前書き
・久我 翔太郎 (くが しょうたろう)
年齢…18歳
誕生日…12月14日 (いて座)
好きなもの…ギター、カツ丼
苦手なもの…寒い場所
…
最上沢高校に通う高校3年生。
幼い頃に両親を事故で亡くしており、それ以降は祖父と祖母に育てられてきた。
名字で呼ばれる事が苦手らしく、接する人にはいつも名前で呼んでもらう様に呼びかけている。
軽音楽部に所属しており、同じ部活の竹本、三神、小野の3人と仲が良い。
謎の能力を身に付けた際に伏見楪と出会う。
能力は、鎧を纏う事で巨大な斧を出現させる事が出来たり、意思を持って触れた物を自分の鎧と同じ性質の武器として作り変える事が出来る。
ちなみに変身する際に『チェインジ』と唱えるのは、実はあまり大きな意味は無い。
・伏見 楪 (ふしみ ゆずる)
年齢…18歳
誕生日…9月24日 (てんびん座)
好きなもの…読書
苦手なもの…うるさい場所、虫
…
ミステリアスな雰囲気を放つ、物腰が柔らかい事が特徴的な高校3年生。
実は高校2年の頃に最上沢高校に転校してきており、久我の学年では転校生という扱いになっている。
家では祖父と2人暮らしで、料理などの家事は基本的に彼女がこなしているようだ。
翔太郎同様、能力を身に付けた際に翔太郎と出会う。
能力は、他人に自らのエネルギーを送ることが出来る能力で、翔太郎が武器等を使って相手を攻撃する際、自らが意志を込めてエネルギーを送る事で爆発的な攻撃力を増す事が出来る。
キーンコーン…カーンコーン…
最上沢高校、昼───。
あれから一週間が経った。
いつもと変わらぬ景色、いつもと変わらぬ時間が流れていく。
ガヤ……ガヤ……
男子生徒1「なーお前、数学の課題やった?」
男子生徒2「うわ、やべぇ!やってねぇ。」
そんなやり取りを近くで見ていた三神が、久我に向かって聞いてきた。
三神「…なぁ。」
翔太郎「んぁ?」
三神「翔太郎は数学の課題、やったの?」
翔太郎「俺は〜…やったよ。」
三神「そっか…。」
三神「は〜あ〜。数学は課題ばっかで面倒くせーし、ライブの日は近ぇし…。翔太郎は結局何で部活休んでるのか教えてくんねーし」
翔太郎「なっ…そ、それは仕方ねーだろ!俺だって、別に休みたくて休んでる訳じゃねぇんだし…。」
三神「…。」
三神「…じゃあ何で部活休んでるのか言えんのか?」
翔太郎「あっ…いやっ…。そっ、それはだな…。」
その反応を見ると、三神はほらなと言わんばかりに鼻息をついた。
そんな事を話していると、二人の女子生徒が声を掛けて来た。
女子生徒1「翔太郎ー。」
翔太郎「…ん?」
女子生徒1「この前の物理のノート取ったー?ウチこの前の授業休んでて書くの忘れちゃったんだよね〜。良ければ貸してくんない?」
翔太郎「おう、いいよ…。」
翔太郎「…はい。」
女子生徒1「サンキュー。助かる。」
三神「…あ!そうだ!次移動教室じゃん!」
翔太郎「あっ…やべぇ、忘れてた」
そう思い、二人が席を立ち離れようとしたその時であった。
ドンッ!
女子生徒1「痛っ!」
メガネをかけた女子生徒「あっ…!す、すみません…っ!」
翔太郎「……。」
三神「翔太郎、行こうぜ!」
翔太郎「あ…。」
翔太郎「お、おう…。」
EST本拠地内、昼───。
コツ、コツ、コツ、コツ……。
薄暗い廊下に、一人の足音が響き渡る。
クレイ「………。」
クレイは、今朝のやり取りを思い出していた。
(クレイ:あれから一週間か…。)
(アリエス:ですね…。)
(クレイ:アイツらの調子はどんな感じだ?)
