静寂が部屋を支配した。
芹がくすっと笑うと「芙蓉姉、琴なんて無理でしょ。恥かかないでよ」と芙蓉に囁く。
その言葉に、芙蓉の胸に火が点いた。彼女は震える足で立ち上がり、琴を手に持つ。
目を閉じ、夢の老女の言葉を思い出した。
「魂の音を奏でなさい」
指が弦に触れると、部屋は一変した。
音色は、風が山茶花の枝を揺らし、花びらが雪に舞うようだった。曲は静かで悲しく、希望に満ちていた。
花紋が淡く光り、まるで神々の声が響くようだった。
客たちは涙を流し、清隆は目を閉じて聴き入った。曲が終わると、皆拍手を送っていてその中で彼は立ち上がり、拍手を送った。



