突然のガルーのセリフに私は目を白黒させてしまう。
 ふ、風呂!? そりゃあ昔、薄汚れてたこの子達をブチこんだことあったけど……!
 思い出していると、サングレがにんまり笑いながら頷いた。

 「そういえば、そうでしたねぇ~? シスターには、大変お世話になりましたし? これは隅々まで洗って差し上げないとですよねぇ~?」
 「ファッ!? サングレ、あなた、そんな子だったっけ?」

 『しすたぁ~!!』と笑顔で追いかけてきていたピュアッピュアな子が、エロいイケメンになって……(涙)
 いや、ゲーム本編ではコレが正史だ! 無駄に色香を垂れ流して誘ってくる!

 「フッ。安心してください、シスター。俺の縄張りにはカジノ以外にソープも沢山あるので、そこらへんの作法は知ってますよ? 貴女を満足させられるくらいには、男を磨いてますので」

 クスクス笑ってるんですけど!
 ふ ざ け ん な ド ス ケ ベ が! と言いたいのに、サングレの色気が凄すぎて言えない!
 更にサングレの言葉にアリアも洗う気まんまんで、何処からともなくスポンジを出して近づいてきている!

 「安心しろ。シスター・ディディ。私は、そこらへんの野良猫ちゃんを洗うのが上手だとご近所の皆さんにも有名なくらいの腕前だ。シスターのことも、上手く洗ってみせる」
 「ちょ、待てよ!」
 「嫌だ。待たない。シスター・ディディは可愛いから、早く洗いたい」

 かわっ……!?//////

 やだ、止めなさいよ~! 
 可愛くて美しいとかホントのこと言わないでよ~! とアリアの腕をどついたけど、そうじゃなくて!
 アリアは天然ボケとムッツリスケベぶりに磨きがかかってきてない!?

 私は追い詰められた野良猫ちゃんのように教会の片隅に、じりじり後ずさる。
 しかし、デカい男三人がズンズン近づいてくる!!

 しかも近づきながら全員が上着を脱いで……!?
 何だその準備の良さはオイ!!
 これがエロゲ特有の『いつ脱いだか不明の攻』ゾーンに入っているのか!?

 いやいやいやいや! 全員に風呂スチルあったけど、それユリとのやつでしょ! ユリと洗いっこしてたイベントをモブの私に流用するな! 

 と考えて私は思い出した。

 「いや、それ私じゃなくてユリとやりなさいよ! ていうか、ユリとはどうなったのよ! 勿論、ラブラブな日々を過ごしてるんでしょ? アンタ達、お似合いだったし!」

 聖女ユリの話題を振ると、ぴたりと三人の動きが止まる。

 そしてガルーは額をハンマーで殴られたみたいに頭部を押さえているし、サングレはワサビたっぷりの寿司を食べた人みたいにツーン顔になってるし、アリアは散歩を嫌がる柴犬みたいな表情になっていた。

 い、一体、何が……?

 そしてガルー、サングレ、アリアが告げた。

 「……あの性女の話題を出すんじゃねぇ。あいつ、俺の姿を見る度に奇声あげてくんだよ」
 「あのクソビッチ、本当に×××で××が×××ですよねクソが」←放送禁止用語のスラング
 「……私は、ユリは、苦手だ……」←シワシワ柴犬顔で

 ……この子達にこれだけディスられるって、ユリは一体何したのよと思ったけど、全員が言いたがらないので、きっと相当のことをやらかしたのだろう。

 それにしても……。

 全員が半裸で立ち尽くしてるけど、ゲーム本編でも魅せていたように、それはもう立派な肉体美を誇る大人の男に成長していた。

 ガルーは厚い胸筋を晒しており、割れた腹筋に濃い陰影が落ちている。背中から腕までタトゥーがゴッソリ入っているあたり、マフィアの男感が凄い。

 サングレは細身でありながら、褐色の艶肌は程よく筋肉がついていた。背には腰から項まで一本の薔薇のタトゥーが入っており、彼の耽美な美しさを引き立てている。

 アリアはガルーに次ぐ厚い胸板でありながら、女性用のスカートを履いている倒錯的な姿が妙に色っぽい。吐息の度に動く喉仏が更に彼の色香を増して見せており……。

 ……って、ゲームのキャラが三次元になったら、こんなに美しいワケ!?
 なんて顔を真っ赤にしていた私。
 その姿が三人には何か良かったのか知らないけど、伸びてきた腕で壁にドンされた!

 ガルーとアリアが左右から、サングレが正面からという三人の超絶美形のトリプル壁ドンに私は冷や汗を垂れ流すしかなくて……ど、どうすりゃいいのよ~!!??