(アリエス:どうですかね…。他の4人は大丈夫そうですが、やはり問題は…。)
(クレイ:巫狩か…。)
(アリエス:えぇ…。今日は検査の日なので、学校は休みみたいです。)
(クレイ:そうか。)
(クレイ: …………。)
クレイ「………。」
そんな事を思い返していると、ふと前から誰かが歩いてきた。
クレイ「…?」
クレイ「……!」
クレイ (あれは…!)
前から歩いて来た人物、それは巫狩であった。
巫狩「………。」
巫狩「…!」
巫狩はこちらに気付くと、静かに頭を下げた。
しかしその瞳の奥には、やはり深い悲しみを宿しているように見えた。
クレイ「………。」
クレイはまるであの時と同じように、何を言えばいいのか分からなかった。
クレイ「─────ッ。」
巫狩がそのまま通り過ぎて行く。
クレイ「ま、待ってくれッ!」
クレイは考え無しに口を開いた。
巫狩「………。」
巫狩の足が止まる。
クレイ「なっ…何か、出来る事は無いか!?」
クレイ「私たちに出来る事があるなら、何でも───」
突然に言葉をかき集めた為にそれ以上の事は出て来なかった。
しかし何とか言葉を繋げようとクレイが再び口を開こうとした際に、巫狩が静かにこう言い放った。
巫狩「───なら」
巫狩「僕の事は、あまり気にしないで下さい。」
巫狩は、振り向くこと無くそう言った。
クレイ「…………ッ!!」
クレイ「……………………………。」
足音が離れて行く。
クレイには、もうそれ以上何かを言う事は出来なかった。
暫くそこから動くことが出来ず、ただその場所に立ち尽くす事しか出来なかった。
最上沢高校、放課後────。
男子生徒1「帰ろうぜ〜…」
男子生徒2「おーう。」
翔太郎「……………。」
放課後。学生達の一日が終わっていく。
翔太郎は部活に行こうと竹本と二人で行動している途中であった。
竹本「…翔太郎。」
翔太郎「おう。」
翔太郎「…ん?」
プルルルル……
それは携帯の着信だった。
翔太郎「悪ぃ、ちょっと待っててくれ。」
翔太郎は竹本にそう言って少し離れると、携帯の画面を確認した。
翔太郎「…非通知?」
翔太郎「………。」
翔太郎「…もしもし」
???『……やぁ。ようやく話すことが出来たね、翔太郎クン…。』
その声を聞いた瞬間に、相手が人では無い何か異形の者である事を翔太郎は直感で察した。
翔太郎「……誰だ」
???『まぁまぁ。そう身構えずとも、ゆっくり仲良く話そうじゃないか…。二人っきりで…。』
そう言うと相手は、翔太郎に学校外の高架下に来るように誘導した。
翔太郎「…わかった」
通話が切れたタイミングで、竹本がやって来る。
竹本「…翔太郎?」
翔太郎「………。」
翔太郎「……悪ぃ。用事が出来た。」
翔太郎はそう言うと、竹本に目もくれずに駆け出した。
竹本「なっ!おい!翔太郎!!」
竹本「…………………。」
タッタッタッタッ…
翔太郎「…………。」
学校外の高架下まで来ると、翔太郎は再び携帯を取り出した。
翔太郎「…来たぞ。」
???『フッフッフッ…。話せて嬉しいよ、翔太郎クン…。』
翔太郎「誰だ…どうして俺の番号を知ってる」
???『そうか…君の場合、はじめましてが正解なのかな?』
翔太郎「…どういう事だ」
???『ここ一週間の内に、君のことはじっくり観察させてもらったよ。この番号も、友達に教えられて知ったものだ。』
翔太郎「!?」
翔太郎「友達…ッ!?」
翔太郎「おい…それどういう事だッ!!」
???『まぁまぁ…。そんな事は別に、大した事じゃないだろう?』
そう言うと通話はそこで切れた。
ツーーーーー………。
翔太郎「…?」
翔太郎が不思議に思い、自分の携帯を見たその時であった。
???「……俺に比べれば」
翔太郎「─────ッ!!?」
引き寄せられるように背後を振り向く。
???「…………。」
翔太郎「…………ッッ。」
翔太郎の背後。
そこにはいつの間にか、黒い鎧を纏った異形の者─────地球外生命体が立っていた。
