そう、聖女ユリはその癒しの異能でもって、ガルー達のケガを治癒することで関係を深めてゆく。(ありがちと言うなかれ)
好感度イベントの中に『敵対組織の暗殺者の異能攻撃を受けて、存在を消されかける紅龍様』という特大イベントがあるのだ。
その異能攻撃は『触れた相手を最初から居なかったことにする』というもの……!
しかも異能攻撃を受けた相手に触れると、触れた人間まで『居なかった』扱いになる、チートスキルなのだ。
ゲーム内では紅龍様の巻き戻しも間に合わず、彼が存在を分解されてゆく中、ユリが自身の危険を顧みずに異能を使い、紅龍様を助けることでフラグが立つんだけど……。
「あのバカ聖女だったら、絶対ムリじゃない!」
私は教会の礼拝堂で筋トレ(腹筋)しながら怒鳴り倒していると、足を押さえてくれていたサングレがホロリと涙をこぼした。
「うぇえん、シスターが、鬼瓦みたいな、こわいカオしてるよぉ。でも、そんなシスターも、ぼく、だいすきだよぉ、ケッコンしようよぉ」
ディスるか告るか、どっちかにしなさい! と言いたいのを堪えて、私はあの日からひたすらガルーたちと教会周辺を走り込んだり、筋トレしたり、金属バットで不審者を殴打する練習をしていた。
ガルーが同じように腹筋しながら呆れ顔で告げる。
「こんどはまた、なにやらかすつもりなんだよ。おもしれー女」
ガルーの足をおさえていたアリアが頷いた。
「わたしの妻は、いつもまえむきで、みりょくてきだ」
あ、あら♥やだ♥アリアったら、良い子ね♥(ころっ)
私が歯を光らせながらマッスルスマイルを浮かべると、教会の扉が開いて紅龍様が姿を見せた。……えっ?
「ヨー! やってるかヨー」
片手をあげる紅龍様に、私は飛び起きた。(サングレがコロンと転がる)
「紅龍様!? ど、どうして……」
紅龍様には『聖女が性女で役に立ちそうにないので、絶対に一人で出歩いたりしないでくださいね! もしもの時はモブ黒服を盾にしてください! チートスキルの暗殺者がくるので! 触れた相手の存在を分解してくるんですよ!』と何度も何度も伝えておいたのに、何で普通に散歩してるんですか!
しかし私の問いかけに紅龍様はカラカラ笑った。
「ワタシ、今まで自分より強い相手と出逢ったことないヨ。そいつがそんなにヤリ手なら、手合わせして正面から殺してやるまでヨー」
そういうサイヤ人みたいな発想いいんで!! 運命力という名のシステムが働いちゃいますから! と必死に止めてるのに、何故か紅龍様は鼻歌混じりにのんびりとしている。
仕方ないから私が頑張るしかない!
無能だけど、いないよりマシでしょ! と、ちびっこ達と遊ぶついでにトレーニングとして教会内で千本ノックをしていると、紅龍様が何故か自虐的に笑った。
その時に、ぽつりと聞こえた気がしたのだ。
「私が消えても、喜ぶ者しかいないのだ」と……。
好感度イベントの中に『敵対組織の暗殺者の異能攻撃を受けて、存在を消されかける紅龍様』という特大イベントがあるのだ。
その異能攻撃は『触れた相手を最初から居なかったことにする』というもの……!
しかも異能攻撃を受けた相手に触れると、触れた人間まで『居なかった』扱いになる、チートスキルなのだ。
ゲーム内では紅龍様の巻き戻しも間に合わず、彼が存在を分解されてゆく中、ユリが自身の危険を顧みずに異能を使い、紅龍様を助けることでフラグが立つんだけど……。
「あのバカ聖女だったら、絶対ムリじゃない!」
私は教会の礼拝堂で筋トレ(腹筋)しながら怒鳴り倒していると、足を押さえてくれていたサングレがホロリと涙をこぼした。
「うぇえん、シスターが、鬼瓦みたいな、こわいカオしてるよぉ。でも、そんなシスターも、ぼく、だいすきだよぉ、ケッコンしようよぉ」
ディスるか告るか、どっちかにしなさい! と言いたいのを堪えて、私はあの日からひたすらガルーたちと教会周辺を走り込んだり、筋トレしたり、金属バットで不審者を殴打する練習をしていた。
ガルーが同じように腹筋しながら呆れ顔で告げる。
「こんどはまた、なにやらかすつもりなんだよ。おもしれー女」
ガルーの足をおさえていたアリアが頷いた。
「わたしの妻は、いつもまえむきで、みりょくてきだ」
あ、あら♥やだ♥アリアったら、良い子ね♥(ころっ)
私が歯を光らせながらマッスルスマイルを浮かべると、教会の扉が開いて紅龍様が姿を見せた。……えっ?
「ヨー! やってるかヨー」
片手をあげる紅龍様に、私は飛び起きた。(サングレがコロンと転がる)
「紅龍様!? ど、どうして……」
紅龍様には『聖女が性女で役に立ちそうにないので、絶対に一人で出歩いたりしないでくださいね! もしもの時はモブ黒服を盾にしてください! チートスキルの暗殺者がくるので! 触れた相手の存在を分解してくるんですよ!』と何度も何度も伝えておいたのに、何で普通に散歩してるんですか!
しかし私の問いかけに紅龍様はカラカラ笑った。
「ワタシ、今まで自分より強い相手と出逢ったことないヨ。そいつがそんなにヤリ手なら、手合わせして正面から殺してやるまでヨー」
そういうサイヤ人みたいな発想いいんで!! 運命力という名のシステムが働いちゃいますから! と必死に止めてるのに、何故か紅龍様は鼻歌混じりにのんびりとしている。
仕方ないから私が頑張るしかない!
無能だけど、いないよりマシでしょ! と、ちびっこ達と遊ぶついでにトレーニングとして教会内で千本ノックをしていると、紅龍様が何故か自虐的に笑った。
その時に、ぽつりと聞こえた気がしたのだ。
「私が消えても、喜ぶ者しかいないのだ」と……。



