「俺マジで女装するんですか。死にたいんですけど」
強い言葉には強い決意を感じる。それもそうだ、桜井くんと私はともかく、雲雀くんだけ羞恥プレイ。中津くんから飛んできた火の粉がなぜか大火事になっているといっても過言ではない。
「三国のためだつってんだろ? お前いいのか、白雪の巣窟に三国1人放り込んで」
「だからそういう話はセコイでしょ」雲雀くんは珍しく声を荒げて「つか女装なら蛍さんの顔でもどうにかなるんじゃないですか」
「俺はお前らの安全確保のために後ろで待機してる」
「何ですかそれ。つか俺の身長で女装とか」
「大丈夫、俺の姉貴の服貸してあげるから」
雲雀くんは苦虫を噛み潰した。余計な助け舟を出されたと思っているのだろう。
「いいねえ、俺もそういう企みやりたいな。ぜひ三国ちゃんと一緒に」
「…………」
「あれ、そんな本気で警戒する? 俺なにかしちゃった?」
「いえ……別に……」
なにかされたわけではないけど、能勢さんはいつも笑顔で他の人以上に表情を読めないから苦手なのだ。雲雀くんでさえ無愛想なりに表情が動くし、そのパターン化も(時々間違えるなりに)できるようになったというのに、能勢さんはいつまで経ってもできる気がしない。それどころか声もいつも朗らかで耳に心地がいい。余計にこの人は分からなかった。
「とりあえず、颯人の件は美人局の証拠掴みと交渉に限ってお前らに任せる。外は任せな」
「内は?」
「それは雲雀」
ああ、遂に決行されるのか……と胃が痛くなってきたことなど関係なく、蛍さんも能勢さんも慈悲の欠片もなく、私達3人をその役割へとせっついた。
結果、その日の問題の時刻、桜井くんは問題のラブホから少し離れた場所、灰桜高校の犠牲者達が声をかけられた場所の近くへ行き、手近な生垣の前で腰を下ろした。その手には雲雀くんの携帯電話がある。
そして私と雲雀くんは少し離れた場所で桜井くんを見守る。私の携帯電話に、雲雀くんの携帯電話から「人生初メールだ!」とメールが送られてきた。
「緊張感がねえ」
「……でも私達もはたから見たらそうだと思う」
私と雲雀くんはといえば、ファッションビルの前で時間を潰す高校生の仲間入りをしている。これからどこへ遊びに行くか悩んでいるカップルのごとく、制服姿で携帯電話を片手にだらだらと時間を潰しているようにしか見えない。
「……雲雀くんの髪、黒いと違和感がすごいね」
なにより、私が緊張感がないと感じてしまう理由は雲雀くんの髪色にあった。
蛍さんに「お前ら金銀光って目立つから染めろバカ」と命令され、2人は渋々、学校のシャワー室で髪を染めていた。といってもスプレーか何からしいので、洗えば落ちるのだそうだ。雲雀くんは黒、桜井くんは茶色。それぞれ地毛の色に戻しているはずなのに、普段見慣れていないせいで違和感がある。しかも、桜井くんはともかく、雲雀くんはピアスホールを隠すために髪を下ろしている。お陰で高校生のコスプレをしているようにしか見えない。
じろじろと眺め回していると「なんだよ」さすがに眉間に皺を寄せられた。
「……すごく、どこにでもいる高校生みたいだなって」
「元からそうだろ」
「…………」
強い言葉には強い決意を感じる。それもそうだ、桜井くんと私はともかく、雲雀くんだけ羞恥プレイ。中津くんから飛んできた火の粉がなぜか大火事になっているといっても過言ではない。
「三国のためだつってんだろ? お前いいのか、白雪の巣窟に三国1人放り込んで」
「だからそういう話はセコイでしょ」雲雀くんは珍しく声を荒げて「つか女装なら蛍さんの顔でもどうにかなるんじゃないですか」
「俺はお前らの安全確保のために後ろで待機してる」
「何ですかそれ。つか俺の身長で女装とか」
「大丈夫、俺の姉貴の服貸してあげるから」
雲雀くんは苦虫を噛み潰した。余計な助け舟を出されたと思っているのだろう。
「いいねえ、俺もそういう企みやりたいな。ぜひ三国ちゃんと一緒に」
「…………」
「あれ、そんな本気で警戒する? 俺なにかしちゃった?」
「いえ……別に……」
なにかされたわけではないけど、能勢さんはいつも笑顔で他の人以上に表情を読めないから苦手なのだ。雲雀くんでさえ無愛想なりに表情が動くし、そのパターン化も(時々間違えるなりに)できるようになったというのに、能勢さんはいつまで経ってもできる気がしない。それどころか声もいつも朗らかで耳に心地がいい。余計にこの人は分からなかった。
「とりあえず、颯人の件は美人局の証拠掴みと交渉に限ってお前らに任せる。外は任せな」
「内は?」
「それは雲雀」
ああ、遂に決行されるのか……と胃が痛くなってきたことなど関係なく、蛍さんも能勢さんも慈悲の欠片もなく、私達3人をその役割へとせっついた。
結果、その日の問題の時刻、桜井くんは問題のラブホから少し離れた場所、灰桜高校の犠牲者達が声をかけられた場所の近くへ行き、手近な生垣の前で腰を下ろした。その手には雲雀くんの携帯電話がある。
そして私と雲雀くんは少し離れた場所で桜井くんを見守る。私の携帯電話に、雲雀くんの携帯電話から「人生初メールだ!」とメールが送られてきた。
「緊張感がねえ」
「……でも私達もはたから見たらそうだと思う」
私と雲雀くんはといえば、ファッションビルの前で時間を潰す高校生の仲間入りをしている。これからどこへ遊びに行くか悩んでいるカップルのごとく、制服姿で携帯電話を片手にだらだらと時間を潰しているようにしか見えない。
「……雲雀くんの髪、黒いと違和感がすごいね」
なにより、私が緊張感がないと感じてしまう理由は雲雀くんの髪色にあった。
蛍さんに「お前ら金銀光って目立つから染めろバカ」と命令され、2人は渋々、学校のシャワー室で髪を染めていた。といってもスプレーか何からしいので、洗えば落ちるのだそうだ。雲雀くんは黒、桜井くんは茶色。それぞれ地毛の色に戻しているはずなのに、普段見慣れていないせいで違和感がある。しかも、桜井くんはともかく、雲雀くんはピアスホールを隠すために髪を下ろしている。お陰で高校生のコスプレをしているようにしか見えない。
じろじろと眺め回していると「なんだよ」さすがに眉間に皺を寄せられた。
「……すごく、どこにでもいる高校生みたいだなって」
「元からそうだろ」
「…………」



