その人は人間離れした綺麗な容姿と長身スタイルで入店してくれば店内にはざわめきが起きる。それもその筈、今まさに話の議題にも上がっていた本人が来店したのだから。
「史文様!」
倫太郎は史文の登場にギョっとすれば慌てて幸舞を腕から引き剝がす。
「申し訳ありません。少々話に混み合いまして」
「やっと会えましたわ~♡」
「あ、ちょ、待て幸舞!」
謝罪する倫太郎をそっちのけに幸舞は嬉しそうな顔で史文へと近づく。これには倫太郎も焦り引き留めようとするも無駄だった。
「お久しぶりですね、史文様♡ぜんぜん会いに来て下さらないから寂しかったんですよ?私は貴方の許嫁で特別な存在。毎日でも側に連れ添うのは当たり前だと思いません?」
「…それはすまない。だが勘弁してくれ」
「私の事が嫌いなんですか?史文様は私を大事に思ってないのね⁇私は稀血の花嫁なのよ?貴方の特別な存在。誰からも愛され、大切にされて当然なのに!!」
半ばヒステリックもいいとこだ。
仕事で忙しいと言っているのに…何を血迷ったか、幸舞は理不尽に怒り狂えば店内も騒がしくなるわで二人も対応に困っていた。
「ん?そこにいるのは…幸華か?」
史文は倫太郎の後ろで控えていた幸華に気付けばパッと顔を輝かせた。
「幸華だ!やっぱそうだよな?」
「はい、お久しぶりです。青龍の若様」
史文は幸華に近づければ今日初めの笑顔を見せる。
青龍家特有の青い海のような髪、神の一族にのみ許された金色の瞳。龍の一族は五摂家の中でも特に容姿が優れているため、史文様もまた美しかった。
「若様って(笑)。史文で良いと言ったろ?俺達は幼馴染なんだから」
さっきとは違い、敬語がタメ語になれば凛々しいいつもの姿から一辺。
史文と幸華は幼い頃からの遊び仲間で仲は良い。
幸華が大きくなった今でもこうして会えば話しかけてくれた。
「そう言えば二人が会うのは幸華が高校入学する時以来でしたね!」
高校入学日、入学祝いに来てくれたんだ。
四神の一族が一般校に来場したもんだから、校内中大騒ぎになったのを覚えている。
「また可愛くなったね。どう?元気?」
「はい、元気です」
「そうか、なら安心した。あ、これ君に!」
史文は手に持っていたギフトバッグを幸華に差し出す。
見れば有名ロゴが入ったブランド店のもので、それを見た幸舞は面白くなさそうに顔をしかめた。
「今日、誕生日だっただろう?倫太郎に会うついでに寄ってみたんだ。ここに来たら幸華に会えるかと思ってね」
「史文様も僕と同じこと言いますね」
隣に立つ倫太郎と史文は並ぶとまるで兄弟のよう。
人間には珍しい、倫太郎は生まれつき地毛が水色の髪をしていた。容姿も負けず劣らず美しくモデルかと思うぐらいスタイルも整っている。そんな二人だから店内に居るだけで嫌でも注目の的。
「…ありがとうございます」
「お、今日は素直だな。いつもは何かあげても受け取らないくせに」
「そ、それは!!」
倫太郎の意地悪な言葉にムッとする。
そうそう高貴な方から物を貰うべきではない。
今や姉・幸舞の婚約者でもある。
兄は左近という立場だから問題ないが、幸華にとっては幼馴染でしかないのだ。
「なんで…なんで幸華ばっかり。史文様も、倫太郎お兄様も!」
幸舞は少し離れた場所からその様子を見つめていた。
二人が笑顔を向ける視線の先、そこにいたのは自分の筈だったのに。大嫌いな妹の存在が目障りで憎らしかった。幼馴染の立場というだけであそこまで兄達から寵愛を受ける義妹。激しい嫉妬に駆られた。
「何よ、不義の子のくせに」
「史文様!」
倫太郎は史文の登場にギョっとすれば慌てて幸舞を腕から引き剝がす。
「申し訳ありません。少々話に混み合いまして」
「やっと会えましたわ~♡」
「あ、ちょ、待て幸舞!」
謝罪する倫太郎をそっちのけに幸舞は嬉しそうな顔で史文へと近づく。これには倫太郎も焦り引き留めようとするも無駄だった。
「お久しぶりですね、史文様♡ぜんぜん会いに来て下さらないから寂しかったんですよ?私は貴方の許嫁で特別な存在。毎日でも側に連れ添うのは当たり前だと思いません?」
「…それはすまない。だが勘弁してくれ」
「私の事が嫌いなんですか?史文様は私を大事に思ってないのね⁇私は稀血の花嫁なのよ?貴方の特別な存在。誰からも愛され、大切にされて当然なのに!!」
半ばヒステリックもいいとこだ。
仕事で忙しいと言っているのに…何を血迷ったか、幸舞は理不尽に怒り狂えば店内も騒がしくなるわで二人も対応に困っていた。
「ん?そこにいるのは…幸華か?」
史文は倫太郎の後ろで控えていた幸華に気付けばパッと顔を輝かせた。
「幸華だ!やっぱそうだよな?」
「はい、お久しぶりです。青龍の若様」
史文は幸華に近づければ今日初めの笑顔を見せる。
青龍家特有の青い海のような髪、神の一族にのみ許された金色の瞳。龍の一族は五摂家の中でも特に容姿が優れているため、史文様もまた美しかった。
「若様って(笑)。史文で良いと言ったろ?俺達は幼馴染なんだから」
さっきとは違い、敬語がタメ語になれば凛々しいいつもの姿から一辺。
史文と幸華は幼い頃からの遊び仲間で仲は良い。
幸華が大きくなった今でもこうして会えば話しかけてくれた。
「そう言えば二人が会うのは幸華が高校入学する時以来でしたね!」
高校入学日、入学祝いに来てくれたんだ。
四神の一族が一般校に来場したもんだから、校内中大騒ぎになったのを覚えている。
「また可愛くなったね。どう?元気?」
「はい、元気です」
「そうか、なら安心した。あ、これ君に!」
史文は手に持っていたギフトバッグを幸華に差し出す。
見れば有名ロゴが入ったブランド店のもので、それを見た幸舞は面白くなさそうに顔をしかめた。
「今日、誕生日だっただろう?倫太郎に会うついでに寄ってみたんだ。ここに来たら幸華に会えるかと思ってね」
「史文様も僕と同じこと言いますね」
隣に立つ倫太郎と史文は並ぶとまるで兄弟のよう。
人間には珍しい、倫太郎は生まれつき地毛が水色の髪をしていた。容姿も負けず劣らず美しくモデルかと思うぐらいスタイルも整っている。そんな二人だから店内に居るだけで嫌でも注目の的。
「…ありがとうございます」
「お、今日は素直だな。いつもは何かあげても受け取らないくせに」
「そ、それは!!」
倫太郎の意地悪な言葉にムッとする。
そうそう高貴な方から物を貰うべきではない。
今や姉・幸舞の婚約者でもある。
兄は左近という立場だから問題ないが、幸華にとっては幼馴染でしかないのだ。
「なんで…なんで幸華ばっかり。史文様も、倫太郎お兄様も!」
幸舞は少し離れた場所からその様子を見つめていた。
二人が笑顔を向ける視線の先、そこにいたのは自分の筈だったのに。大嫌いな妹の存在が目障りで憎らしかった。幼馴染の立場というだけであそこまで兄達から寵愛を受ける義妹。激しい嫉妬に駆られた。
「何よ、不義の子のくせに」



