『おめでとうございます。クエストを達成しました』
 画面中央に表示されるクエストクリアの文字。僕はガストロのメンバーと共にクエストに向かった後であった。
『kirimiya48:ナイスでしたサツキさん!』
『satuki329:いえいえ、霧宮さんも豚骨野郎さんもナイスです!』
『tonkotsu yarou:ユーリ殿もナイスでしたぞ!』
『yuuri123456:いえいえ、皆さんありがとうございます!』
『tonkotsu yarou:それでは今日はここらで解散しましょうか。お疲れ様でした!』
『kirimiya48:お疲れ様でした!』
『yuuri123456:お疲れ様でした』
『satuki329:お疲れ様でした!』
 メンバーが解散していく。するとすぐに通知音と共に個人チャット宛にメッセージが届いた。
『yuuri123456:お疲れ様! この後一緒にクエスト行かない?』
「ふふ、きたきた……っ!」
 つい自分でも聞いた事がないような気持ちの悪い笑いがこぼれてしまう。
『satuki329:分かった! すぐ合流する!』
 それだけ打ち込むと、僕はこれからのクエストに向けて飲み物を取りに行った。

「……ん?」
 冷蔵庫に飲み物を取りに行くと、台所で母さんが料理を作り終えたところであった。
「あっ……皐月! 今ご飯作り終わったところだけど、一緒に食べる? 一緒に食べるなら――」
 僕は母さんの言葉を遮るように食い気味に答える。
「いらない。後で食べるからいい」
「……そっか! じゃあラップして置いておくね! 後で温めて食べてね!」
「……うん」
 僕はそれだけ聞くと冷蔵庫から水を取り出し、すぐに自分の部屋へと戻っていった。

 部屋へ戻ってくると、僕は目的の人と話す為、再びオンラインの世界へと飛び込んでいった。
『satuki329が入室しました』
『yuuri123456:サツキ君! 今日はどうだった?』
『satuki329:敵が強いクエストもあったけど、なんとかついていけたよ!』
『satuki329:そういえば、学校はどうだった?』
『yuuri123456:うーん、特に変わらず……かな笑笑』
『yuuri123456:サツキ君は?』
『satuki329:俺もあんまりかな笑笑』
 そう打ち込むと、つい笑みがこぼれる。
「はは……はは……!」
 ユーリと初めて個人チャットで話したあの時以来、僕らは何かあるとクエストを共に行ったり素材を分け合ったりする仲へとなっていった。
 しかもなんと驚くべき事に、僕とユーリは同い年だったのだ。その事もあってか僕とユーリは仲良くなるのにもそう、たいして時間はかからなかった。
『yuuri123456:じゃあクエスト行こっか!』
『satuki329:うん!』
「へへっ……へっ……!」
 そう、分かっている。僕にはきっとここしかないんだ。ここが僕の居場所なのだ。僕はきっと、この世界にしか存在できないんだ。このqQuit(クイット)でなきゃ、僕はきっと存在できないんだ。
 分かっている。分かっているんだ――。

 ***

『おめでとうございます。クエストを達成しました』
 画面にクエストクリアの文字が表示される。
『yuuri123456:お疲れ様~! サツキ君!』
『satuki329:ユーリこそお疲れ様!』
 こんな事を話しているが、実際に敵を倒していたのはユーリ自身で、僕は戦うどころかついて行くのに必死だったなんて事はもはや言うまでもない。
『yuuri123456:クエストに付き合ってもらっちゃって申し訳ないんだけど、もう一つイベントのクエストに行かない?』
 僕はその名の通り、二つ返事ですぐに答えた。
『satuki329:いいよ! 一緒に行こう!』

 ――もっとこの人の事を知りたい。もっとこの人の役に立ちたい。もっとこの人に必要とされたい。
 ユーリのクエストに付き合っている中で、僕は自分自身の中に芽生えるユーリに対する気持ちに気付き始めていた。

