名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー


二度目は、夜なのか朝なのか判断もつかない空模様の中、今度は地面に異変があった。微かな震えが響き、地面の下から、何かがうめいているような、耳障りな低い音が響き渡った。家屋の壁には細かなひびが入り、揺れるたびに心臓を鷲掴みにされるような恐怖が、人々を襲った。

それは一度ではなく、何度も何度も襲ってくる震えだった。民衆の不安をかき消すことはなく、いつ次は揺れるのかという恐怖でいっぱいだった。しかし、この国を統治するはずの王族からの声明さえもなかった。

その地揺れは、蓮花たちが捕らえられている地下牢にも影響を及ぼした。牢の柵の一部がずれ、体当たりでなんとか破ることができた。牢を監視する役の兵士も、この天地変動のため、城から離れているのだろうか。

蓮花は、牢にいる全ての人々を解き放ちたかった。一生懸命引っ張ったり、押したり、体当たりしてみたり。この牢にいる多くの人々は、名喪人になる運命の人らしい。日々捕らえられる人がいるせいで、名喪人にする手続きが追いつかないという。霜霞国の中で帳を扱えるのは、愛されている桔梗ただ一人。あとの者は皆、補佐役なのだそうだ。

蓮花は、非力な力で、揺れと同時に、何とか牢を壊すことに成功した人々とともに、城を抜け出した。