「なぁ、ガルー。最近のディディ、ちょっとワタシの扱いが雑じゃねーかヨ?」
ディディが不在の私室、その窓際の椅子に座っているガルーにベッドの上で寝転がりながら問いかける。
ガルーは新聞から視線を上げると、片目を眇めて返答した。
「は? 知らねーよ。クソが」
殴りたい態度で返されたが、いちいち殴っていたらガルーが死ぬ。鎮まれワタシの拳……!
と考えている間にガルーを殴り倒していたらしい。
テーブルに突っ伏している彼に「ワリーワリー。ワタシの黄金の左手が仕事したワ!」と雑に謝ると、ガルーは舌打ちしながらも雑談に付き合ってくれた。持つべきものは可愛い弟子である♥
そんな可愛い弟子曰く……。
「雑とか以前に、手前、昔は女の匂いプンプンさせてやがった癖に、アイツへの義理立てか操立てか知らねぇが、急に女断ちすりゃあ溜まるモンも溜まるってモンだろうが。それで変に考え込んでるだけだろ。サングレのシマにゃ娼館がごまんとあるから、そこらで女抱いてこいよ。一発抜けば気も鎮まるだろうよ」
「おい一発抜けとかマジふざけんなヨ! 一応コレ全年齢だからそういう薄汚いネタ止めろよナ!」
昔は可愛かった弟子が汚い大人になったショックのあまりまた殴ってしまったが、確かにここ20年ほど女を抱いていない。
昔は1日たりとも女を切らしたことがないというか、女の方が『紅龍様~♥』と近づいてくるのだ。懐かしさにしみじみと頷く。
「でもヤッてねぇプレイねぇわってくらい、ヤリまくってたよナ~。当時のワタシ~」
「サムイ自慢やめろよ。サムイ」
「夜の帝王と呼ばれたワタシが、まさか女一人に振り回されるとはナ~」(ガルーを殴りつつ)
まぁ、それも仕方ない程にディディは可愛い。
好色な自分がディディ以外の女は生涯抱かないと決めるくらいには惚れている。
そう、ディディは可愛い……と紅龍はディディとの思い出を反芻してみる。
『ガーハハ!』と笑いながらガルー達をギャンブルですっぽんぽんにしていたり……
変態にビンタしながら変態的な演説をして自分の使徒にしてしまったり……
今日の下着がベージュだから巻き戻して出直してこいとか言ってきたり……
仮にもマフィアのボスの自分に、イモばっかり差し入れしてきたり……
野太い声で叫んだかと思えば、裏声できゃぴるん(死語)してきたり……
幼女に『そこらへんで花を摘みな!』と親指クイッとしていたり……
(あれ……? もしかしなくても、アイツ、おかしい女カ?)
もしかしなくてもおかしい気がしたが、ディディの魅力は見た目の美しさだけでない。
というより、自分は女に見た目は求めていない方だった。
誰でも殺せて時間も巻き戻せる紅龍にとって『予想が出来る』『退屈』ほど嫌いなものはない。
その点、ディディは誰よりも予想外で退屈させない女だった。
イザという時は自分にも意見してくるような勇ましさも好ましいし、ああ見えて母性も溢れているので、自分が分解されて死にかけた時に付き添ってくれたのは嬉しすぎた。
どんな女も最終的に紅龍を捨て去る中、ディディだけは共に死ぬと覚悟を決めてくれたのだ。
ま、まぁ、多少、男に気が多いかもしれないが、ガルーやサングレといった並み居る美男子よりも自分が最も魅力的な異性なのだと示せばいいのだと心を鎮める。
飽き性で女たらしの自分が『こいつ以外の女は要らない』と思える程に、飽きないし可愛い女を想うと、まるで思春期の少年のように心が新鮮に弾む。
「とか言ってたら、ディディに逢いたくなってきたよナ」
「童貞かよ」
「誰が童貞やねん! ディディ可愛いだろうがヨ!」(ガルーを殴りながら)
そう問いかけると、ガルーは新聞を畳んでテーブルに投げおくと、サラッと告げた。
「ああ。良い女だよ。わかりきってること聞くんじゃねーよ」
そう言って煙草を取り出すガルーは、男の色気と余裕に溢れた青年に成長していた。
こういう『オレ、女にキョーミないんで~』みたいなヤツがスケこましまくるんだよなと紅龍は思いつつ、ディディの帰りを今か今かと待つのであった。
ディディが不在の私室、その窓際の椅子に座っているガルーにベッドの上で寝転がりながら問いかける。
ガルーは新聞から視線を上げると、片目を眇めて返答した。
「は? 知らねーよ。クソが」
殴りたい態度で返されたが、いちいち殴っていたらガルーが死ぬ。鎮まれワタシの拳……!
