梅雨の間の、六月の午後。

日傘一つの下を、歩く影が二つ。


「暑いねぇ」

「ね、まだ六月とか信じられないねぇ」

今日の授業で面白かったことだったり、ちょっとした恋の噂話だったり。
同じ歩幅で、同じスピードで進む道は、1人で歩くときよりほんのり遅い。

改札へ続く道を右に曲がるのは、何も言わなくても一緒。
曲がった先に見えるコンビニエンスストアに吸い込まれるように入ると、冷気が溢れ出てきてまた
「涼し!」と声を重ねる。

「チョコミントフェア、やってるね」

「実はあんまチョコミント好きじゃないんよね」

「私もー!」

意見が揃うと、顔を見合わせて「「奇遇だねー!」」と笑い合う。

「今日はあんまりパンの気分じゃないんだよね」

「奇遇だねぇ、私も。」

だったりとか、

「新商品のこれ、あんまはやってないけど結構好きなんだよね」

「それな! 奇遇だねぇ」

とか。

何が面白いのかは自分でもわかんないけど、自然と笑顔になって、そして笑う。


そんな他愛もない日常が、意外と好きだったりする。