曲が終わると、客席は一瞬の静寂に包まれた。次の瞬間、総立ちの拍手が鳴り響いた。
貴族たちは扇を振り、豪商たちは感嘆の声を上げた。清隆は舞台に近づき、芙蓉に言う。
「君の音は、神の領域だ。花巫女の使命を果たしたな」
その言葉に、芙蓉の胸は熱くなり、彼の瞳に宿る愛に心が震えた。彼女は清隆の手が自分の手を握る感触に、遊女の枠を超えた未来を見た。
花競べの結果は、芙蓉の圧勝だった。椿は舞台に上がり、芙蓉を花魁に指名した。
「花月楼の新たな花魁は、芙蓉だ!」
客席は再び拍手に沸き、芹は舞台袖で涙を流す。
彼女は芙蓉に詰め寄り、声を震わせた。