 ***

『yuuri123456:今日は付き合ってくれてありがとう!』
『satuki329:こちらこそ! ユーリこそお疲れ様!』
『yuuri123456:また遊ぼうね。お疲れ様!』
『satuki329:うん! お疲れ様!』
『yuuri123456が退出しました』
 暗い部屋で一息つくと、僕はボソリと呟いた。
「……終わっちゃったかぁ」
 そう言うと僕はqQuitからログアウトし、パソコンの電源を落とした。時間の経ってしまった夕食を食べようと、僕は物憂げにその重い腰を上げたのだった。

 ***

「あーつまんねーなー……おいっ」
 そう言いながら石田は、いつものように僕の方へ消しカスを投げてくる。
「それな~……ほいっ」
 後頭部に感じる消しカスの感触。
 ……ゴミ共が。
 たまに思う。こんな悪魔のような人間にも、僕ら普通の人間と同じように人の親や人生があるのかと。
 ……どうしてこんな事をするんだろう。その思考回路やそういう人を貶めようとするその発想が僕には理解できない。まぁ理解したところでこの問題が解決するかと言われたら、べつにそうではないのだが。
 結局、『こういう人間』には何を言ったって分からない、無駄になってしまうのが現実なのだろうか。
 毎日が、ゴミのように過ぎていく。

 ***

「飯田君ー! 五番と六番テーブル早くこれ持ってってよー!」
「分かりましたー!」
 そう言うと僕は出された料理をお盆に載せ、指定されたテーブルへと持っていく。
「お待たせ致しましたー。砂肝とモモになります」
「お待たせ致しましたー。枝豆になります」

 ***

「ごちそうさまでした~」
 会計を終えた客がそう言いながら店を出ていく。
「ありがとうございましたー!」
 毎日が……。
 ……毎日が、ゴミのように過ぎていく!

 ***

 帰宅した僕はお風呂と夕食をすぐに終え、自分の部屋に行きパソコンを立ち上げると、すぐさまqQuitへログインした。
 ついパソコンのマウスをクリックする手に力が入る。
 僕がここまで必死になっている理由はただ一つ。そう、ユーリの事であった。
「ユーリ……ユーリさん……っ!」
 僕は無意識のうちに、そう口から漏らしていた。
 急いで自分のクラン、そしてチャット欄を確認する。
「……いないか」
 どうやらユーリは今日はまだログインしていないようだ。
「……ふぅーっ」
 まるで肩透かしを食らったかのように、僕は半ばため息にも似た一息をついた。
 ……ユーリさんにも学校があるんだ。ログインしない日があるのも当然の事じゃないか。
 そう思い、ふと画面の自分のキャラクターを見つめる。

 ……qQuit(クイット)。クエスト達成型の大規模多人数同時参加型オンラインRPG。RPGと言ってもインターネットというものは不思議なもので、やはり似た性格、似た境遇といった人間同士が集まるわけで。
 インターネットというものは陰鬱だ。それでいて広い世界のように見えて、狭い。まるで僕の住んでいる世界と一緒……。
 ……このqQuitにも様々な事情を抱えた人達が集まっているのだろう。僕も然り、そのほかの人間も然り――。特にこのqQuitの世界においては、まるで誰もが救いを求めているように感じる。同じような人間が集まって、僕と同じようにネットの世界に救いを求めているのだろうか……。いや、それとも僕が世界に救いを求めているからこそ、このネットの世界がそういう風に見えてしまっているだけなのか……?
 まぁ、そんなことを考えたって仕方がない。

 もしかしたら、豚骨野郎さんやユーリさんも口には出さないだけで、何か人には言えない事情を抱え込んでいるのだろうか……。
 ……いや、それこそ考えたって仕方のない事だ。
 僕は画面の中で他のクランや他の人間同士が交わすやり取りを見つめながらこう思った。

