能勢さんの分かりやすい説明になるほどと頷いた。そして能勢さんのキャラクターから、ホワイトデーに数多の女子からそれを強請られているのも想像がついた。だからこそそこまで詳しいのだろうけれど。
「確か永人さんが別れた原因もそれですよね?」
「はい?」
ただ、思わぬ話題に頓狂な声が出てしまった。少女趣味なカフェと永人さんが別れる、その間にある論理が理解できない。訝しげな顔をする私を見てか、蛍さんが苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……原因じゃねーよ。ほら女子って積み重ねで爆発すんだろ」
「……そうなんですか?」
能勢さんの目が、一瞬動いた。でもその視線の先に何があるのか分からなかったくらい、その動きは一瞬で、すぐに蛍さんに向けられる。
「まあ大抵の女子はそうだよね。永人さんの元カノも例外ではなく」
「え、で、永人さん、それでフラれたイタイッ! それ勉強してない人用じゃん!」
ツカツカと歩み寄った蛍さんはバシィッとハリセンで桜井くんの横面を叩いた。相当強く叩かれたのだろう、桜井くんは頬を押さえながら涙目だ。蛍さんはその目を冷ややかに細める。
「うるせーな関係ねーだろ。じゃあお前はプリティなんてクソ寒い名前の店に入れんのか、あん?」
「俺そんな話してなくない?」
「……お店に入らなかっただけでフラれたんですか?」
「だからァ、積み重ねだつってんだろ! つかフラれてねえよ!」
「でもどっちも潮時みたいな感じだったんでしょ? 彼女のお願いを聞いてあげないからそうなるんですよ」能勢さんはニマニマなんて聞こえてきそうなちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて「なに言っても聞いてくれないし、プリティに行かなかったのがトドメみたいな」
……意外だ。蛍さんは妹さんもいるらしいし、口は悪いけど面倒見もいいし、なんやかんや彼女の我儘に付き合ってくれそうなのに。
「あのなあ、別に俺だって何も聞かなかったわけじゃないだろ」
この話題に観念したのか、蛍さんはそのまま教卓の上に座り来んだ。この人、いつも教卓の上に座っているけど、高いところが好きなのだろうか。
「デート行きたいって言われりゃ行ったし、バレンタインだってちゃんと受け取ったし……」
「永人さん、2つめのって人として普通じゃね?」
「俺は口の中が甘ったるくなるもん好きじゃねーんだよ」
そう言われると、いかにも甘ったるいお菓子を出しそうな“パティスリー・プリティ”なんて蛍さんにとっては地獄か拷問だったのかもしれない。でもそれは彼女さん(元カノさん?)との相性が悪いとしか言いようがない。
「元カノさん、隣のクラスでしたっけ? 話したりするんです?」
「しねーよ。向こうが話しかけてこねーのになんで俺が話しかけるんだ」
「向こうは話しかけたそーにしてるけどね。プライドが許さないんだろうなー、|永人に話しかけるの」
「ああ、なんだかありそうな話ですね。未練とかないんですか?」
「ねーよ。なんでフッた側に未練があんだよ」
「え、それなんて言ってフッたの? ですか?」
「とってつけたように敬語遣ってんじゃねーぞ桜井。普通だよ、普通。自分がカノジョと別れるとき考えてみな」
「俺、元カノ自然消滅だもん」
「確か永人さんが別れた原因もそれですよね?」
「はい?」
ただ、思わぬ話題に頓狂な声が出てしまった。少女趣味なカフェと永人さんが別れる、その間にある論理が理解できない。訝しげな顔をする私を見てか、蛍さんが苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……原因じゃねーよ。ほら女子って積み重ねで爆発すんだろ」
「……そうなんですか?」
能勢さんの目が、一瞬動いた。でもその視線の先に何があるのか分からなかったくらい、その動きは一瞬で、すぐに蛍さんに向けられる。
「まあ大抵の女子はそうだよね。永人さんの元カノも例外ではなく」
「え、で、永人さん、それでフラれたイタイッ! それ勉強してない人用じゃん!」
ツカツカと歩み寄った蛍さんはバシィッとハリセンで桜井くんの横面を叩いた。相当強く叩かれたのだろう、桜井くんは頬を押さえながら涙目だ。蛍さんはその目を冷ややかに細める。
「うるせーな関係ねーだろ。じゃあお前はプリティなんてクソ寒い名前の店に入れんのか、あん?」
「俺そんな話してなくない?」
「……お店に入らなかっただけでフラれたんですか?」
「だからァ、積み重ねだつってんだろ! つかフラれてねえよ!」
「でもどっちも潮時みたいな感じだったんでしょ? 彼女のお願いを聞いてあげないからそうなるんですよ」能勢さんはニマニマなんて聞こえてきそうなちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて「なに言っても聞いてくれないし、プリティに行かなかったのがトドメみたいな」
……意外だ。蛍さんは妹さんもいるらしいし、口は悪いけど面倒見もいいし、なんやかんや彼女の我儘に付き合ってくれそうなのに。
「あのなあ、別に俺だって何も聞かなかったわけじゃないだろ」
この話題に観念したのか、蛍さんはそのまま教卓の上に座り来んだ。この人、いつも教卓の上に座っているけど、高いところが好きなのだろうか。
「デート行きたいって言われりゃ行ったし、バレンタインだってちゃんと受け取ったし……」
「永人さん、2つめのって人として普通じゃね?」
「俺は口の中が甘ったるくなるもん好きじゃねーんだよ」
そう言われると、いかにも甘ったるいお菓子を出しそうな“パティスリー・プリティ”なんて蛍さんにとっては地獄か拷問だったのかもしれない。でもそれは彼女さん(元カノさん?)との相性が悪いとしか言いようがない。
「元カノさん、隣のクラスでしたっけ? 話したりするんです?」
「しねーよ。向こうが話しかけてこねーのになんで俺が話しかけるんだ」
「向こうは話しかけたそーにしてるけどね。プライドが許さないんだろうなー、|永人に話しかけるの」
「ああ、なんだかありそうな話ですね。未練とかないんですか?」
「ねーよ。なんでフッた側に未練があんだよ」
「え、それなんて言ってフッたの? ですか?」
「とってつけたように敬語遣ってんじゃねーぞ桜井。普通だよ、普通。自分がカノジョと別れるとき考えてみな」
「俺、元カノ自然消滅だもん」



