清隆は芙蓉を頻繁に招き、詩や書も教えた。

 彼は芙蓉の過去を尋ね、蕭条村での貧しい暮らしや、芹との関係を聞いた。


「君は妹を守ってきたんだな。だが、自分の輝きも忘れるな」

 優しく力強く言う清隆の言葉に、芙蓉は涙をこらえた。
 彼の存在は、彼女の心に小さな灯りをともした。ある日、清隆が芙蓉に小さな山茶花の髪飾りを贈った。


「君の花紋に似合うと思ってな」

 芙蓉は髪飾りを手に、胸が熱くなるのを感じた。

「清隆様、こんな私に……こんな高価なものを」

「君は芙蓉だ。それだけの価値がある」

 清隆は、言って笑うと髪飾りを芙蓉の髪に挿した。

「ありがとうございます。大切にします」