ふふ、と頭が痛いのも忘れてつい笑ってしまった。雲雀くんは本当に牧落さんのことが苦手らしい。それなのに、蛍さんの命令があるとはいえ、私が気まずそうなんて理由で一緒に来てくれた雲雀くんはやっぱり優しい。
……やっぱり準・妹扱いなのかもしれない。脳裏には、雲雀くんの妹の話を聞いたとき――桜井くんに勉強を教えるなんて口実で、雲雀くんと3人で教室に残っていたときの写真が目に浮かんだ。
ズキリと頭が痛んだ。……面倒な性質だ。
私の腕が動いたのを視界の隅で敏感に捉えたらしく「……まだ頭痛いの」雲雀くんは視線ごと私に意識を向けた。
「……痛い、けど」
「けど?」
特に続きがあるわけではなかった。平気だと言っても大丈夫だと言っても、雲雀くんにはお見通しだろうし……。
「……まあ、たまにあることなので……」
「疲れやすいって言ってたな」
「……ああ、うん」
「人酔いじゃなくて疲れたのか」
「……うん。もしかしたら人酔いなのかもしれないけど、あんまり分かってない」
「分かってない?」
好き勝手に喋り歩く人々の間を雲雀くんと並んで歩く。こうしていると、まるで最初から2人きりで出かけていたみたいだ。
「……分かんない。っていうか、多分このせいかな、っていうのはあるんだけど、別に医者に診てもらったわけでもないし……」
「別に医者に診てもらわなくたって、自分でこのせいかもって思ってんのがあるんだろ。んじゃそれなんじゃねーの。つか対照実験みたいなことやったら分かりそうだけどな」
要は、その原因と思しきものがある状態とない状態、それぞれの状態でデパートに行って、頭痛がするか試してみればいいのでは、という話だ。でもそれができるならしている。現に今日だって、|保存する気なんてなかったのにしていたんだから。
「つか、三国はなんのせいだと思ってんの?」
いつの間にか、私達の足は大通公園の外縁を歩いていた。もう少し歩けば敷地内に入れる、そうすれば座れるところがあるし、視覚情報も景色が主になる。そうすれば……、少し楽になる。
その楽さを考えただけで誘惑されてしまったように、意識がベンチに向いた。雲雀くんはきっとそれに気づいていて、私が吸い寄せられるようにベンチに向かうのを、そしてそのせいで会話が途切れてしまったことを、仕方がなく思っている。
ただ、ポスンと空いているベンチに座りこんでしまったとき、雲雀くんはいなかった。どこへ行ってしまったのだろう、と周囲を見回そうとしたけれど、頭が重たくてできなかった。ズキリと痛んだ目の奥を労わるように、こめかみを指で揉む。目蓋の裏で、ぐにゃりと写真が歪む。
その手の甲に、ひたりと冷たく固いものが当たって驚いて顔を上げた。視界に映るのは雲雀くんと、水の入ったペットボトルだ。
「飲んだら? なんか渇いてそう」
「渇いてそうって」
私が干物にでも見えているのだろうか、そうだとしたらちょっと失礼なのに、受け取りながら笑ってしまった。
「ありがと、助かる……」
「別に、つかあんな店いたら水と酸素足りねー」
ドカッと隣に腰かけた雲雀くんの手にはもう一本、ペットボトルがあった。セリフも合わせて考えれば、当然に雲雀くんも喉が渇いていたからなのかもしれないけれど、なんとなく、そこまで含めて気遣いだと分かった。だってこれからアイスコーヒーがくるのだから。
……やっぱり準・妹扱いなのかもしれない。脳裏には、雲雀くんの妹の話を聞いたとき――桜井くんに勉強を教えるなんて口実で、雲雀くんと3人で教室に残っていたときの写真が目に浮かんだ。
ズキリと頭が痛んだ。……面倒な性質だ。
私の腕が動いたのを視界の隅で敏感に捉えたらしく「……まだ頭痛いの」雲雀くんは視線ごと私に意識を向けた。
「……痛い、けど」
「けど?」
特に続きがあるわけではなかった。平気だと言っても大丈夫だと言っても、雲雀くんにはお見通しだろうし……。
「……まあ、たまにあることなので……」
「疲れやすいって言ってたな」
「……ああ、うん」
「人酔いじゃなくて疲れたのか」
「……うん。もしかしたら人酔いなのかもしれないけど、あんまり分かってない」
「分かってない?」
好き勝手に喋り歩く人々の間を雲雀くんと並んで歩く。こうしていると、まるで最初から2人きりで出かけていたみたいだ。
「……分かんない。っていうか、多分このせいかな、っていうのはあるんだけど、別に医者に診てもらったわけでもないし……」
「別に医者に診てもらわなくたって、自分でこのせいかもって思ってんのがあるんだろ。んじゃそれなんじゃねーの。つか対照実験みたいなことやったら分かりそうだけどな」
要は、その原因と思しきものがある状態とない状態、それぞれの状態でデパートに行って、頭痛がするか試してみればいいのでは、という話だ。でもそれができるならしている。現に今日だって、|保存する気なんてなかったのにしていたんだから。
「つか、三国はなんのせいだと思ってんの?」
いつの間にか、私達の足は大通公園の外縁を歩いていた。もう少し歩けば敷地内に入れる、そうすれば座れるところがあるし、視覚情報も景色が主になる。そうすれば……、少し楽になる。
その楽さを考えただけで誘惑されてしまったように、意識がベンチに向いた。雲雀くんはきっとそれに気づいていて、私が吸い寄せられるようにベンチに向かうのを、そしてそのせいで会話が途切れてしまったことを、仕方がなく思っている。
ただ、ポスンと空いているベンチに座りこんでしまったとき、雲雀くんはいなかった。どこへ行ってしまったのだろう、と周囲を見回そうとしたけれど、頭が重たくてできなかった。ズキリと痛んだ目の奥を労わるように、こめかみを指で揉む。目蓋の裏で、ぐにゃりと写真が歪む。
その手の甲に、ひたりと冷たく固いものが当たって驚いて顔を上げた。視界に映るのは雲雀くんと、水の入ったペットボトルだ。
「飲んだら? なんか渇いてそう」
「渇いてそうって」
私が干物にでも見えているのだろうか、そうだとしたらちょっと失礼なのに、受け取りながら笑ってしまった。
「ありがと、助かる……」
「別に、つかあんな店いたら水と酸素足りねー」
ドカッと隣に腰かけた雲雀くんの手にはもう一本、ペットボトルがあった。セリフも合わせて考えれば、当然に雲雀くんも喉が渇いていたからなのかもしれないけれど、なんとなく、そこまで含めて気遣いだと分かった。だってこれからアイスコーヒーがくるのだから。