翔太郎「こッ、コイツは……ッッ!!」
???「やぁ…。『はじめまして』、かな?」
???「…翔太郎クン。」
翔太郎「─────っ。」
一瞬反応は遅れたものの、反射的に身構える。
???「おぉっと、それ以上はやめておいた方がいい───。」
翔太郎が攻撃態勢に入ろうとする事を察したのか、ほぼ同時に怪物も右手を前に出して翔太郎を制止する。
翔太郎「…!!」
???「もしお前がここで変身するような事があれば、俺が一体どうするのか…。分からないお前じゃないだろう…?」
怪物の言っている意味。それが翔太郎には痛いほど分かっていた。
女子生徒1「帰ろ~~。」
女子生徒2「うんー。」
最上沢高校校門前。下校途中の高校生の姿が高架下からでも複数見える。
もし今ここで翔太郎が変身するような事があれば、直ぐにでも彼女達を襲うという怪物からの脅迫であった。
翔太郎「ぐっ……!!」
険しい表情で翔太郎が怪物に問いかける。
翔太郎「なッ…何が目的だッ!」
すると怪物は、ただ一言だけこう言った。
???「…ゲーム。」
翔太郎「…は?」
???「ゲームだよ。ゲーム…。」
???「よく考えてみろ…。どうして俺が今になって、わざわざこんな事をお前に話すんだと思う?」
翔太郎「…?」
翔太郎「何の事だ…?」
???「俺は"ずうっと"、お前の事を監視してたんだぞ?」
翔太郎「───…。」
その時突然、翔太郎の中であるひとつの事が繋がった。
翔太郎「─────ッ!!」
バッと、学校の方を振り向く。
翔太郎「………………。」
翔太郎「ま…まさか…………。」
???「あぁ…。俺は…。」
翔太郎「────ッ。」
つい、ゴクリと唾を呑む。
???「学校の中の誰かに、紛れている…。」
翔太郎「…………!!」
怪物は話し始めた。
???「いいか、今日から一週間以内にお前の身の回りの人間誰か一人を殺せ…。学校でもその他の場所でもどこでもいい。とにかく【お前の知っている人間を誰か一人】だ…。」
???「出来れば、やり方は残酷な方が良いな…。無惨で、冷徹で、おぞましく!」
???「…その方が興が乗るというものだろう?」
翔太郎「……………ッッ。」
???「安心しろ。殺せば直ぐにわかる。たとえ学校の中の人間だろうが、外の人間だろうが…。もちろん、お前がいつも行っている"あの場所"の人間だろうがな…。」
翔太郎「ぐっ……!!」
翔太郎 (ESTの事まで…!!)
???「言っておくが、助けを求めようなどと思うなよ…。さっきも言った通り、俺は内通者と繋がっている。もしもお前が他の人間に助けを求めたり、一週間以内に誰かを殺す事に失敗したんだとしたら、その時は俺が代わりに学校の中の人間を惨殺する。」
そう言うと怪物は素早く後ろに引いたかと思うと、空高く飛び上がった。
翔太郎「!!」
翔太郎「おい、待てッ!!」
夕焼けの空に怪物の声が響いた。
???『いいか、これはお前のゲームだ…。』
???『お前がプレイヤーの…血のゲーム…。』
怪物の去った高架下で翔太郎はただ、怒りのような、悔しさのような、言葉に出来ない渦巻く気持ちを抑える事しか出来なかった。
翔太郎「────……ぐ……!!」
翔太郎「くそ………ッ!!」
EST本拠地内、夜────。
誰も居ない廊下。暗闇の中で翔太郎は、一人ベンチに座り考えていた。
翔太郎「……………。」
握っていた電源の入っていない自分のスマートフォンを見つめる。
翔太郎「…………………。」
小川「それで、この話しはこっからが凄いンですよ!」
EST本拠地内、食堂、夜。
今日は珍しくかなりの人数がここに集まっていた。
ゼルとレオネル、小川とアリエス。水野、翔太郎、そしてクレイという七人のメンバーがここで食事を取っていた。
ガヤガヤ……ガヤガヤ……
部屋の上部端に付いたテレビからは夜のリポート番組が流れている。
クレイ「………。」
カチャカチャと食器が音を立てる。
もう少しで食べ終わろうかという時に翔太郎が隣に座ってきた。
クレイ「おい…。」