 ――皆、救われたいんだ。どんな人間だって、救いを求めて毎日を生きている。報われたくて、毎日を足掻いて生きている。そうやって、生きるしか無いんだ。
 僕だって、誰だって――。
 そう思っていた、その時だった。

 真っ暗な部屋に通知音が鳴り響いた。
「あ……!」
 まるで引き寄せられるように、急いで個人チャット欄を確認する。するとそこには、ユーリからのメッセージが一件表示されていた。
(きた……っ!)
(僕の……僕だけの……っ!)
「天使……っ!」

 気付けば、そう口から漏れていた。
 僕は早速メッセージを確認する。
『yuuri123456:今日クエスト行かない? 二人でさ!』
 メッセージを確認すると、僕は急いで文字を打ち込んだ。
『satuki329:行きたい! よろしくお願いします!』
「やった……っ!」
 連絡が来たことで再び笑みがこぼれる。この人といれるなら、この人の役に立てるなら……!
 僕はどんな現実にだって耐えられるんだ……!
 そうして僕らは、また二人でクエストへと向かったのだ。

 ***

『yuuri123456:お疲れさま! 今日のクエストも楽しかったよ』
『satuki329:ありがとう! 俺も楽しかった!』
「へへへ……へへ……!」
 いつものように暗くなった部屋にタイピング音だけが響く。
 きっと、今の僕の姿を一言で表すのだとしたら『醜悪』という言葉が一番であろう。ユーリというネットの世界の偶像に釣られ、ただ意味もなく二次元の世界に没入する。こんな情けない姿、絶対にクラスメイト達には見せられない。
 分かっている。分かっているのだ。ユーリは所詮偶像だという事も、そのユーリに釣られる自分がどれほど愚かで浅ましいかという事も。分かっているがやめられないのだ。そうする事でしか自分を満たせないのだ。没入するしかないのだ。(すが)るしかないのだ。分かっていても僕はqQuit(クイット)の世界、そしてユーリという存在に縋るしかないのだ。

 そして『それ』は唐突に始まった。
『yuuri123456:ねぇ! サツキ君!』
「ん? なんだ……?」
『satuki329:どうしたの?』
『yuuri123456:ちょっとした頼み事っていうか……』

 するとユーリはこう言った。
『yuuri123456:『お願い』があるんだけど』
「お願い……?」
『satuki329:お願いって?』
『yuuri123456:豚骨野郎さんに聞いたんだけど、サツキ君〝水牢(すいろう)の腕輪〟持ってるって本当?』
「水牢の腕輪……?」
「あ……」
 思い出した。あれはガストロのメンバーとクエストに行った時の事であった。

 ***

『tonkotsu yarou:そういえば、サツキ殿はイベントの抽選でなにか貰えましたか?』
「イベントの抽選……?」
『satuki329:イベントの抽選?』
 少し記憶を巡らせ、考える。
「……あー! 水牢の腕輪の事か」
『satuki329:思い出しました! イベントでは水牢の腕輪っていうのが当たりました!』
『tonkotsu yarou:水牢の腕輪! それはそれは……』
『tonkotsu yarou:サツキ殿は中々の強運をお持ちのようですな……!』

