多分、世界史の補習だったのだろう。まだ習っていないので知らない話だったけれど、世界史の話に違いなかった。なんなら蛍さんの感想は「そこじゃなくないですか?」なんてツッコミを入れたかったけど黙っておいた。
能勢さんは私に気が付いて顔を上げ「あれ、また雲雀くんとの関係で呼び出し食らったの?」と笑む。この人も、結局疑う必要のない人だったな……。
「いえ、今日はただの日直で」
「お前そんな呼び出し食らってたのかよ」
「永人にその話しなかったっけ?」
「あー……したかも」
「てか雲雀くんのピアス、新しくなかった? あれ三国ちゃんからの誕プレ?」
……目敏いな、能勢さん。桜井くんは何も言わなかったというのに。お陰で九十三先輩と蛍さんまで「え、なになに、何の話」「今すぐ座れ、報告しろ」と空席の椅子を引く。そんなところに座るわけがない。
「……いえ、昨日が雲雀くんの誕生日だったので、プレゼントにピアスをあげたというだけの話で」
「ピアスあげるってなんかエロくない?」
「何がどうなってそんなことになるんですか……」
「でもそっかー、ピアスかー。ま、いんじゃない、三国ちゃんの処女あげるとかより全然いいよね」
ハハッと笑った九十三先輩の頭がゴンッと蛍さんの手で机に押し付けられた。さすがの能勢さんでさえ白い目を向けている。実際九十三先輩の発想は突飛過ぎて、神経間の情報伝達が上手くできていないのではないかと疑うレベルだ。
「誕生日っていえば」とりあえず話題を変更しようとしたのか、能勢さんが視線を蛍さんに向けて「永人さんも来月ですよね、誕生日。何かします?」
「え、そうなんですか?」
何をするのかはさておき、蛍さんの誕生日なんて初耳だ。近いなら誰かが言ってくれてもいいのに、と思ったものの、男子が互いの誕生日を気にしてるなんて(それこそ桜井くんと雲雀くんが同じ誕生日であるように)特別な事情がなければないものなので、そんなものかもしれない。
それに、蛍さんも至極どうでもよさそうな顔をしている。横柄に股を開いて頬杖をつき「高3にもなって誕生日祝うかよ。小3じゃねーんだぞ」なんて悪態を吐いている始末だ。
「……でもまだ18歳じゃないですか。お祝いしてもいい年だと思うんですけど」
「年下が何言ってんだよ。大体こいつらの言う祝いってケーキ買っておうちでお誕生日会とかじゃねーぞ、バイク乗って旗差して走り回んだぞ」
……それは、私は参加できなさそうな誕生日だ。お世話になってる先輩の誕生日をぜひ祝おうなんて気持ちになっていた自分がすたこらさっさとどこかへ消えてしまった。
とはいえ、誕生日会に参加する以外にも誕生日を祝う方法はある。桜井くんのように──結局渡さなかったけど──お菓子を買うとか。
「……でも蛍さんって甘いものも嫌いでしたよね」
「そうだけど。んな話したっけ、俺」
……桜井くんにしても蛍さんにしても、男子というのは自分が口にしたことを覚えていないのだろうか。
「勉強会で蛍さんの元カノさんと別れた理由話してる時に口の中が甘ったるくなるものは好きじゃないって仰ってたじゃないですか」
「お前よく覚えてんな」
「三国ちゃん、さてはそういうこと例の普通科の笹部にやってた?」
そういうこと……とは? 首をひねっていると「笹部くんが話したことよく覚えてあげてたんじゃない? 三国ちゃんが興味ないスポーツの話とか」と能勢さんに横から補足された。
「そういうことなら……そうかもしれません」
能勢さんは私に気が付いて顔を上げ「あれ、また雲雀くんとの関係で呼び出し食らったの?」と笑む。この人も、結局疑う必要のない人だったな……。
「いえ、今日はただの日直で」
「お前そんな呼び出し食らってたのかよ」
「永人にその話しなかったっけ?」
「あー……したかも」
「てか雲雀くんのピアス、新しくなかった? あれ三国ちゃんからの誕プレ?」
……目敏いな、能勢さん。桜井くんは何も言わなかったというのに。お陰で九十三先輩と蛍さんまで「え、なになに、何の話」「今すぐ座れ、報告しろ」と空席の椅子を引く。そんなところに座るわけがない。
「……いえ、昨日が雲雀くんの誕生日だったので、プレゼントにピアスをあげたというだけの話で」
「ピアスあげるってなんかエロくない?」
「何がどうなってそんなことになるんですか……」
「でもそっかー、ピアスかー。ま、いんじゃない、三国ちゃんの処女あげるとかより全然いいよね」
ハハッと笑った九十三先輩の頭がゴンッと蛍さんの手で机に押し付けられた。さすがの能勢さんでさえ白い目を向けている。実際九十三先輩の発想は突飛過ぎて、神経間の情報伝達が上手くできていないのではないかと疑うレベルだ。
「誕生日っていえば」とりあえず話題を変更しようとしたのか、能勢さんが視線を蛍さんに向けて「永人さんも来月ですよね、誕生日。何かします?」
「え、そうなんですか?」
何をするのかはさておき、蛍さんの誕生日なんて初耳だ。近いなら誰かが言ってくれてもいいのに、と思ったものの、男子が互いの誕生日を気にしてるなんて(それこそ桜井くんと雲雀くんが同じ誕生日であるように)特別な事情がなければないものなので、そんなものかもしれない。
それに、蛍さんも至極どうでもよさそうな顔をしている。横柄に股を開いて頬杖をつき「高3にもなって誕生日祝うかよ。小3じゃねーんだぞ」なんて悪態を吐いている始末だ。
「……でもまだ18歳じゃないですか。お祝いしてもいい年だと思うんですけど」
「年下が何言ってんだよ。大体こいつらの言う祝いってケーキ買っておうちでお誕生日会とかじゃねーぞ、バイク乗って旗差して走り回んだぞ」
……それは、私は参加できなさそうな誕生日だ。お世話になってる先輩の誕生日をぜひ祝おうなんて気持ちになっていた自分がすたこらさっさとどこかへ消えてしまった。
とはいえ、誕生日会に参加する以外にも誕生日を祝う方法はある。桜井くんのように──結局渡さなかったけど──お菓子を買うとか。
「……でも蛍さんって甘いものも嫌いでしたよね」
「そうだけど。んな話したっけ、俺」
……桜井くんにしても蛍さんにしても、男子というのは自分が口にしたことを覚えていないのだろうか。
「勉強会で蛍さんの元カノさんと別れた理由話してる時に口の中が甘ったるくなるものは好きじゃないって仰ってたじゃないですか」
「お前よく覚えてんな」
「三国ちゃん、さてはそういうこと例の普通科の笹部にやってた?」
そういうこと……とは? 首をひねっていると「笹部くんが話したことよく覚えてあげてたんじゃない? 三国ちゃんが興味ないスポーツの話とか」と能勢さんに横から補足された。
「そういうことなら……そうかもしれません」



