青龍の華嫁 ~稀血の悪女~

生誕パーティー当日。
青龍家の大広間には多くの参加者達が集まっていた。

「うん、よく似合ってる!可愛いぞ幸華」

青いドレスに身を包んだ幸華の姿に史文が嬉しそうに笑う。

「ありがとうございます。ですが史文様、本当にこれでいいのですか?」

五摂家には基本の色が存在する。
麒麟家の黄色を中心に青龍家は青色を象徴する。基本、五摂家の行事ごとに参加する際はその家が象徴する色を装いで着ることは固く禁じられており、ドレスコードのマナーが厳しかった。

「大丈夫、問題ないよ」

史文は幸華が気にしてる意味を理解してるのか安心するよう笑いかけた。後からは仲睦まじい幸華達を満足そうな顔でコク達も付いてくる。

「おやおや、なんとも可愛らしい姫様だね」
「青龍のおじ様⁈」

現れたのは青龍家の当主・源門(げんもん)だった。
幸華とは小さい頃からの顔見知りで、青龍家の当主でありながら懐の広い寛大な心の持ち主。幸華のことも実の娘のように「おじ様」の愛称で可愛がってくれた。

「久しぶりだね~すっかり大きくなっちゃって。どうして会いに来てくれなかったの?」
「それは…お姉ちゃんと史文様が婚約されたので」
「あ~そゆこと。ところで史文、幸華ちゃんには話した?」

源門はチラリと横にいた史文に絡む。

「まだです」
「えー!まだだったの⁈そりゃあ幸華ちゃんビックリするよ。可哀想~」
「父さんとは違って俺は慎重なんです」

幸華のドレス姿に目線を送る源門。
青龍家のみが公の場で着ることを許されたブルーコーデ。稀血の花嫁でもない幸華が本来着ていいものではない。それを史文はわざと着させているのだ。

「会場に行けば分かります。まだ知られてない事実がある」
「…なるほどね。面白い事を考えるもんだ。アッハッハ、流石は僕の息子~」
「…父さん、やめてくれ」

肩を組み合う青龍の親子。
傍から見れば親子とは誰も思わないだろう。
人間とは違って長寿で不老。
源門の容姿も若々しく好青年に見えるが実は五百歳を超えると話していた。

「そんじゃ、エスコートは僕がしようね♡」
「は?なぜ父さんが、」
「いいじゃないの~久しぶりの再会なんだから。ほら幸華ちゃん、おじ様の手を取って」
「あ、はい」

会場に入れば周囲の視線が一気に集中する。
青龍家の親子、並びに隣に控える筈の稀血の花嫁が幸舞でないことに会場はざわついた。