ある秋の夕暮れ、姉妹は川辺に座っていた。冷たい水が岩を洗う音が響き、遠くの山は茜色に染まる。芹は石を水面に投げ、水しぶきが夕陽にきらめくのを見つめた。 「芙蓉姉さま。都に行ったら私は、豪華な着物を着て、みんなにちやほやされたいな!」 彼女の声は風に運ばれて軽やかに響いた。 芙蓉は微笑んだが、心は重い。 母の咳がひどくなり、薬代もままならない。 「芹ならなれるわよ」と呟き、妹の手を握った。