……と考えていたんだけど、そもそも何でこの子達、私に迫ってるわけ?
 私は三人を落ち着かせるように両手を出しながらも、真顔で問いかけた。

 「あ、あのね、私、あなた達より、ずっと年齢が上なのよ? 紅龍様と同じくらいの年齢なのよ? こんなおばさんに迫ってるのおかしいでしょ?」

 年齢のことは自分で言ってて辛いけど、20年も寝ていたなら、相当に老けて……と思っていたら、アリアが無表情で首を振った。そして私の手を両手で握りしめてくる。

 「愛に年齢は関係ない。私が添い遂げたいのはシスター・ディディ、貴女だけだ」

 どっきーん♥と胸が高鳴った。

 こんなイケボの美形にプロポーズされて平常心でいられる!?(反語)
 しかも次にガルーが私の顎をとり、クイッとしてから口説いてくる。

 「馬鹿。本気で惚れた女のトシがどうこうで冷めるような、ヤワな惚れ方してねぇよ」

 どっきーん♥と、また胸が高鳴る。

 くっ、悔しいけど、流石マフィアクター最人気のガルー! 男の色気が凄い!!
 そして更に、ジタバタしてる私にサングレが胸ポケットから出したコンパクトを開けて向けてきた。

 「心配しなくとも、シスターはあの日のまま変わっていませんよ。まぁ、変っていたとしても俺の気持ちは微塵も変わりませんが」

 どっきーん♥
 くっ、くそっ! キザなセリフが似合う程に色気ムンムンなサングレ! そんな彼が差し出したコンパクトのミラーには、見覚えのある悪女の顔が映っていた。

 「わ~! 若いままだ! よ、良かった~!」

 安堵してから、皆に問いかけた。

 「ねえ! 私が助かったのはともかく、紅龍様は!? 紅龍様は仕事してるって言ってたけど、本当に無事なの!? って、何よその『またそいつの話題か……』みたいなカオは! 仕方ないでしょ! 私の推しは紅龍様なんだから!」

 プンスコしながら問いかけると、ガルーとサングレはそれぞれ反抗的な態度をとりだした。

 ガルーはニヤニヤ笑いながら「知らねぇなぁ? あんなロートルのことはよぉ」と腕組みする。
 サングレは「本当、どうでもいいですよね。あのいつまでもボスの座に居座ってる年寄りのことは」と不機嫌そうにそっぽを向く。

 それどころかガルーとサングレは、イジワルそうに話し出した。

 「あのジジイのことだ。どうせまた女連れ込んでんだろ」
 「ですよね~? 幾つになってもお盛んですから~?」

 ぐぬっっっ!!

 推しが愛人を囲いまくってるのは知ってるけど、せめてもう少し……こう、引きずっててほしかった! 私が眠った後もしばらく……50年以上は引きずっててほしい!!

 でもアリアだけは真面目に「師父は元気だ。ただ、領土を拡大したから、最近忙しいようだ」と教えてくれた。

 と、同時に「誰がロートルで年寄りなんだヨ!」と凄まじい怒声と共に教会のドアが蹴り開けられる。
 えっ!?