そう口を開きかけた所だった。
クレイ「!」
翔太郎がとある一枚の紙をクレイへと向かって、静かにテーブルの上から這わせて来たのだ。
翔太郎「唐揚げっすか?美味いっすよねェ〜。」
他愛もない会話を口にしながら食事をする翔太郎。しかしその本来の意図は違う箇所にあるという事をクレイは直ぐに感じ取っていた。
クレイ「…!」
翔太郎が見せてきた一枚の小さな紙。クレイは静かにそこへ目を落とすと、そこには以下の事が記されていた。
『
学 校 怪 物
脅 迫
E S T 内 通 者
一 週 間 以 内
』
クレイ「……。」
素早く紙に目を通し、クシャッとそれを握りつぶすとクレイは食事を済ませて立ち上がった。
クレイ「下らん会話に付き合うつもりは無い。それじゃあな。」
そう言うとクレイは最後に小さく翔太郎にだけ聞こえるようにこう呟いた。
クレイ「…今は私に任せておけ。それまでは何もするな。」
コツ、コツ、コツ…。
離れていくクレイを静かに見送ると、翔太郎は再び箸を動かし始めた。
水野「………。」
ペラ……
チッ…チッ…チッ…チッ…。
水野はESTの自室で恋愛小説を読んでいた。時計の針は9時を回っている。
コン、コン。
水野「!」
誰かが部屋の戸を叩いた。水野もそれに応える。
水野「はーい。」
クレイ「…水野、いるか?」
水野「…!」
水野「クレイさん!」
音の主はクレイであった。水野は立ち上がり、ドアを開けて顔を覗かせるとその主を確認する。
水野「クレイさん。こんな時間にどうしたんですか?」
クレイ「突然ですまない。少し相談したい事があってな。」
クレイは辺りを見回し誰もいないのを確認すると、水野にこう確認した。
クレイ「…中に入っても大丈夫か?」
水野「えぇ。大丈夫ですよ。」
…
水野「…それで、一体なんの話ですか?」
クレイ「あぁ。さっきも言った通り、少し相談したい事があってな…。」
クレイは翔太郎のメモに書いてあった事を全て水野に話した。
水野「そんな事が…。でも、どうして私に?」
クレイ「理由は色々あるが、何より信用出来るからな。それで、ここからが本題なんだが…。」
そしてクレイは、水野に驚くべき作戦を伝えるのである。
メルル (なんで俺が…。)
水野 (ちょっと…!バッグの中なんだから喋んないでよ…!)
そうメルルが愚痴をこぼしたのは、水野の登校用のバッグの中であった。
何を隠そう、昨日のクレイとのやり取りではこんな事が話されていたのであった。
…
(水野:敵をメルルに探してもらう…?)
(クレイ:そうだ。アイツには敵の位置を把握出来る能力があるからな。)
(クレイ:面倒だとは思うが、頼めるのはお前しかいないんだ。頼む…。)
…
水野 (………。)
水野は、さらにその後のやり取りを思い出していた。
…
(クレイ:すまないな…。わざわざこんな面倒事を引き受けさせてしまって…。)
(水野:いえいえ…。)
(水野: …………。)
(水野: …それに、皆なんとなく分かってますから。クレイさん、本当は優しい人なんだって。)
(クレイ:水野…。)
(クレイ:ありがとう…。)
…
水野「………。」
水野「……!」
水野「ほら!来たよ…!」
メルル「…!」
メルル「いよいよだな…。」
そう歩いていると目的地の学校が見えてきた。
一人と一匹は意気込むように、目的地へ歩を進めて行った。
先生「おはようございます。」
水野「えっ!?あっ!お、おはようございますっ!」
水野の友達「蒼ー!最近また新しいカフェ出来たんだけど一緒に行かなーい!?」
水野「えっ!あっ、あっ、また今度ね~〜…。」
緊張から来ているのか、水野のあまりの挙動不審さに痺れを切らしたメルルが少し声を大きめにして怒りを露わにする。
メルル (オイッ!お前がそんなんだったらかえって周りに怪しまれるだろーが!)
水野 (だっ、だって仕方ないじゃん!こんなの学校に持ってきてるってバレたらなんて思われるか…。)
メルル (ハァ!?お前今俺の事なんッ…むぐッ!)
