宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―

綾子はその様子に気づいたのか、静かに一歩、また一歩と近づいてくる。

やがて帝の前に膝をつき、柔らかく、ふわりと自らの胸の中へと帝の肩を引き寄せた。

「……帝……」

その声は微かに揺れていたが、香の香りとともに、彼女の温もりが帝を包み込んでいく。

上品で、清らかで、それでいてどこか妖艶なその香り――まるで心までも支配されそうだった。

「……これは、情熱的な誘いだな。」

帝が低く囁くと、綾子の体が微かに震えていた。

それは羞じらいか、それとも――同じ熱を抱いている証か。

帝はそっと、彼女の背に手を添えた。

その細い肩に宿る震えごと、すべてを抱きしめたいと思った。

「……早く、抱いてください。」

その言葉に、帝・彰親の手が止まった。

綾子の顔を見れば、そこには妖艶な微笑みではなく、どこか哀しげな影が宿っていた。

「……どうして、そんなに悲しい顔をするのか。」