奴隷市のあった方角の夜空に、流星群のようにきらきらと魔法が降り注いでいる。転移魔法だ。何も知らなければ「綺麗」と目を輝かせる光景だが、借金という文字が頭の中を巡るため、胃が痛いし気持ちが悪い。

 でも、転移魔法が発動しているということは、救援が来ている証拠だ。今頃、奴隷とされている人々は保護されていることだろう。私は空から目を離し、おもむろにカーネスを見て絶句した。

 背中になにかおぶってる。一瞬恐怖の演出かと思ったけれど、よく見ると売られていた少女だ。

「カーネス……その子」
「丁度いいので連れてきました」

「泥棒じゃん」

 カーネスの言葉に気が遠くなる。少女をカーネスから下そうと手を伸ばせば、彼女は私の指を握ってきて、より一層どうしていいか分からなくなった。