「……親戚付き合いって必要かな」
「何言ってんですか。当たり前でしょう。特に貴方は」
隣で佐武が怪訝な顔をする。
妖狐の討伐が終わり、空が薄ら明るくなり始めた頃、俺たちはやっと帰路についていた。とはいえ、また数時間後には政府の直轄組織ーー陰陽領へ出勤しなければならない。現在の呪術師は皆そこで統括され働いていた。
今回悪さをしたあやかしは妖狐。
政府要人に取り憑き、家族や使用人を負傷させたため討伐命令が下った。妖狐を政府要人に取り憑かせた犯人は一般女性で、彼の愛人だという話だった。
「痴情のもつれに呪術を使うのは勘弁してほしいです」
佐武がうんざりと愚痴をこぼすのに、俺も深く同意した。
ただでさえ呪術師の数は少なく、なのに帝都は怨念で渦巻いている。
必要以上に仕事を増やしてほしくなかった。

