そういえば私は必死に会話を繋げたという事実が、傍からは話が合っているように見えた、みたいな話があった……。意図を理解して頷いていると「ほーらね。三国ちゃんだめだよ、そういうことしちゃ」と九十三先輩はしたり顔だ。というか、“例の普通科の笹部”呼ばわりするなんて、九十三先輩の中で笹部くんはどんな立ち位置なんだ。
「そういうことするとね、男は馬鹿だから勘違いするわけ。あれッもしかして三国って俺のこと好きなのかな!? ってね」
「私はそんな馬鹿みたいに単純な認識はしません」
「だから男はそうだつってんの!」
……だって桜井くんが私の家の鍵に限って忘れずにちゃんと持ってきてくれたって、それは桜井くんが私を好きだという意味にはならないのだから。
「……でも仲が良くない人のことはそうやって覚えてる話で繋げないと会話が続かなくないですか? それを会話を繋げたからって好きだとかどうだとか……」
「え、仲良くないヤツと話なんて続けなくてよくね? 続けてんだから好きなんだろって思うだろ」
……目から鱗が落ちた。話が続かなくて三国はやっぱり頭のおかしいヤツなんだのなんだの思われるのは嫌だ、なんて思って一生懸命続けてたけど、それは私の自尊心の問題だった……?
「もしかして……私は尊大で傲慢だったのかもしれないです……反省しました」
「ソンダイってなに」
「今の話の流れで何反省すんだよ」
「笹部くんを引っ掛けちゃったことでしょ」
「話は戻りますけど、蛍さんは甘いもの嫌いなら……なになら食べるんでしょう、アイスとか?」
「先輩の誕生日にアイス買ってくるってなんだよ、パシリの才能あんじゃねーか。ガリガリ君しか食わねーよ俺は」
蛍さんがそれでいいというならそれでいいけど、それは先輩の誕生日に渡すものとして相応しくない気がする。例えばハーゲン・コペンとか高級なアイスなら誕生日の特別感もあるのに。
「蛍さん、安上がりなんですね……」
「お前先輩ナメてんのか」
そんな私達の会話の中に「九十三、蛍」と山口先生の大声が割り込んできた。職員室の中から、その大きな顔だけを出している。
「喋ってばっかりの声、聞こえとるぞ。補習進んどるんか」
「1年トップの三国ちゃんと2年トップの能勢くんがついてるー」
「自分で解け、バカモン」
やっぱり補習だったんだ……。しかも一応自主的に解くことを推奨されていたらしい。(私は世界史が分からないからいいけど)能勢さんが口を出していいものではなかったようだ。
「……じゃあ私はこれで」
「えー、三国ちゃんもっとお喋りしていこーよー」
「お喋りつったな今」
「永人だって喋ってばっかじゃん。本当は三国ちゃんから誕プレ欲しいん──」
ベシャ、と世界史のプリントが九十三先輩の顔面に押し付けられた。九十三先輩も軽口は相手を選べばいいのに……。
「じゃ、俺もこれで」
「お前は答え教えていけよ」
「補習なんですよね?」
「わかんねーもん」
「ほら行くよ三国ちゃん」
ひょいと両肩に乗せられた手に方向転換させられ、ドキリと心臓が跳ねた。雲雀くんもそうだけど、能勢さんもなんでもない顔でスキンシップを取ってくる。女の子に慣れてるせいだろうし、だから他意がないことも分かるけど、顔が良い人がそういうことをするのはやめてほしい。
「そういうことするとね、男は馬鹿だから勘違いするわけ。あれッもしかして三国って俺のこと好きなのかな!? ってね」
「私はそんな馬鹿みたいに単純な認識はしません」
「だから男はそうだつってんの!」
……だって桜井くんが私の家の鍵に限って忘れずにちゃんと持ってきてくれたって、それは桜井くんが私を好きだという意味にはならないのだから。
「……でも仲が良くない人のことはそうやって覚えてる話で繋げないと会話が続かなくないですか? それを会話を繋げたからって好きだとかどうだとか……」
「え、仲良くないヤツと話なんて続けなくてよくね? 続けてんだから好きなんだろって思うだろ」
……目から鱗が落ちた。話が続かなくて三国はやっぱり頭のおかしいヤツなんだのなんだの思われるのは嫌だ、なんて思って一生懸命続けてたけど、それは私の自尊心の問題だった……?
「もしかして……私は尊大で傲慢だったのかもしれないです……反省しました」
「ソンダイってなに」
「今の話の流れで何反省すんだよ」
「笹部くんを引っ掛けちゃったことでしょ」
「話は戻りますけど、蛍さんは甘いもの嫌いなら……なになら食べるんでしょう、アイスとか?」
「先輩の誕生日にアイス買ってくるってなんだよ、パシリの才能あんじゃねーか。ガリガリ君しか食わねーよ俺は」
蛍さんがそれでいいというならそれでいいけど、それは先輩の誕生日に渡すものとして相応しくない気がする。例えばハーゲン・コペンとか高級なアイスなら誕生日の特別感もあるのに。
「蛍さん、安上がりなんですね……」
「お前先輩ナメてんのか」
そんな私達の会話の中に「九十三、蛍」と山口先生の大声が割り込んできた。職員室の中から、その大きな顔だけを出している。
「喋ってばっかりの声、聞こえとるぞ。補習進んどるんか」
「1年トップの三国ちゃんと2年トップの能勢くんがついてるー」
「自分で解け、バカモン」
やっぱり補習だったんだ……。しかも一応自主的に解くことを推奨されていたらしい。(私は世界史が分からないからいいけど)能勢さんが口を出していいものではなかったようだ。
「……じゃあ私はこれで」
「えー、三国ちゃんもっとお喋りしていこーよー」
「お喋りつったな今」
「永人だって喋ってばっかじゃん。本当は三国ちゃんから誕プレ欲しいん──」
ベシャ、と世界史のプリントが九十三先輩の顔面に押し付けられた。九十三先輩も軽口は相手を選べばいいのに……。
「じゃ、俺もこれで」
「お前は答え教えていけよ」
「補習なんですよね?」
「わかんねーもん」
「ほら行くよ三国ちゃん」
ひょいと両肩に乗せられた手に方向転換させられ、ドキリと心臓が跳ねた。雲雀くんもそうだけど、能勢さんもなんでもない顔でスキンシップを取ってくる。女の子に慣れてるせいだろうし、だから他意がないことも分かるけど、顔が良い人がそういうことをするのはやめてほしい。



