宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―

その声に、綾子の心がほどけていく。

帝はもう一度、彼女を組み伏せるように抱きしめ、その唇を塞いだ。

「もっと……抱く」

それは命令ではなく、願いだった。

綾子は頷き、帝の求めに素直に身をゆだねた。

何度も、何度も熱を注がれ、そのたびに体も心も深く満たされていった。

それは、綾子にとっても――間違いなく、幸福と呼べる夜だった。

翌朝、政務の合間を縫って、帝・彰親は右大臣・源雅綱を御前に呼び寄せた。

その顔には、昨夜の余韻と、ひとつの強い意思がにじんでいた。

「雅綱……なんとか、綾子の入内を叶わぬか。」

雅綱はその言葉に、ふっと口元を緩めた。

その様子で、昨夜がいかに深く心を通わせた夜だったか、察した。

「……今夜も、綾子を召したい。」

それは、帝・彰親が即位して以来、初めて“何かを欲した”と明確に口にした言葉だった。

その事実に、雅綱は静かな感動すら覚えていた。

「召しませ。綾子は……今夜もお伺いすると申しております。」