「なんか金もったいない気するけどなー。仕方ないか」
「どうせ払うのは颯人だろ」
「ま、10万円より安いか」
「でも確かに、せっかくならお茶とかって……」
電気ポットもあるし、きっと紅茶とかお茶のパックくらい置いてあるんじゃないかと棚の扉に手をかけると、ガンッと雲雀くんの足が扉を押さえた。
「……あの……?」
「いいから。早く出ろ」
「……でも……?」
「ほら出て、三国。早く出て。侑生の気が変わんないうちに」
「俺じゃねーよお前だろ」
「俺は変わんないですー」
その下調べの翌日の放課後、蛍さんと能勢さんは「おい桜井雲雀、ホウレンソウって知ってっか」「三国ちゃんどうだったー?」と教室にやって来た。前回蛍さんがやって来たときは昼休みだったというのもあってみんな教室にいたけれど、今日はみんなコソコソと出て行った。蛍さんと能勢さんを前に駄弁る余裕は誰にもない。
「で、三国。社会勉強はできたか」
蛍さんは私の前にある机の上に胡坐をかいた。机は座るところではないですよと教えてあげたくなるくらい、あまりにも自然に乗っかっていた。
「あ、えーっと、はい……。私が非常識で愚かでした……」
ぺこりと軽く頭を下げると、背後にやってきた桜井くんと雲雀くんが「もしかして俺ら責めすぎた?」「いやこんくらいの認識になるほうがいいんじゃね」と話すのが聞こえてくる。それを聞いたからか、蛍さんの隣で机に半分腰掛けた能勢さんがいつもの微笑を浮かべながら「社会勉強ねえ」と呟いた。
「ちなみにどこまで勉強したの?」
「どこ……? 内装は一通り観察して覚えてきましたが……」
「覚えてきたの?」
というか覚えてしまったので……とは言わずに黙った。
「なになに? 具体的にどういうところ覚えた?」
「はい、能勢せんせー、侑生が止めたので三国は多分ベッドと風呂以外見てませーん」
「……そう。それは残念……」
何が残念なのかさっぱり分からない。能勢さんは眉尻を下げつつも笑みを浮かべるなんて不可解かつ器用な表情をしているので余計に分からない。
「……えっと……その、用途は理解しましたし、主たる目的がそれだというのも……分かりましたので」
「……つかお前らなんて言って教えた? いやなんて言ってつかどうやって?」
私の背中に目はついていないけれど、2人が揃って目を逸らすのが目に浮かぶようだった。いかんせん蛍さんの顔から表情が消えたのだ、何か(蛍さんにとって)マズイ反応をしたに違いない。
「よし、そこに並べ。順番に聞く」
「えっそれ体に聞くとかそういうヤツっすよね! やだよ俺痛いの嫌い! てか悪いの侑生!」
「いや悪ノリが過ぎたのは絶対昴夜」
「悪ノリじゃないって! 悪ノリだったらもっとガチで押さえつけたりしたって!」
「もっと? ガチで押さえた?」
多分蛍さんがロボットであればその目はギラリと怪しい光を放っていただろう。背後の桜井くんが「あっいや違います! 俺は押し倒してないです!」「俺は?」更に墓穴を掘る。
「いや……だから俺は悪くないんですよ……最初にやったの侑生だし……」
「おい言うんじゃねーよ!」
「何をやった?」
「いやなんも」
「言うなつったろ今」
「えーっとだから本当に悪いことはしてなくて、侑生が三国をベッドに押し倒しただけ」
「ほお」
……2人が怒られるとか怒られないとかそんなことはどうでもいいけれど、聞いていると私が恥ずかしいのでやめてほしくなった。
「どうせ払うのは颯人だろ」
「ま、10万円より安いか」
「でも確かに、せっかくならお茶とかって……」
電気ポットもあるし、きっと紅茶とかお茶のパックくらい置いてあるんじゃないかと棚の扉に手をかけると、ガンッと雲雀くんの足が扉を押さえた。
「……あの……?」
「いいから。早く出ろ」
「……でも……?」
「ほら出て、三国。早く出て。侑生の気が変わんないうちに」
「俺じゃねーよお前だろ」
「俺は変わんないですー」
その下調べの翌日の放課後、蛍さんと能勢さんは「おい桜井雲雀、ホウレンソウって知ってっか」「三国ちゃんどうだったー?」と教室にやって来た。前回蛍さんがやって来たときは昼休みだったというのもあってみんな教室にいたけれど、今日はみんなコソコソと出て行った。蛍さんと能勢さんを前に駄弁る余裕は誰にもない。
「で、三国。社会勉強はできたか」
蛍さんは私の前にある机の上に胡坐をかいた。机は座るところではないですよと教えてあげたくなるくらい、あまりにも自然に乗っかっていた。
「あ、えーっと、はい……。私が非常識で愚かでした……」
ぺこりと軽く頭を下げると、背後にやってきた桜井くんと雲雀くんが「もしかして俺ら責めすぎた?」「いやこんくらいの認識になるほうがいいんじゃね」と話すのが聞こえてくる。それを聞いたからか、蛍さんの隣で机に半分腰掛けた能勢さんがいつもの微笑を浮かべながら「社会勉強ねえ」と呟いた。
「ちなみにどこまで勉強したの?」
「どこ……? 内装は一通り観察して覚えてきましたが……」
「覚えてきたの?」
というか覚えてしまったので……とは言わずに黙った。
「なになに? 具体的にどういうところ覚えた?」
「はい、能勢せんせー、侑生が止めたので三国は多分ベッドと風呂以外見てませーん」
「……そう。それは残念……」
何が残念なのかさっぱり分からない。能勢さんは眉尻を下げつつも笑みを浮かべるなんて不可解かつ器用な表情をしているので余計に分からない。
「……えっと……その、用途は理解しましたし、主たる目的がそれだというのも……分かりましたので」
「……つかお前らなんて言って教えた? いやなんて言ってつかどうやって?」
私の背中に目はついていないけれど、2人が揃って目を逸らすのが目に浮かぶようだった。いかんせん蛍さんの顔から表情が消えたのだ、何か(蛍さんにとって)マズイ反応をしたに違いない。
「よし、そこに並べ。順番に聞く」
「えっそれ体に聞くとかそういうヤツっすよね! やだよ俺痛いの嫌い! てか悪いの侑生!」
「いや悪ノリが過ぎたのは絶対昴夜」
「悪ノリじゃないって! 悪ノリだったらもっとガチで押さえつけたりしたって!」
「もっと? ガチで押さえた?」
多分蛍さんがロボットであればその目はギラリと怪しい光を放っていただろう。背後の桜井くんが「あっいや違います! 俺は押し倒してないです!」「俺は?」更に墓穴を掘る。
「いや……だから俺は悪くないんですよ……最初にやったの侑生だし……」
「おい言うんじゃねーよ!」
「何をやった?」
「いやなんも」
「言うなつったろ今」
「えーっとだから本当に悪いことはしてなくて、侑生が三国をベッドに押し倒しただけ」
「ほお」
……2人が怒られるとか怒られないとかそんなことはどうでもいいけれど、聞いていると私が恥ずかしいのでやめてほしくなった。



