消えない声が響く夜に




 朝焼けが窓から差し込んだ。彼女はゆっくりと目を開けて、まだぼんやりした視線で僕を見た。
 その瞳は以前よりも少しだけ穏やかで、何かを受け入れたような温かさがあった。

「ありがとね、ここにいてくれて」

 
彼女は小さな声でつぶやいた。僕は笑って答える。


「ずっと、ずっとここにいるよ。君の全部を、大事にするために」

 彼女は涙をぽろりとこぼしたけれど、それは悲しみじゃなくて、解放の涙に見えた。いくつもの声が混ざり合っても、それが彼女の全てなら。

 僕らは一緒に歩いていける。

 これからも、迷いながらも、泣きながらも。確かなのは、愛はどんな形でもここにあること。



 朝の光が彼女の髪を優しく揺らす。
 僕らは知っている。その先にどんな嵐が待っていようとも、一緒に歩く強さを持っていることを。