◆◆◆
子供たちが寝静まってから私は礼拝堂の椅子に腰かけて異能に関する本を読み漁ってみた。
異能は大体は大人になるまでに使いこなせるようになるらしい。
それと基本的に、使用者本人を傷つけない力なのだとか。
そういえばガルーもサングレも自分の能力でケガはしてないもんね。
けれど稀にアリアのように代償が必要なくらい、威力が強大なものもあるという。
だからといってガルーのパイロキネシス、サングレの皮膚硬化が弱いわけでは決してない。
(私は何度もガルーに火傷させられたし、サングレに刺されたからね! 超痛かったわ~!)
彼らを育てた人たちも最初から、この強い力をもつ子たちを疎んでいたわけではないのだろう。
ただ、夜泣きの度にシーツを破ったり焼いたり、子供らしく駄々をこねると刃物や炎が出てくる子供たちは、いつしか恐れられ、石をなげつけられたりと迫害の対象になったのかも……。
ちなみに力が暴走するのは精神が乱れる時なんだって。
「なんだかんだで、お母さんが恋しい年齢よねぇ……」
さっきガルーが出火した時、サングレがお母さんから捨てられた話をしていたとのことだった。
ガルーは『自分は違う、必ず母親が迎えに来てくれる』と思っていても、不安なのかもしれない。
ていうか、ガルーの父もサングレの父もアリアの父も、妻子捨てすぎじゃない?
そこはワンパターンすぎでしょとシナリオライターにツッコみたい。
流石にマフィアクターの舞台(通称マフステ)ではガルーの父は病死扱いになり、ガルーはお父さんの病気が伝染り、眼病で片目を失ったとか、より設定が鬱展開に改変されてたけど。
なんでそう、鬱方面にだけ思い切りが良いのよ!
とかなんとか本を読んだり考え込んだりしてる内に、居眠りしてしまったらしい。
どれくらいの時間が経過したのかわからないけど、私は微かな物音で意識を取り戻した。
「……ふが!」
鼻提灯が割れた勢いで飛び起き、音の方向を確認してみる。すると……。
「ガルー……」
礼拝堂の片隅、暖炉の中で子猫のように丸くなって眠っているガルーの姿があった。
ここなら仮に力が暴走しても大丈夫と子供なりに思ったのだろう。
灰まみれになりながら、くうくうと小さな寝息をたてているガルーに私は目から、ぶわっと涙が出るのを感じた。
くっ……! 年とると涙腺に決壊癖が……!
ガルーをここから引っ張り出しても、また周りを巻き込まないようにと一人で篭ってしまうだろう。
なら……お供してやんよ!!
私は自分の枕や毛布を持ってくると、暖炉の前に寝転がる。
ガルーに毛布を着せようとした時、小癪な小僧は目を覚ました。
そしていつもの憎まれ口を叩いてくる。
「……なにしてんだよ。おとこの寝込みをおそうほど、よっきゅうふまんか?」
本当に何処でこういうセリフを覚えてくるのかしら?
私はガルーの真ん前で毛布にくるまって告げる。
「お生憎様! 私は既に紅龍様という超絶カッコ良くてセクシーで百年に一人の推しピがいるんですからね! 子供はお呼びじゃないのよ!」
「おれのまえで、ほかの男のはなしをするなんて、おもしれー女だ」
「私、アンタの前で紅龍様の話しかしてないと思うんですけど!? ほら、早く寝なさい! 明日はイモ掘りするんですからね!」
そう言って私がガルーの肩をぽんぽんと叩くと、ガルーはそのまま安堵したような表情で眠りに落ちていった。
子供たちが寝静まってから私は礼拝堂の椅子に腰かけて異能に関する本を読み漁ってみた。
異能は大体は大人になるまでに使いこなせるようになるらしい。
それと基本的に、使用者本人を傷つけない力なのだとか。
そういえばガルーもサングレも自分の能力でケガはしてないもんね。
けれど稀にアリアのように代償が必要なくらい、威力が強大なものもあるという。
だからといってガルーのパイロキネシス、サングレの皮膚硬化が弱いわけでは決してない。
(私は何度もガルーに火傷させられたし、サングレに刺されたからね! 超痛かったわ~!)
彼らを育てた人たちも最初から、この強い力をもつ子たちを疎んでいたわけではないのだろう。
ただ、夜泣きの度にシーツを破ったり焼いたり、子供らしく駄々をこねると刃物や炎が出てくる子供たちは、いつしか恐れられ、石をなげつけられたりと迫害の対象になったのかも……。
ちなみに力が暴走するのは精神が乱れる時なんだって。
「なんだかんだで、お母さんが恋しい年齢よねぇ……」
さっきガルーが出火した時、サングレがお母さんから捨てられた話をしていたとのことだった。
ガルーは『自分は違う、必ず母親が迎えに来てくれる』と思っていても、不安なのかもしれない。
ていうか、ガルーの父もサングレの父もアリアの父も、妻子捨てすぎじゃない?
そこはワンパターンすぎでしょとシナリオライターにツッコみたい。
流石にマフィアクターの舞台(通称マフステ)ではガルーの父は病死扱いになり、ガルーはお父さんの病気が伝染り、眼病で片目を失ったとか、より設定が鬱展開に改変されてたけど。
なんでそう、鬱方面にだけ思い切りが良いのよ!
とかなんとか本を読んだり考え込んだりしてる内に、居眠りしてしまったらしい。
どれくらいの時間が経過したのかわからないけど、私は微かな物音で意識を取り戻した。
「……ふが!」
鼻提灯が割れた勢いで飛び起き、音の方向を確認してみる。すると……。
「ガルー……」
礼拝堂の片隅、暖炉の中で子猫のように丸くなって眠っているガルーの姿があった。
ここなら仮に力が暴走しても大丈夫と子供なりに思ったのだろう。
灰まみれになりながら、くうくうと小さな寝息をたてているガルーに私は目から、ぶわっと涙が出るのを感じた。
くっ……! 年とると涙腺に決壊癖が……!
ガルーをここから引っ張り出しても、また周りを巻き込まないようにと一人で篭ってしまうだろう。
なら……お供してやんよ!!
私は自分の枕や毛布を持ってくると、暖炉の前に寝転がる。
ガルーに毛布を着せようとした時、小癪な小僧は目を覚ました。
そしていつもの憎まれ口を叩いてくる。
「……なにしてんだよ。おとこの寝込みをおそうほど、よっきゅうふまんか?」
本当に何処でこういうセリフを覚えてくるのかしら?
私はガルーの真ん前で毛布にくるまって告げる。
「お生憎様! 私は既に紅龍様という超絶カッコ良くてセクシーで百年に一人の推しピがいるんですからね! 子供はお呼びじゃないのよ!」
「おれのまえで、ほかの男のはなしをするなんて、おもしれー女だ」
「私、アンタの前で紅龍様の話しかしてないと思うんですけど!? ほら、早く寝なさい! 明日はイモ掘りするんですからね!」
そう言って私がガルーの肩をぽんぽんと叩くと、ガルーはそのまま安堵したような表情で眠りに落ちていった。



