「全員、揃ったな?」
いや、それどころか、まるで神様だ。群青のメンバーは、私と桜井くんと雲雀くんを含め、ずらりと参道に整列していて、社の前にいる蛍さんを拝もうとしているかのようだった。人数は軽く1クラス分だろうか。それが不良チームとして多いのか少ないのかも分からないくらい、私は場違いだった。なんなら着いた時から「女だ」「誰の?」「永人さんじゃね」と囁かれていた。多分蛍さんの隣にいなければすぐに首根っこを摑まえられて尋問されていたと思う。
「じゃ、集会、始めるぞ」
そんな蛍さんの隣に、桜井くん、雲雀くんそして私の順に立たされて、正直死にそうだった。
いかんせん、目の前に並んでいるのは灰桜高校普通科の問題児を煮詰めた結果といっても過言ではない。しかも当然のように女子がいない、3学年分の男子に不躾にじろじろと見られ、見世物にでもなった気分だった。多分マネキンはいつもこんな気持ちなんだろう。
ただ……、新庄のせいだろうか、私の心臓は大人しく、鳴りを潜めていた。もしかしたら、あれくらいの衝撃を受けないと心臓は反応しない仕様に変わってしまったのかもしれない。
「噂で聞いてるヤツもいると思うが、この場で正式に知らせる。西中の桜井と雲雀が群青に入った。どっちがどっちか、知らないやつはいねーな?」
なんならこの2人の認知度は群青の人にとって常識レベルだし、この2人と私が並べられている状態を俯瞰すると一層居心地が悪かった。
「……ブルー・フロックじゃないのかな?」
それはさておき“群青”と書いて“ブルー・フロック”と読むのがこのチームではないのだろうか? つい桜井くんに小声で囁くと「長いから“ぐんじょう”ってみんな呼ぶんだって」とのことだった。なるほど、と頷く私を雲雀くんが見ていたけれど、何を言いたいのかは分からなかった。
「で、隣が三国英凜だ」
そして私の紹介もされる、と……。さっきの予想とは違って、名前を呼ばれた瞬間に心臓が一瞬跳ねた。ただ、ほんの一瞬で、すぐに収まった。
「おい颯人」
「はいっ!」
なぜか、群青(私も倣ってそう呼ぶことにしよう)の中の1人が名前を呼ばれた。返事をしたのは、少しくせ毛交じりの可愛い顔をした人だった。暗くてよく分からないけれど、きっとその髪色はダークブラウンで、学ランの着方も、優等生とまでは言わないけれど普通科にありふれた着崩し方をしている程度の、そんなに派手なものではなかった。なんなら学年徽章もちゃんとつけていて、同級生のようだ。
私達に続いて呼ばれるということは、私達と同じく群青メンバーと告知される予定と考えるのが当然だけれど、その人は私達と違って群青のメンバーですみたいな顔をして列に混ざっていた。首を傾げていると、蛍さんは私を親指で示した。
「お前の件、三国が立ち会ってやる。よく頭下げときな」
「はいっ! すみません三国さん、よろしくお願いします!」
「……はい?」
そしていきなり頭を下げられた。目を白黒させる私の隣で桜井くんと雲雀くんは「6組の中津じゃん」「知ってんのか」「うん。舜とよくバカやってる」なんて話している。
「……え、いや、これ一体……え……?」
「三国、詳しいことは今度説明するけど、まあ頼むな」
「え……?」
いや、それどころか、まるで神様だ。群青のメンバーは、私と桜井くんと雲雀くんを含め、ずらりと参道に整列していて、社の前にいる蛍さんを拝もうとしているかのようだった。人数は軽く1クラス分だろうか。それが不良チームとして多いのか少ないのかも分からないくらい、私は場違いだった。なんなら着いた時から「女だ」「誰の?」「永人さんじゃね」と囁かれていた。多分蛍さんの隣にいなければすぐに首根っこを摑まえられて尋問されていたと思う。
「じゃ、集会、始めるぞ」
そんな蛍さんの隣に、桜井くん、雲雀くんそして私の順に立たされて、正直死にそうだった。
いかんせん、目の前に並んでいるのは灰桜高校普通科の問題児を煮詰めた結果といっても過言ではない。しかも当然のように女子がいない、3学年分の男子に不躾にじろじろと見られ、見世物にでもなった気分だった。多分マネキンはいつもこんな気持ちなんだろう。
ただ……、新庄のせいだろうか、私の心臓は大人しく、鳴りを潜めていた。もしかしたら、あれくらいの衝撃を受けないと心臓は反応しない仕様に変わってしまったのかもしれない。
「噂で聞いてるヤツもいると思うが、この場で正式に知らせる。西中の桜井と雲雀が群青に入った。どっちがどっちか、知らないやつはいねーな?」
なんならこの2人の認知度は群青の人にとって常識レベルだし、この2人と私が並べられている状態を俯瞰すると一層居心地が悪かった。
「……ブルー・フロックじゃないのかな?」
それはさておき“群青”と書いて“ブルー・フロック”と読むのがこのチームではないのだろうか? つい桜井くんに小声で囁くと「長いから“ぐんじょう”ってみんな呼ぶんだって」とのことだった。なるほど、と頷く私を雲雀くんが見ていたけれど、何を言いたいのかは分からなかった。
「で、隣が三国英凜だ」
そして私の紹介もされる、と……。さっきの予想とは違って、名前を呼ばれた瞬間に心臓が一瞬跳ねた。ただ、ほんの一瞬で、すぐに収まった。
「おい颯人」
「はいっ!」
なぜか、群青(私も倣ってそう呼ぶことにしよう)の中の1人が名前を呼ばれた。返事をしたのは、少しくせ毛交じりの可愛い顔をした人だった。暗くてよく分からないけれど、きっとその髪色はダークブラウンで、学ランの着方も、優等生とまでは言わないけれど普通科にありふれた着崩し方をしている程度の、そんなに派手なものではなかった。なんなら学年徽章もちゃんとつけていて、同級生のようだ。
私達に続いて呼ばれるということは、私達と同じく群青メンバーと告知される予定と考えるのが当然だけれど、その人は私達と違って群青のメンバーですみたいな顔をして列に混ざっていた。首を傾げていると、蛍さんは私を親指で示した。
「お前の件、三国が立ち会ってやる。よく頭下げときな」
「はいっ! すみません三国さん、よろしくお願いします!」
「……はい?」
そしていきなり頭を下げられた。目を白黒させる私の隣で桜井くんと雲雀くんは「6組の中津じゃん」「知ってんのか」「うん。舜とよくバカやってる」なんて話している。
「……え、いや、これ一体……え……?」
「三国、詳しいことは今度説明するけど、まあ頼むな」
「え……?」



