悪党だらけの乙女ゲームに転生したけど、×亡しすぎて残機が足りない!(溺愛もあるよ★)

 問い返す私に紅龍様は決定事項のように強い口調で繰り返す。

 「ワタシ、オマエ以外の女はイラネーからな。なら、ガルー達をユリにあてがえばいい。それで納得いかねーなら、マユコは殺す」

 ユリちゃんまで殺せばゲームのシステムの根幹に問題が出そうだからという理由で死を免れてたけど、どっちにしろ何という俺様な提案!
 納得いかずに私は反論していた。

 「で、でも紅龍様! あの子達、ユリちゃんをニガテに思ってるから、そんな、あてがうとか……! ガルーもサングレもアリアもキレちらかしそうじゃないですか! 茨鬼君は泣き叫びそうですし!」
 「……」
 そこで紅龍様が空気をひりつかせる。

 壁際に追い込まれて、腕で囲まれた。

 か、壁ドンや!!

 最推しからの壁ドンに目をハートにしたけど、紅龍様はドスの利いた声で続けた。

 「……私は、お前だけを欲しいと言っているのに、お前は他の男まで欲しがるのか?」
 「で、でも紅龍様、ハーレム作ってOKって前に言ってたじゃないですか!」
 「バカヤロー! 浮気はOKでも本気はNGに決まってんだロ!!」

 でもだからといってガルー達をユリちゃんにあてがうとか、人権を無視したこと、今の私には出来なかった。
 少し前の私なら『ゲームのあるべき姿!』としてガルー達をユリちゃんとくっつけたがったけど……。
 あの子達と関わる内に、個人の意思があり、好き嫌いもしっかりある存在なのだとわかったのだ。

 それを必死に紅龍様に説明するけど、通じてるかなぁああああ~~~~~~~~!!??

 「ほ、紅龍様、オゥフッ、ガルー達はですね、デュフゥ」

 しどろもどろ話していると、紅龍様のこめかみに銃がつきつけられた。

 えっ?

 視線を巡らせると、そこに立っていたのはガルーだった。

 「なんで居るの!?」
 思わず声を上げると、ガルーは「居ちゃ悪ィのかよ」と紅龍様を睨みつけながら言う。
 紅龍様が睨みつけるも、ガルーは低い声で告げた。

 「……惚れた女が困ってるっつうのに、見過ごすほど腐ってねぇよ」

 そう口にするガルーに紅龍様は溜息をつくと、私から離れて歩き出した。
 そして紅龍様は眉間を寄せて唇を噛むと、去り際に言い残す。

 「いいか、ディディ。私はお前を愛している。……他の何を引き換えにしても惜しくない程にな」
 「で、でもだからって、大事な子達の意思を無視したことは出来ません! かといって、マユコさんを安易に殺すとかも私は反対です。彼女もマフアクを愛してる同志ですし!」
 「……」

 去ってゆく紅龍様の背中を見ていると、ガルーが話しかけてきた。

 「手前がジジィに逆らうなんざ、珍しいじゃねぇか」

 心配してくれているようだった。
 けど、マユコさんのことや紅龍様の発言をガルーに伝えれば

 『メンドくせぇなぁ……。ジジィもマユコも殺せばいいだろうが……』(チャキッ←銃を

 となる予想しかつかなかった。(ついでみたいに紅龍様も殺そうとするはず!)

 コイツは紅龍様の跡を継ぐ鬼畜マフィアとも言われてるんだわ! だ、黙っとこ!

 とりあえず考えることはいっぱいあるけど、なんでアンタが此処にいるのよと言いかけて、ガルーが銃を持つ手とは逆の手に、トイレットペーパーを持っているのが見えた。

 「なんで?」
 ペーパーを指さして問いかけると、ガルーが「ん」と差し出してくる。

 「アリアが店中のトイレットペーパー買い占めたが、多すぎて手前の所まで持って行けねぇっつうから、オレが呼び出された。手前にさっさと紙届けろとよ」
 「え」
 「足りねーなら、アリアが来るまで待ってろよ」
 「……」

 アリアぁああぁあぁぁあああぁぁぁぁあああぁぁああああああ!!!!!!
 は、恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!////////////
 どんだけトイペ消費する女と思われてんのよ! そんなわけないでしょ!!

 顔を覆っていると、アリアが馬車を引いて砂埃を上げながらダッシュで駆けつけた。
 荷台には大量のトイペが……!!

 「シスター! 大丈夫か!」
 「大丈夫じゃないわよ!(色々と)」
 「そ、そうか……。それでも私は、シスターを愛してる」
 「雑に慰めつつ女を口説くんじゃない!」

 こうして紅龍様とギクシャクしたまま、私は問題を抱えたまま帰宅することになるのだった……。