第二金曜日・十九時。
一流橋ホールにて懇親会を実施!!
太文字で書かれた便りに目を通す。
それは今度、幸華達の学校で行われる懇親会の参加案内に関するお知らせだった。
「生徒は参加必須だ。当日は外部からも高位の名家がお見えになる。くれぐれも最新の注意を払って出席するように!!」
午後のホームルームが終われば溜息をついた。
懇親会は年に一度、三年の代のみが行う校内行事の一つだ。保護者やお偉いさんを招いて事業説明会をする傍らパーティーとも併合した大イベントである。
「幸華の家は誰が来るの?因みにウチはパパとママ!」
「う~ん…分かんない」
幸華の父親はガヤガヤしたパーティー会場が苦手。
それでも結局は千鶴さんに説得され、付き合わされる羽目になるだろうが。
「懇親会って同伴するパートナーを自分達で選べるんだよ!さっきから女子達の視線が熱いね~」
懇親会にはお披露目の意味も兼ねている。
自分の恋人や婚約者、特に妖・神の一族出身である生徒にとっては自分のパートナーを公に紹介するスタイルが毎年恒例になっていた。女子の好きな相手に対する火花散しは勿論、男子も負けじと誘いの連絡をしている。
「誰に頼もうかな~どうせならカッコイイ子と組みたい」
「あれ?でも茶納って彼氏いたよね?ほらあの子。彼とは行かなくて大丈夫なの?」
教室の隅で固まる二人組の男子。
一人は人間特有の黒髪黒目の男子なのに対し、もう片方はピンクの髪に瞳は紅色。身長も高めで明らかに人間の容姿とは異なっていた。
「あ~火鼠君ね。彼とはねえ…別れちゃった!」
「え!」
今日一番の衝撃ニュース。
幸華が交際報告を茶納から聞いたのは二週間ほど前の話。同じクラスの彼・火鼠暖君は文字通り火鼠の妖。火鼠の一族はさほど強い家系ではないが妖であることに変わりはない。人間の生徒に比べて容姿も整っているし妖力もある。
「どうゆうこと⁇この前付き合ったばかりじゃん。しかも血統主義の妖が一般の人間に告白までしたんだよ?愛が強くなければできない行為なのに」
妖は自身の妖力と血の衰えを嫌う。
人間が妖相手に嫁げるのだとしたら、それはよっぽどの理由がなければまず不可能。だが気に入られるだけで援助を受けることもできる。現に茶納の家は『恋人』という関係で多額の援助金が火鼠家から振り込まれたらしい。
「別に悪い子じゃなかったよ?援助金で学費の支払いもして貰ったし。片思いされてて告白されたの。でも付き合ってみたら他に好きな人できたって。結局は一方的に振られた」
「最低」
茶納はこれでもよくモテる。
スタイルも良くアクティブな子だ。
テニス部で髪はショートの小麦肌。愛嬌もあり、火鼠君が密かに彼女へ想いを寄せていたことは幸華も気づいていた。
「なんかおかしい。そんなあっけなく片思いがなくなる?妖って一度気に入った物への執着は半端ないって聞くよ?」
「ま、所詮は妖。こんな人間様相手の私じゃ興味も薄れたんでしょ」
「そんなこと言わないの!」
茶納はとても可愛い。
それは幸華本人が保証する。
悪いのは理不尽な態度で振ったまま謝らない火鼠君の方だ。
「ま、別に探すからいいよ。それはそうと幸華は誰かパートナー見つかった?」
「私?別にいないけど」
正直、幸華には仲良いと呼べる知り合いがあまりいない。
理由は単純。
幸華の姉・幸舞が青龍家の許嫁に選ばれたという噂が流れてからというもの、幸華に媚び売る生徒達が増えてしまったせいだ。
一流橋ホールにて懇親会を実施!!
太文字で書かれた便りに目を通す。
それは今度、幸華達の学校で行われる懇親会の参加案内に関するお知らせだった。
「生徒は参加必須だ。当日は外部からも高位の名家がお見えになる。くれぐれも最新の注意を払って出席するように!!」
午後のホームルームが終われば溜息をついた。
懇親会は年に一度、三年の代のみが行う校内行事の一つだ。保護者やお偉いさんを招いて事業説明会をする傍らパーティーとも併合した大イベントである。
「幸華の家は誰が来るの?因みにウチはパパとママ!」
「う~ん…分かんない」
幸華の父親はガヤガヤしたパーティー会場が苦手。
それでも結局は千鶴さんに説得され、付き合わされる羽目になるだろうが。
「懇親会って同伴するパートナーを自分達で選べるんだよ!さっきから女子達の視線が熱いね~」
懇親会にはお披露目の意味も兼ねている。
自分の恋人や婚約者、特に妖・神の一族出身である生徒にとっては自分のパートナーを公に紹介するスタイルが毎年恒例になっていた。女子の好きな相手に対する火花散しは勿論、男子も負けじと誘いの連絡をしている。
「誰に頼もうかな~どうせならカッコイイ子と組みたい」
「あれ?でも茶納って彼氏いたよね?ほらあの子。彼とは行かなくて大丈夫なの?」
教室の隅で固まる二人組の男子。
一人は人間特有の黒髪黒目の男子なのに対し、もう片方はピンクの髪に瞳は紅色。身長も高めで明らかに人間の容姿とは異なっていた。
「あ~火鼠君ね。彼とはねえ…別れちゃった!」
「え!」
今日一番の衝撃ニュース。
幸華が交際報告を茶納から聞いたのは二週間ほど前の話。同じクラスの彼・火鼠暖君は文字通り火鼠の妖。火鼠の一族はさほど強い家系ではないが妖であることに変わりはない。人間の生徒に比べて容姿も整っているし妖力もある。
「どうゆうこと⁇この前付き合ったばかりじゃん。しかも血統主義の妖が一般の人間に告白までしたんだよ?愛が強くなければできない行為なのに」
妖は自身の妖力と血の衰えを嫌う。
人間が妖相手に嫁げるのだとしたら、それはよっぽどの理由がなければまず不可能。だが気に入られるだけで援助を受けることもできる。現に茶納の家は『恋人』という関係で多額の援助金が火鼠家から振り込まれたらしい。
「別に悪い子じゃなかったよ?援助金で学費の支払いもして貰ったし。片思いされてて告白されたの。でも付き合ってみたら他に好きな人できたって。結局は一方的に振られた」
「最低」
茶納はこれでもよくモテる。
スタイルも良くアクティブな子だ。
テニス部で髪はショートの小麦肌。愛嬌もあり、火鼠君が密かに彼女へ想いを寄せていたことは幸華も気づいていた。
「なんかおかしい。そんなあっけなく片思いがなくなる?妖って一度気に入った物への執着は半端ないって聞くよ?」
「ま、所詮は妖。こんな人間様相手の私じゃ興味も薄れたんでしょ」
「そんなこと言わないの!」
茶納はとても可愛い。
それは幸華本人が保証する。
悪いのは理不尽な態度で振ったまま謝らない火鼠君の方だ。
「ま、別に探すからいいよ。それはそうと幸華は誰かパートナー見つかった?」
「私?別にいないけど」
正直、幸華には仲良いと呼べる知り合いがあまりいない。
理由は単純。
幸華の姉・幸舞が青龍家の許嫁に選ばれたという噂が流れてからというもの、幸華に媚び売る生徒達が増えてしまったせいだ。