少し語気強めになった所で水野がさらにバッグの奥へとメルルを押し込んだ。
と、そこへまた別の水野の友達がやって来た。
水野の友達2「蒼〜。数学の課題やったんだけど最後のとこだけ分かんなくてさ〜。出来れば写させてくんない〜?」
水野「あっ、あはは~…。うん、いいよ~。」
水野の友達2「…ん?何か蒼のバッグ膨らんでね?」
水野「へっ!?えっ!?そ、そんな事ないよ~~。」
水野の友達2「そう〜?何かいつもより大きい気がするんだけど~~。」
水野「えぇ~~~~??そんな事、ないよぉ~~。」
水野はそういうとメルルをもはや別の形へ変えようとしてるのか、さらにバッグの奥へ押し込もうとする。
ギュッ!ギュッ!ムギッ!ムギッ!
メルル (オグッ!?グエッ!エグっ!!?オグっ?!)
水野の友達2「う~~~~ん…?まぁいっかぁ〜。」
水野「うん〜…。あはは~~……。」
メルル (グ……ぐえ……。)
水野「えっと、じゃあ…はい、コレ。」
そう言って数学のノートを渡すと友達は去っていった。
水野の友達2「助かる~~。ありがと~~。」
水野「うん~~…。またね~~…。」
メルル (お……おい……。)
水野「…?」
メルル (お、おい………。)
水野「え?あー…いや、でもさすがにあの状況じゃどうしようもないって言うか~…。」
あまりに強くやりすぎたと思ったのか、水野が言い訳を始める。
メルル (違ェよ…そうじゃなくて……。)
メルル (反応だ…!)
水野「!!」
水野「反応って…!てことは…ッ!!」
メルル「あぁ…!あの場所から感じる…!」
そうメルルが指した場所は三年生のフロアであった。まさかこのメルルが指した場所が翔太郎のいるクラスであるとは水野達には知る由もなかったのだ。
最上沢高校、昼───。
キーーンコーーンカーーンコーーン……。
一日の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。生徒達は思い思いの場所へと足を運び始めた。
???「…翔太郎!」
そう、誰かが自分を呼び止める声が聞こえた。
翔太郎「…?」
振り向き、声の主の名前を呼ぶ。
翔太郎「…竹本。」
竹本「きょ、今日は…。来れるんだよな?練習」
翔太郎「………。」
ふと、あの時の言葉が頭の中でフラッシュバックする。
…
(???:いいか、これはお前のゲームだ…。)
(???:お前がプレイヤーの…血のゲーム…。)
…
翔太郎 (俺がここにいたら皆に迷惑がかかるかもしれない…。)
翔太郎「………。」
翔太郎「……ごめん、今日は……。」
竹本「……もういいよ」
翔太郎「!?」
竹本「もう、いいよ。」
そう言い放った竹本の目には失望にも似た念が翔太郎へと向けられていた。
翔太郎「もういいよって…」
何だよと言おうとした翔太郎の言葉を竹本が遮る。
竹本「やる気ないんだろ?だからもういい。」
竹本「彼女が出来たのかやりたい事があるのか知らないけど、やる気が無いならもう部活にも来なくていいよ。ライブとか文化祭のギターはこっちで探すから。」
翔太郎「何だよ…ギターはこっちで探すからって…」
翔太郎「俺は別にやる気が無いんじゃ…」
竹本「じゃあ言えるのか!?なんで部活に来ないのか!?」
翔太郎「ッ!」
ついムキになって竹本の方を向く。
竹本の後ろにいる三神と小野も気まずそうな顔をして顔を背けている。
翔太郎「それは……っ。」
翔太郎「それは……。」
竹本「………。」
何も言えない翔太郎を見ていたかと思いきや諦めたかのように鼻息をつくと、竹本は三神と小野の方を振り返って歩き出した。
翔太郎「なっ…おい!」
竹本「理由が言えないなら別に言わなくて良い。そうしたいなら…。」
竹本「…退部届は、自分で書けよ。」
竹本は、振り返らずそう言った。
トットットッ…。
三人の足音が離れていく。
翔太郎はただそれを黙って聞いているしか無かった。
翔太郎「な……なんだよ……それ……っ!」
翔太郎「くそ……ッ!!」
翔太郎「くそッ…!!」

