白蛇を連れた幸華の噂は瞬く間に校内に広まった。
幸舞は婚約破棄された腹いせから幸華に関する悪口を広め、幸舞を応援していた生徒は少なからず妬みの眼差しを向けてきた。それでも気付いた茶納達が追っ払ってくれたお陰で幸華は何とか高校生活を送れていた。
「九頭龍さん、ちょっといいかな?」
「火鼠君?」
昼休み、幸華の席に火鼠君がやって来る。
運悪く茶納達は購買に行ってておらず、仕方なく火鼠君に連れられ教室を後にする。
「何かご用?」
「幸舞ちゃんが婚約破棄された話、君は知ってる?」
「あ、うん…青龍家の意向らしくて」
人気のない廊下でポツリと火鼠君が話す。
「俺は幸舞ちゃんの為なら何だってしたいんだ。妖の好きに対する執着は特別なんだよ」
「えっと…」
「なのに君は彼女を傷つけた。俺の大切な人の幸せを奪ったんだ」
「火鼠君、何を言って」
向きを変えた火鼠君の顔に違和感を覚えた。
普段と違って紅色の瞳には光が無く暗い空虚な眼差しだ。まるで何かに操つられているのか、体と声が感情を無視して勝手に動いているような感覚。
「許さない…君だけは許さない。幸舞ちゃんに青龍様を返せ」
「火鼠君?どうしたの?私の声聞こえる⁈」
「…君なんて要らない必要ない。君は不義の子だ」
「!!」
そう言い火鼠君は炎を生み出せば幸華の周囲を取り囲んだ。その余りの熱さには体が焼け崩れてしまいそうだった。
「姫様が危ない!!」
「やめろ!俺達の幸華様に近づくな!!」
控えていたコク達は人型に化けると水術で反撃した。
「うわあ!!」
コクが幸華を守る中、ハクは水の大渦を作れば火鼠君はたちまち飲み込まれてしまう。すると辺りに散った炎は消え、火鼠君はバタリと気絶してしまった。
「幸華!大丈夫⁉」
「おい、何があった⁈」
向かい側からは茶納達が走ってくる。
火鼠君は未だ気絶したままで意識が戻る気配がない。
「あ、やっべ。力加減ミスって気絶させちった」
ハクは焦った顔で幸華の顔色を窺がっていた。
茶納達は到着後、その異様な現場に驚愕する。
「一体何があったの?教室戻ったら火鼠君が幸華を連れて出て行ったって」
「…これは、、」
鬼楽は倒れる火鼠君を見ると眉を潜める。
学ランの懐に手を突っ込むと中から出てきたのは呪符のようなもの。
「これがコイツを操っていた原因だ。妖力を操作して相手に攻撃を仕掛ける。コイツはその犠牲者だ」
「犠牲者…そう言えば火鼠君、さっきも可笑しな言動が多かったな」
幸華が不義の子であることを彼は知らない。
頻りに幸舞の名前も呼んでいた。
顔からは憎悪と妬みを感じ、明らかに幸華に対して攻撃しようとしていた。
「!!」
鬼楽は何か嫌な気配を感じて辺りを見る。
誰かに監視されているような気がしたのだ。
「鬼楽、どうしたの?」
「……いや。とにかく白蛇の護衛で命拾いしたな。火鼠の火なんか人間が浴びたら一発焼死体行きだからな」
「ちょっと!幸華を怖がらせないで!」
火鼠君…どうしてなの。
貴方は茶納のことが好きで告白した筈なのに。
「姫様、これ」
「これは…血?」
コクが渡した呪符には赤い字で『幸華』と書かれていた。
「幸舞様の仕業かもしれませんね」
「お姉ちゃんが?…だとしたら酷いよ。火鼠君をおとりにこんな事して」
幸舞は婚約破棄された腹いせから幸華に関する悪口を広め、幸舞を応援していた生徒は少なからず妬みの眼差しを向けてきた。それでも気付いた茶納達が追っ払ってくれたお陰で幸華は何とか高校生活を送れていた。
「九頭龍さん、ちょっといいかな?」
「火鼠君?」
昼休み、幸華の席に火鼠君がやって来る。
運悪く茶納達は購買に行ってておらず、仕方なく火鼠君に連れられ教室を後にする。
「何かご用?」
「幸舞ちゃんが婚約破棄された話、君は知ってる?」
「あ、うん…青龍家の意向らしくて」
人気のない廊下でポツリと火鼠君が話す。
「俺は幸舞ちゃんの為なら何だってしたいんだ。妖の好きに対する執着は特別なんだよ」
「えっと…」
「なのに君は彼女を傷つけた。俺の大切な人の幸せを奪ったんだ」
「火鼠君、何を言って」
向きを変えた火鼠君の顔に違和感を覚えた。
普段と違って紅色の瞳には光が無く暗い空虚な眼差しだ。まるで何かに操つられているのか、体と声が感情を無視して勝手に動いているような感覚。
「許さない…君だけは許さない。幸舞ちゃんに青龍様を返せ」
「火鼠君?どうしたの?私の声聞こえる⁈」
「…君なんて要らない必要ない。君は不義の子だ」
「!!」
そう言い火鼠君は炎を生み出せば幸華の周囲を取り囲んだ。その余りの熱さには体が焼け崩れてしまいそうだった。
「姫様が危ない!!」
「やめろ!俺達の幸華様に近づくな!!」
控えていたコク達は人型に化けると水術で反撃した。
「うわあ!!」
コクが幸華を守る中、ハクは水の大渦を作れば火鼠君はたちまち飲み込まれてしまう。すると辺りに散った炎は消え、火鼠君はバタリと気絶してしまった。
「幸華!大丈夫⁉」
「おい、何があった⁈」
向かい側からは茶納達が走ってくる。
火鼠君は未だ気絶したままで意識が戻る気配がない。
「あ、やっべ。力加減ミスって気絶させちった」
ハクは焦った顔で幸華の顔色を窺がっていた。
茶納達は到着後、その異様な現場に驚愕する。
「一体何があったの?教室戻ったら火鼠君が幸華を連れて出て行ったって」
「…これは、、」
鬼楽は倒れる火鼠君を見ると眉を潜める。
学ランの懐に手を突っ込むと中から出てきたのは呪符のようなもの。
「これがコイツを操っていた原因だ。妖力を操作して相手に攻撃を仕掛ける。コイツはその犠牲者だ」
「犠牲者…そう言えば火鼠君、さっきも可笑しな言動が多かったな」
幸華が不義の子であることを彼は知らない。
頻りに幸舞の名前も呼んでいた。
顔からは憎悪と妬みを感じ、明らかに幸華に対して攻撃しようとしていた。
「!!」
鬼楽は何か嫌な気配を感じて辺りを見る。
誰かに監視されているような気がしたのだ。
「鬼楽、どうしたの?」
「……いや。とにかく白蛇の護衛で命拾いしたな。火鼠の火なんか人間が浴びたら一発焼死体行きだからな」
「ちょっと!幸華を怖がらせないで!」
火鼠君…どうしてなの。
貴方は茶納のことが好きで告白した筈なのに。
「姫様、これ」
「これは…血?」
コクが渡した呪符には赤い字で『幸華』と書かれていた。
「幸舞様の仕業かもしれませんね」
「お姉ちゃんが?…だとしたら酷いよ。火鼠君をおとりにこんな事して」



