私の後ろに座っていた山本先輩が叫んだせいで、最早私にとっては地獄となった。焼肉そっちのけで先輩達が「詳しく!」「まずは雲雀を殺せ」と喚き始めた。
「んで、三国ちゃん。詳しく話せ」
今まで聞いたことのない命令口調だった。
「いや……詳しく話すもなにも……ない気がするんですけど……」
「あるでしょ? なんて言って告白されたのかとか」
「てかいつだよ! お前ら公開告白断固否定しただろ!」
「おい桜井逃げようとすんな、お前も関係あるだろ」
「関係なくない? 侑生と英凜の問題じゃん!」
こっそりテーブルを離れようとしていた桜井くんは蛍さんの躾により再び捕まった。でも確かに私達の問題なので、これは桜井くんが正しい。
「てかお前知ってんだよな? お前でもいいや、三国はいつどこでなんて言って告られたんだ」
「知らない」
「知らないじゃねーだろ知ってんだろ」
「嘘吐きは舌抜いて焼いちゃうよ?」
「怖い! やだ! でも俺がバラしたら俺が侑生に殺されるじゃん!」
「、じゃ三国ちゃんが言えばいいじゃん。三国ちゃんは雲雀くんに殺されないからさ」
非常に合理的な発想だ。こんな時は合理的な発想もお手の物な能勢さんが憎い。
「……いえ、そういう話は……雲雀くんが言うと決めたので……」
「ほお。雲雀、洗いざらい吐きな」
まるで取調べのように、蛍さんがトントンと指でテーブルを叩いた。真っ赤になっている私と雲雀くんの前で、先輩達は怒るフリしてその顔つきはニヤニヤと楽しそうだ。こんなに楽しそうな先輩達を見たことがない。いや、しいて比較対象があるとすれば、この間体育館で私と雲雀くんの関係をいじったときだ。その時と同じくらい楽しそうにしている。
「なんて告ったんだよ、言ってみな」
「……別に普通だと思いますけど」
「雲雀くん顔真っ赤にしちゃってさあ、意外とピュアだね。ピュアついでに手は出した? 出してない?」
「出していたらお前の手を焼く」
「なんでもかんでも焼こうとするのやめてください」
「てかいーや、先に『群青の健全なる異性交遊に関する三箇条』決めようぜ。門限は夕方5時、常に15センチ以上離れろ、二人きりになるな、手を出していいのはAAAまで」
「四箇条になってますけど」
「AAAって何ですか……?」
「頭を撫でるまで」
横柄な態度で言い放つ九十三先輩を能勢さんが「九十三先輩にもそんな可愛らしい発想できるんですね」と笑った。でも頭を撫でるのは……そもそも付き合ってるとか付き合ってないとか関係なく……。
「それは雲雀くん誰にでもやるんじゃ……」
「やんねーよ!」
怒鳴られてしまってびっくり首を竦ませると、ははーん、とでも言いたげに能勢さんが口角を吊り上げたし、蛍さんも頬杖をついたまま器用に頬をひきつらせた。
「……今のなんだよ。遠回しな惚気か?」
「まあ付き合う男女なんて付き合う前からそんなもんでしょ。さっさと付き合えよって周りは思ってるもんなんですよねえ」
「つまんねー、さっさと別れろよ。三国ちゃんコイツマジで全然つまんない男だから。グラビアに欠ッ片も反応しねーから」
「それは良いところになりません?」
「つまんねーだろ!」
「俺らにとってはな」
「てかグラビアに反応しない男なんていないんだから、反応しないイコールただのムッツリ。あーやらしーやらしー。どうせ三国ちゃんにあんなことやこんなことするに決まってる」
「AAAまでだからな。頭以外を撫でたら群青が総力を挙げて潰す」
「……無理強いはしません」
「んで、三国ちゃん。詳しく話せ」
今まで聞いたことのない命令口調だった。
「いや……詳しく話すもなにも……ない気がするんですけど……」
「あるでしょ? なんて言って告白されたのかとか」
「てかいつだよ! お前ら公開告白断固否定しただろ!」
「おい桜井逃げようとすんな、お前も関係あるだろ」
「関係なくない? 侑生と英凜の問題じゃん!」
こっそりテーブルを離れようとしていた桜井くんは蛍さんの躾により再び捕まった。でも確かに私達の問題なので、これは桜井くんが正しい。
「てかお前知ってんだよな? お前でもいいや、三国はいつどこでなんて言って告られたんだ」
「知らない」
「知らないじゃねーだろ知ってんだろ」
「嘘吐きは舌抜いて焼いちゃうよ?」
「怖い! やだ! でも俺がバラしたら俺が侑生に殺されるじゃん!」
「、じゃ三国ちゃんが言えばいいじゃん。三国ちゃんは雲雀くんに殺されないからさ」
非常に合理的な発想だ。こんな時は合理的な発想もお手の物な能勢さんが憎い。
「……いえ、そういう話は……雲雀くんが言うと決めたので……」
「ほお。雲雀、洗いざらい吐きな」
まるで取調べのように、蛍さんがトントンと指でテーブルを叩いた。真っ赤になっている私と雲雀くんの前で、先輩達は怒るフリしてその顔つきはニヤニヤと楽しそうだ。こんなに楽しそうな先輩達を見たことがない。いや、しいて比較対象があるとすれば、この間体育館で私と雲雀くんの関係をいじったときだ。その時と同じくらい楽しそうにしている。
「なんて告ったんだよ、言ってみな」
「……別に普通だと思いますけど」
「雲雀くん顔真っ赤にしちゃってさあ、意外とピュアだね。ピュアついでに手は出した? 出してない?」
「出していたらお前の手を焼く」
「なんでもかんでも焼こうとするのやめてください」
「てかいーや、先に『群青の健全なる異性交遊に関する三箇条』決めようぜ。門限は夕方5時、常に15センチ以上離れろ、二人きりになるな、手を出していいのはAAAまで」
「四箇条になってますけど」
「AAAって何ですか……?」
「頭を撫でるまで」
横柄な態度で言い放つ九十三先輩を能勢さんが「九十三先輩にもそんな可愛らしい発想できるんですね」と笑った。でも頭を撫でるのは……そもそも付き合ってるとか付き合ってないとか関係なく……。
「それは雲雀くん誰にでもやるんじゃ……」
「やんねーよ!」
怒鳴られてしまってびっくり首を竦ませると、ははーん、とでも言いたげに能勢さんが口角を吊り上げたし、蛍さんも頬杖をついたまま器用に頬をひきつらせた。
「……今のなんだよ。遠回しな惚気か?」
「まあ付き合う男女なんて付き合う前からそんなもんでしょ。さっさと付き合えよって周りは思ってるもんなんですよねえ」
「つまんねー、さっさと別れろよ。三国ちゃんコイツマジで全然つまんない男だから。グラビアに欠ッ片も反応しねーから」
「それは良いところになりません?」
「つまんねーだろ!」
「俺らにとってはな」
「てかグラビアに反応しない男なんていないんだから、反応しないイコールただのムッツリ。あーやらしーやらしー。どうせ三国ちゃんにあんなことやこんなことするに決まってる」
「AAAまでだからな。頭以外を撫でたら群青が総力を挙げて潰す」
「……無理強いはしません」