と考えている間にガルーを殴り倒していたらしい。
テーブルに突っ伏している彼に「ワリーワリー。ワタシの黄金の左手が仕事したワ!」と雑に謝ると、ガルーは舌打ちしながらも雑談に付き合ってくれた。持つべきものは可愛い弟子である♥
そんな可愛い弟子曰く……。
「雑とか以前に、手前、昔は女の匂いプンプンさせてやがった癖に、アイツへの義理立てか操立てか知らねぇが、急に女断ちすりゃあ溜まるモンも溜まるってモンだろうが。それで変に考え込んでるだけだろ。サングレのシマにゃ娼館がごまんとあるから、そこらで女抱いてこいよ。一発抜けば気も鎮まるだろうよ」
「おい一発抜けとかマジふざけんなヨ! 一応コレ全年齢だからそういう薄汚いネタ止めろよナ!」
昔は可愛かった弟子が汚い大人になったショックのあまりまた殴ってしまったが、確かにここ20年ほど女を抱いていない。
昔は1日たりとも女を切らしたことがないというか、女の方が『紅龍様~♥』と近づいてくるのだ。懐かしさにしみじみと頷く。
「でもヤッてねぇプレイねぇわってくらい、ヤリまくってたよナ~。当時のワタシ~」
「サムイ自慢やめろよ。サムイ」
「夜の帝王と呼ばれたワタシが、まさか女一人に振り回されるとはナ~」(ガルーを殴りつつ)
まぁ、それも仕方ない程にディディは可愛い。
好色な自分がディディ以外の女は生涯抱かないと決めるくらいには惚れている。
そう、ディディは可愛い……と紅龍はディディとの思い出を反芻してみる。
『ガーハハ!』と笑いながらガルー達をギャンブルですっぽんぽんにしていたり……
変態にビンタしながら変態的な演説をして自分の使徒にしてしまったり……
今日の下着がベージュだから巻き戻して出直してこいとか言ってきたり……
仮にもマフィアのボスの自分に、イモばっかり差し入れしてきたり……
野太い声で叫んだかと思えば、裏声できゃぴるん(死語)してきたり……
幼女に『そこらへんで花を摘みな!』と親指クイッとしていたり……
(あれ……? もしかしなくても、アイツ、おかしい女カ?)
もしかしなくてもおかしい気がしたが、ディディの魅力は見た目の美しさだけでない。
というより、自分は女に見た目は求めていない方だった。
誰でも殺せて時間も巻き戻せる紅龍にとって『予想が出来る』『退屈』ほど嫌いなものはない。
その点、ディディは誰よりも予想外で退屈させない女だった。
イザという時は自分にも意見してくるような勇ましさも好ましいし、ああ見えて母性も溢れているので、自分が分解されて死にかけた時に付き添ってくれたのは嬉しすぎた。
どんな女も最終的に紅龍を捨て去る中、ディディだけは共に死ぬと覚悟を決めてくれたのだ。
ま、まぁ、多少、男に気が多いかもしれないが、ガルーやサングレといった並み居る美男子よりも自分が最も魅力的な異性なのだと示せばいいのだと心を鎮める。
飽き性で女たらしの自分が『こいつ以外の女は要らない』と思える程に、飽きないし可愛い女を想うと、まるで思春期の少年のように心が新鮮に弾む。
「とか言ってたら、ディディに逢いたくなってきたよナ」
「童貞かよ」
「誰が童貞やねん! ディディ可愛いだろうがヨ!」(ガルーを殴りながら)
そう問いかけると、ガルーは新聞を畳んでテーブルに投げおくと、サラッと告げた。
「ああ。良い女だよ。わかりきってること聞くんじゃねーよ」
そう言って煙草を取り出すガルーは、男の色気と余裕に溢れた青年に成長していた。
こういう『オレ、女にキョーミないんで~』みたいなヤツがスケこましまくるんだよなと紅龍は思いつつ、ディディの帰りを今か今かと待つのであった。



