宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―

しばらくして祝宴の席に戻った帝は、再び酒を口にしながら、ぽつりと高頼に問うた。

「先ほどの姫君……」

高頼は笑いを含んだ目で杯を持ち上げる。

「綾子のことですか?」

帝は視線を逸らさず、低く、けれどはっきりと尋ねた。

「綾子は……通っている者がいるのだろうか。」

その声に、杯の縁が小さく鳴った。

高頼は答えず、しばし黙してから、ゆっくりと笑みを浮かべる。

「……やはり、気に入られましたな。」

すると、帝は杯を置き、あっさりと認めた。

「……ああ、気になる。」

素直な言葉に、高頼は思わずクスッと笑う。

「綾子は、先の右大臣の末娘で、私の遠縁にあたります。」

「そうか……」

帝の声は静かだが、確かに熱を帯びていた。

その様子に、高頼は少し悪戯っぽく問いかける。

「今夜、召しますか?」

帝は一瞬驚いたような表情を見せ、照れたように目を伏せた。