花の耳飾りは引きちぎられていたため、サクではなく、蓮花本来の姿だった。それでも、今までと同じように接してくれた島人たちの温かさに、蓮花は余計に涙があふれた。

そして、一番慌てていたのは、なんと碧嶺さんだった。蓮花の姿を目にすると、彼はその無事を確かめるかのように、強く抱きしめた。蓮花が、苦しさに耐えきれなくなって声をかけるまで、碧嶺は何度も何度も繰り返す。

「良かった。蓮花が無事で本当に、良かった」

抱きしめていた腕を解くと、それはまるで愛しいものを触るような、優しい手つきで、蓮花の頬に手を添える。そして、目を細めて微笑むのだった。

そして今度は蓮花を叱る。