「【俺たちといると頭が腐っちまうぞ】」
「えー、やば、クリス恰好いいな」
主人公の親友で、正義感があって、ガキ大将。顔つきのとおり、話す内容も理知的だ。
「テディのことも物理的に何回も助けてるもんね」
「正義感が強いとか、誰かを助けるってことに躊躇ないタイプだよな」
「性善説みたいな」
「まあ赤ん坊が井戸に落ちそうだったら、このクリスは間違いなく助けるだろうな」
「なんで井戸?」
「……桜井くん義務教育受けてる?」
「いまスンゲェ暴言吐かれた気がするんだけど」
「実際義務教育だろ」
主人公とクリスの関係は、男子独特の悪ふざけのノリもあれば少年らしくない秘密を共有している部分もあって、その意味で特別な絆を感じさせる。どこか、桜井くんと雲雀くんの関係に似ていた。
「……2人ってなんで仲良くなったの?」
「なんだ急に」
「言ったじゃん、誕生日が一緒だって」
「もっと、なんかエピソード的なのがあるんじゃないのかなって」
「んー、忘れた」
雲雀くんは無言だった。でもここまで仲の良い2人がそのエピソードを覚えていないわけがない。
ただ、じゃあ陽菜と仲良くなった最大のきっかけを思い出せるかと言われると、どれが決定打だったのか考えるのは難しい。そんなものか、ととりあえずは納得した。
最終的に、4人は死体を見つけ、それを不良グループに見つかるも退け、ただ死体を見つけたと喧伝することはなく、匿名で通報だけして町へ帰る。4人はそれぞれ帰路につき、主人公の語りでその将来が語られる。クリスと別れるのは一番最後で「【I'll see you.】」「【Not if I see you first.】」と挨拶する。主人公とクリスの絆を知るには今までのシーンでも充分だったのに、その悪態にも近い挨拶でそれが一層伝わってくる。きっとこれは少年同士でなければでない挨拶だ。そう思うとどこか羨ましかった。
「【クリスは彼らしくとても努力した。そして大学へ行き、弁護士になった】」
「【クリスは喧嘩を止めようとした。そして喉を刺され、即死した】」
その思い出を振り返る主人公は小説家になっていて、パソコンへ打つ文字で話が締め括られる。
「【I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus, does anyone?】」
主人公の息子たちが遊んでいる姿を最後にエンドロールが流れ始める。隣の桜井くんがぐーっと背伸びをした。
「終わったー。もっとつまんないかと思ってたけど意外とよかったかも」
「ガキのノリってアメリカもこっちも変わんねーのな」
「俺も猛勉強して弁護士なろっかな、クリスみたいに」
「死亡フラグじゃねーか」
「大丈夫、俺ならナイフに刺されるなんてヘマしないし」
立ち上がった桜井くんは、ひょいひょいとそのまま消えていった。きっとトイレだ。後で私も借りよう。
リビングには私と雲雀くんだけが取り残された。雲雀くんが座っている側の右肩には微妙な緊張が走る。夏休み前、雲雀くんがうちに来て、お茶葉の缶を取り出そうとしたときからそうだ。桜井くんと一緒にいるときには感じない、妙な緊張感が体に走る。
「……最後、主人公は小説家になったって設定だったね」
口に出た声が硬いのが分かった。でも「ああ、でそこそこ成功してんだよな」と返事をする雲雀くんの声はいつもどおりだった。
「一軒家に住んでて妻と子供あり、だし」
「えー、やば、クリス恰好いいな」
主人公の親友で、正義感があって、ガキ大将。顔つきのとおり、話す内容も理知的だ。
「テディのことも物理的に何回も助けてるもんね」
「正義感が強いとか、誰かを助けるってことに躊躇ないタイプだよな」
「性善説みたいな」
「まあ赤ん坊が井戸に落ちそうだったら、このクリスは間違いなく助けるだろうな」
「なんで井戸?」
「……桜井くん義務教育受けてる?」
「いまスンゲェ暴言吐かれた気がするんだけど」
「実際義務教育だろ」
主人公とクリスの関係は、男子独特の悪ふざけのノリもあれば少年らしくない秘密を共有している部分もあって、その意味で特別な絆を感じさせる。どこか、桜井くんと雲雀くんの関係に似ていた。
「……2人ってなんで仲良くなったの?」
「なんだ急に」
「言ったじゃん、誕生日が一緒だって」
「もっと、なんかエピソード的なのがあるんじゃないのかなって」
「んー、忘れた」
雲雀くんは無言だった。でもここまで仲の良い2人がそのエピソードを覚えていないわけがない。
ただ、じゃあ陽菜と仲良くなった最大のきっかけを思い出せるかと言われると、どれが決定打だったのか考えるのは難しい。そんなものか、ととりあえずは納得した。
最終的に、4人は死体を見つけ、それを不良グループに見つかるも退け、ただ死体を見つけたと喧伝することはなく、匿名で通報だけして町へ帰る。4人はそれぞれ帰路につき、主人公の語りでその将来が語られる。クリスと別れるのは一番最後で「【I'll see you.】」「【Not if I see you first.】」と挨拶する。主人公とクリスの絆を知るには今までのシーンでも充分だったのに、その悪態にも近い挨拶でそれが一層伝わってくる。きっとこれは少年同士でなければでない挨拶だ。そう思うとどこか羨ましかった。
「【クリスは彼らしくとても努力した。そして大学へ行き、弁護士になった】」
「【クリスは喧嘩を止めようとした。そして喉を刺され、即死した】」
その思い出を振り返る主人公は小説家になっていて、パソコンへ打つ文字で話が締め括られる。
「【I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus, does anyone?】」
主人公の息子たちが遊んでいる姿を最後にエンドロールが流れ始める。隣の桜井くんがぐーっと背伸びをした。
「終わったー。もっとつまんないかと思ってたけど意外とよかったかも」
「ガキのノリってアメリカもこっちも変わんねーのな」
「俺も猛勉強して弁護士なろっかな、クリスみたいに」
「死亡フラグじゃねーか」
「大丈夫、俺ならナイフに刺されるなんてヘマしないし」
立ち上がった桜井くんは、ひょいひょいとそのまま消えていった。きっとトイレだ。後で私も借りよう。
リビングには私と雲雀くんだけが取り残された。雲雀くんが座っている側の右肩には微妙な緊張が走る。夏休み前、雲雀くんがうちに来て、お茶葉の缶を取り出そうとしたときからそうだ。桜井くんと一緒にいるときには感じない、妙な緊張感が体に走る。
「……最後、主人公は小説家になったって設定だったね」
口に出た声が硬いのが分かった。でも「ああ、でそこそこ成功してんだよな」と返事をする雲雀くんの声はいつもどおりだった。
「一軒家に住んでて妻と子供あり、だし」



