名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー


王妃も続けて言い放つ。皇帝は、その間、無言を貫いた。彼の無言は、二人と同じ気持ちであることを物語っていた。

国民らの心には、悲しみと、王族への深い怒りが渦巻いていた。彼らは、自分たちがこの国に、もはや必要とされていないことを、痛いほど理解したのだった。

そして、国民たちは、この場にいても飢餓で死ぬか、疫病で死ぬか、どちらにせよ死ぬことは確実だという現実を突きつけられた。

「それならば、私は私らしくありたい!どうせ死ぬのなら、私のままで死にたい!」

そう皆に伝えて、門外へ飛び出していった者がいた。その言葉に感化された人々も、次々に門外へ身を投じる。彼らは、後に、その選択が、自分たちの命を救ったことを知ることになる。だが、今はまだ知らなかった。

そんな国民らより一足先に門外へ出ていた蓮花。いつものごとく、そこには舟と久惔の霊があった。

「ねぇ!霜霞国が大変なの!私にできることってないのかな。悪くもない国民が犠牲になっているのに、何もできなくて……」

蓮花は、久惔の霊に、必死で訴えかける。だが、久惔は、蓮花を諭すだけだった。

「蓮花!よく無事で!俺や碧嶺が、どれだけ心配したことか!