 ***

「……あの時か」
 言われてみれば、豚骨野郎さんに聞かれて水牢の腕輪が当たった事を報告していたのを忘れていた。
『satuki329:うん。持ってるよ』
『satuki329:それがどうかした?』
『yuuri123456:お願いなんだけどね……』
 ユーリは、その『お願い』の内容をこう伝えてきた。
『yuuri123456:その水牢の腕輪、譲ってほしいの』
 ……なんだ。それだけか。
 てっきりお願いとまで言うから一体どんな内容が来るのかと一瞬身構えたが、そう大したことは無かったようだ。
「うーん……」
 アイテム欄の〝水牢の腕輪〟を見て考える。
「――ま、いいか」
 少し考えたが、やはり僕はユーリに〝水牢の腕輪〟を渡す事にした。
『satuki329:うん。いいよ』
 そう僕が返信すると、ユーリからの連絡はすぐに返ってきた。
『yuuri123456:本当に!? ありがとう!』
『yuuri123456:レアアイテムなんだけど抽選でしか手に入らなくて……どうしても欲しいって思ってたの!』
「……まぁ、いっか」
 確かにレアアイテムではあったが、僕もそこまで使う訳じゃなかったし、誰かに使って貰えるなら――それも、ユーリの役に立てるなら、僕は喜んでこの〝水牢の腕輪〟を渡そう。
 そう思い僕はアイテム欄の〝水牢の腕輪〟を選択すると、『他のユーザーに渡す』をクリックした。
『このアイテムを、yuuri123456に渡しますか?』
 僕は迷わず、『はい』を選択する。
 するとユーリからすぐにメッセージが送られてきた。
『yuuri123456:ありがとう〜! すっごく欲しかったんだ!』
『yuuri123456:大切にするね!』
「ふふ……はは……」
 気付けば、変な笑いが漏れていた。
 そうだ。僕は今この人の役に立てたんだ。僕はこの人の役に立てればなんでもいいんだ。やった。今僕はこの人に認められたんだ。
 僕は言い表すことの出来ない謎の多幸感に包まれていた。
 『ユーリの役に立てた』という謎の達成感が僕を柔らかく包んでいた。

 しかしこの時の僕は知らないのである。これから先に送られてくるこのユーリからの『お願い』は段々とエスカレートしていく事に――。

 ***

「……お、きたきた」
 パソコンから発せられる通知音に体が引っ張られる。
 その日も、僕はいつもと同じようにqQuitにログインしていた。この音はおそらくメッセージだろう。
「誰からだ~……?」
 そう思い、メッセージ欄を確認する。
「あっ! ユーリさんだっ!」
 つい体がパソコンに向かって前のめりになる。
「えぇっと……なになに……?」
 僕はやや急ぎ気味にユーリからのメッセージを確認した。
『yuuri123456:お疲れ様〜サツキ君!』
『yuuri123456:この前みたいにちょっとしたお願いなんだけどさ~』
『yuuri123456:聞いてくれない?』
「……ん」
 またか……。ユーリから『お願い』をされるのはこれで二回目である。僕は早速そのお願いを聞いてみる。
『satuki329:お願いって?』
『yuuri123456:ちょっと気になるイベントがあるんだけどさ~。一人で行ってもつまんないからサツキ君が暇だったら一緒にどうかなって思って!』
 そんな事か、と僕は二つ返事で了解する。
『satuki329:うん。いいよ! そのイベントって?』
『yuuri123456:それがね~。これなんだけど……』
 そう言うと、ユーリは目的であるイベントのクエストの詳細をチャット欄に送ってきた。
「ふんふん……。こんな感じか……」
 僕はそのクエストの詳細を確認すると、すぐにユーリに対してこう言った。
『satuki329:いいよ! 行こう!』
 お願いという割にはこんなものかと一瞬頭の中に浮かんだが、それは言う必要のない事だろうと僕は静かに胸の中にしまった。
 そうして僕らはいつものように、二人でイベントのクエストへ向かったのである。

 ***

『yuuri123456:サツキ君~! またイベントあるんだけど一緒に行ってくれない~?』
『yuuri123456:サツキ君~。お願いがあるんだけどこの前一緒に行ったクエストの素材分けてくれない~?』
『yuuri123456:お願いがあるんだけど、さっき行ったクエストの素材、半分分けてくれない?』
 ユーリからのお願いは日を跨ぐごとにどんどん増えていった。特に対して何も思わずお願いに付き合っていた僕だったが、その日は〝明らかに〟いつもとは違ったのだ。
『yuuri123456:ねぇ、お願いなんだけど』
『yuuri123456:顔見せてくれない?』

