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『長安門』と書かれた立派な大理石の門を潜ると、その先には赤を基調とした中華風の建物が軒を連ねていた。
それぞれの店先では小籠包や中華ちまきなどがセイロで蒸してあったりして、あちこちから美味しそうな匂いがしてくる。
ハルカちゃんのおすすめの店に入ると、中はお客さんでいっぱいだった。どうやら人気の店らしく、私たちはちょうど二つだけ空いていたカウンター席に座る。
しばらくメニュー表とにらめっこして、私は神戸牛の入った肉まん、ハルカちゃんは豚の角煮が入った角煮まん、それから中華そばと焼飯のセットを注文する。
ほどなくして運ばれてきた肉まんに、私たちはそれぞれ同時にかぶりつく。
すると、熱々の皮はモチっとしていて少し甘い。中身の神戸牛はジューシーな味わいと甘辛いタレが絶妙に絡み合っていて、
「おいしい……」
と、思わず舌鼓を打っていた。
続けて運ばれてきた中華そばと焼飯は、ハルカちゃんと二人で分け合って食べる。
やがて満腹が近づいて食事のペースも落ちてきた頃、ハルカちゃんは椅子の背もたれに背を預けて言った。
「あたしさ、明日のみなとまつりで、悠生に告白する」
何の用意もなく不意打ちをくらった私は、たまらず中華そばを噴き出しそうになった。
咽せて咳き込む私には構わず、ハルカちゃんはいつになく真剣な顔で続ける。
「十七日の、ハーバーの近くで起こる事故。あれが本当に現実になるのかどうかはわからないし、あたしたち四人が最終的にどうなるのかも今はまだ何もわからない。けど、もしもその日に万が一のことがあるとしたら……あたしは、それまでに悔いのないように、やりたいことは全部やっておこうって思うの」
七月十七日の、私たちが予見した事故。その当日まで、残り四日しかない。
ハルカちゃんはその瞬間を迎えるまでに、悔いが残らない生き方をしようとしている。
「悠生がどんな反応をするのかはわかんないけど……あたしは、あいつのことが好きだから。その気持ちを今のうちにちゃんと伝えておこうって思う。だから、明日はうんと可愛く着飾って、あいつを骨抜きにしてやるの」
そう語る彼女の横顔は、ほんのりと赤く染まっていた。緊張と恥じらいの入り混じったその表情は、まさしく恋する乙女のそれだった。
「……そうなんだ。じゃあ、今日は絶対に可愛い浴衣を見つけなきゃね」
結果がどうなるのかはわからないけれど、できるなら二人には結ばれてほしい。これからもずっと、仲睦まじく幸せな笑顔を見せ合う二人であってほしい。
「私、応援してるね。ハルカちゃんのこと」
心からのエールを送ると、途端に彼女は私の方をじっと見つめて、
「そういう真央はどうなの?」
「え?」



