瑠璃のかぞく

「瑠璃ちゃん、どうしたの?」
突然、松崎さんが話しかけてきた。
「え、な、何が?」
私は嘘が下手だ。だから、すぐバレてしまう。
「ずっと、なんか隠してるよね。俺、分かるよ。」
「え?…そ、そうっすか」
やっぱり私は嘘が下手だ。
「ねえ、すごいめんどくさいこと聞いてもいい?」
松崎さんが、突然言った。
「瑠璃ちゃんにとって、俺って家族?」
すごくめんどくさい質問。
ー家族、か。迷った。「家族じゃない」って言ったら、どうなるのか、考えてみた。
私は、松崎さんに聞いてみることにした。
「逆に、松崎さんは、私の事『家族』って思ってる?」
「当たり前じゃないか。瑠璃ちゃんは俺の『家族』だよ」
「ー松崎さんは、お母さんと二人で暮らしたいんじゃないの?私っていう、邪魔もの払いぬけて、幸せに暮らしたいんじゃないの!違うのっ」
「やめなさい」
お母さんがぴしゃりと、言い放った。
「翔太君を、困らせないで。」
「困らせてない!だって…だって、私は本物の「家族」に出会ったことないからッ!だから…迷ってるの!」
「瑠璃にとって私は家族じゃないの。」
「分からないよ、分からないから迷ってるの!家族って何なのか、私知らないの!」
「それは、私もわからないわね」
「えっ」
「瑠璃。あなたは、私の腹ん中から生まれた『子供』よ。でも、あなた、二十歳になったら、自立するでしょ。そしたら、私たち、たぶん一緒に住まなくなるわけよ。そしたら、どうなる?もう『家族』って認識されなくなるかも。悲しいわ」
お母さんの言葉に、驚いた。
お母さんは、『家族』というものを知ってると思っていた。だけど…知らない?
どういうことだろう。
じゃあ、私がずっと一緒にいたこの人は、誰だったんだろう。
お母さんだったのだろうか。それとも、赤の他人だったのだろう。
「涼花ちゃん!それはちょっと…言いすぎかな」
「翔太くんまで、瑠璃をかばうの」
「違う!そういう話じゃないだろ、今は。」
松崎さんとお母さん喧嘩がどんどんヒートアップする。
私は喧嘩を止めたい。だが、止められない。
私は、呆然と立ち尽くした。