 それは、当然のように送られてきた。
「…………え?」
 目の前の文面に、一瞬反応が遅れる。
 なっ……何が? 一体どういう事? かっ……顔?
 僕はいつもとは明らかに違う毛色の『お願い』に動揺していた。
 ……確かに今までは、役に立てるなら、必要としてもらえるのならといった理由でお願いを聞いてきたが、今回は明らかに性質が違う。
 さすがの僕も、今回のお願いに対しては少し戸惑っていた。
「う……うーん……」
 いくらユーリのお願いとはいえ、ネットの顔も知らない相手に自分の顔を見せるのは少々躊躇(ちゅうちょ)してしまうものだ。
 僕はおそるおそる、キーボードに文字を打ち込んでいった。
『satuki329:どうして? 理由は?』
 案外、返事はサラッと返ってきた。
『yuuri123456:うーん……気分かな』
「なっ……」
 そのあまりにも安直な回答に、僕は愕然とした。
「そっ、そんな理由で……っ」
 じっ、と傍にあった自分のスマートフォンを見つめる。
「うーん……」

 ***

 軽快な通知音と共に至近距離から撮影した自分の顔写真がユーリとのチャット欄に表示される。
「…………くっ」
 何をしているんだ僕は。
 結局のところ、僕はスマートフォンで撮った自らの顔写真をパソコンに送付し、ユーリに送ってしまった。
「くそっ……!」
 自分の中に湧いてくる恥にも似た感情が全身を駆け巡る。僕はやはり、自らの顔写真を送ってしまった事を後悔していた。
 そうやり場のない恥の感情に悶えていると、早速ユーリから反応が返ってきた。
『yuuri123456:笑笑笑』
『yuuri123456:面白いね』
「お……面白いねって……」
 実際、自分の顔写真を送るのはかなり勇気を必要とした行動であったが、ここまで軽く流されるともはや付け加える言葉も無い。

 ユーリの『お願い』はさらにエスカレートしていった。

 ***

『yuuri123456:逆立ちして!』
「さっ……逆立ち……っ!?」
『yuuri123456:それで写真送って!』

 ***

「ふっ……」
「……ほっ……」
 カメラのタイマーをセットすると、頭を地面につけながら頭と腕を軸にし、何とか体を壁に逆さまの状態で立て掛ける。
「よっ……ほっ……!」
 暗い部屋にカメラのシャッター音が鳴り響いた。

 ***

『yuuri123456:ダイヤモンド頂戴(ちょうだい)!』
「だっ……ダイヤモンドって……有料のアイテムじゃないか……!」
 そう、ダイヤモンドとはqQuitの世界において有料、つまり現実世界で実際に現金を支払う事で入手する事のできるアイテムなのである。
『yuuri123456:欲しい装備があったんだけどもう今月お金無くてさ~』
『yuuri123456:どうしても欲しいんだよね~』

 ……利用されてる? もしかして、騙されてるのか?
 色々な考えが頭の中で浮かんでは消えていく。
『yuuri123456:申し訳ないんだけど、ダイヤモンドくれない?』
「そっ……! そんなの……っ!」
 あげる訳ないじゃないか! ……とはっきり言おうとしているのに何故かキーボードを打っていた手が動かない。
「そんなのっ……!」
「そんな……!」

 ***

『ありがとうございました〜』
 コンビニを出るとそう出入口の後ろで店員の声が響いた。
「……はぁ」
 買ってしまった……。
 僕自身、qQuitでの有料のアイテムを買う事自体初めての事であった。

 ***

『yuuri123456:ありがと~!』
「……まぁ、いいか」
 そう、自然に考えるようになっていた。それまで様々な事を考えていた僕だったが、感謝された文面を見ているとそんな事はどうでもいい事のように思えてきた。

 そんな感じで、僕は多少の違和感を覚えながらもユーリのお願いを引き受けていった。しかしこの時の僕はまだ知らなかった。まさかユーリからあんなお願いをされる事になるなんて――。