熱いと思った時、辺りには炎が立ち込めていた。
「幸華様!どこですか⁉」
「ハク?助けて!」
御用人のハクが水を取り巻き部屋に飛び込めば倒れる幸華を見つける。幸い炎が部屋に侵入する一歩前で脱出することができた。ハクが幸華を外に運び込めば遅れてコクが御用人達を連れて走ってくる。
「姫様!ご無事ですか⁈」
「大丈夫だよ。ハクがいてくれたから」
「良かった、良かったです~!!」
旧館の炎を消そうと白蛇達が妖力から生み出した水で決死の消火活動を行う。旧館が焼かれる姿に幸華は絶句した。
「私の家が…」
「幸華!」
「史文様?それにお兄ちゃんも!」
騒ぎを聞きつけ近くまで来ていた史文が九頭龍家に行けば、タイミングよく倫太郎と合流する。史文は幸華の無事を確認して安堵すれば旧館の炎へ手をかざすと大量の水が現れ、家全体を覆えば炎はたちまち消え失せてしまった。
「流石は青龍様の神力。水を司る神なだけありますね!」
「助かった…俺達白蛇の妖力だけじゃ、ああはいかない」
コク達は幸華の側に控えれば史文の術に感動した。
火事は直ぐに落ち着き、幸いにも死亡者は出なかった。
「大丈夫だったか?」
「大丈夫です。史文様、ありがとうございました」
「良かった…お前に何かあったらと思ったら」
史文は幸華の元までやって来ればホッと息を撫で下ろし幸華を抱き締めた。突然のことに幸華は驚くも僅かに震えている史文を見れば落ち着かせるため背中を撫でた。
「大丈夫です、私は生きてます」
「ああ…そうだな」
ふと中庭の外れに幸舞の姿が見えた。
幸舞は抱き締め合う二人にブルブルと体を震わせれば、何かを口にし立ち去ってしまう。幸華は嫌な予感がした。旧館はその後、暫くは火事の原因調査に立ち入る関係で幸華は青龍家に避難することとなった。白蛇の双子を御用人に暫くは高校も休むよう言い渡される。
「史文様、調査結果が出ました」
「ご苦労。それでどうだった?」
業務室に入って来た補佐官二人。
今回の火災調査には雨龍家と倫太郎が参加していた。
「旧館の残骸を調べたところ、不可解な点が多く見つかりました。まず旧館を燃やした例の炎、普通のものとは違い妖の妖力によるものだと分かりました」
「なに?妖の炎だと?」
「ええ、ですが驚くのはここからです」
雨龍は資料と別にスプレー缶を持ってくれば用意した木材にそれぞれスプレーした。すると一つの木材だけが激しく燃え上がったのだ。
「な、おい実巳、この匂い…」
「見ての通り、お前の妹の血だ。幸華様から事前に採取した血液を木材に塗り付け乾燥させておいた。燃えない方はただの木材だ」
「血液にのみ反応する妖力火か」
「ええ。妖の中にはある特定の物だけを発火させる術に優れた者もいます。今回なら人間の血液がこれに該当します」
基本旧館には幸華しか人間はいない。
それを狙っての計画的犯行が高い。
「このスプレー缶の中身は火に精通する妖の妖力を含んでいます。種類は缶に寄って違い、人間の血液に反応するもの・そうでないもの。それも組み合わせ次第で変わってきます」
「なら幸華の血液と反応する妖力を調べ、疑わしい妖の候補リストをあげろ」
「幸華様には?」
「今は黙っておいてくれ。これ以上怖がらせたくない」
史文は燃えた木材に目をやれば溜息をついた。
大切な人を傷つけた犯人を何としても自分の手で見つけ出したかった。
「幸華様!どこですか⁉」
「ハク?助けて!」
御用人のハクが水を取り巻き部屋に飛び込めば倒れる幸華を見つける。幸い炎が部屋に侵入する一歩前で脱出することができた。ハクが幸華を外に運び込めば遅れてコクが御用人達を連れて走ってくる。
「姫様!ご無事ですか⁈」
「大丈夫だよ。ハクがいてくれたから」
「良かった、良かったです~!!」
旧館の炎を消そうと白蛇達が妖力から生み出した水で決死の消火活動を行う。旧館が焼かれる姿に幸華は絶句した。
「私の家が…」
「幸華!」
「史文様?それにお兄ちゃんも!」
騒ぎを聞きつけ近くまで来ていた史文が九頭龍家に行けば、タイミングよく倫太郎と合流する。史文は幸華の無事を確認して安堵すれば旧館の炎へ手をかざすと大量の水が現れ、家全体を覆えば炎はたちまち消え失せてしまった。
「流石は青龍様の神力。水を司る神なだけありますね!」
「助かった…俺達白蛇の妖力だけじゃ、ああはいかない」
コク達は幸華の側に控えれば史文の術に感動した。
火事は直ぐに落ち着き、幸いにも死亡者は出なかった。
「大丈夫だったか?」
「大丈夫です。史文様、ありがとうございました」
「良かった…お前に何かあったらと思ったら」
史文は幸華の元までやって来ればホッと息を撫で下ろし幸華を抱き締めた。突然のことに幸華は驚くも僅かに震えている史文を見れば落ち着かせるため背中を撫でた。
「大丈夫です、私は生きてます」
「ああ…そうだな」
ふと中庭の外れに幸舞の姿が見えた。
幸舞は抱き締め合う二人にブルブルと体を震わせれば、何かを口にし立ち去ってしまう。幸華は嫌な予感がした。旧館はその後、暫くは火事の原因調査に立ち入る関係で幸華は青龍家に避難することとなった。白蛇の双子を御用人に暫くは高校も休むよう言い渡される。
「史文様、調査結果が出ました」
「ご苦労。それでどうだった?」
業務室に入って来た補佐官二人。
今回の火災調査には雨龍家と倫太郎が参加していた。
「旧館の残骸を調べたところ、不可解な点が多く見つかりました。まず旧館を燃やした例の炎、普通のものとは違い妖の妖力によるものだと分かりました」
「なに?妖の炎だと?」
「ええ、ですが驚くのはここからです」
雨龍は資料と別にスプレー缶を持ってくれば用意した木材にそれぞれスプレーした。すると一つの木材だけが激しく燃え上がったのだ。
「な、おい実巳、この匂い…」
「見ての通り、お前の妹の血だ。幸華様から事前に採取した血液を木材に塗り付け乾燥させておいた。燃えない方はただの木材だ」
「血液にのみ反応する妖力火か」
「ええ。妖の中にはある特定の物だけを発火させる術に優れた者もいます。今回なら人間の血液がこれに該当します」
基本旧館には幸華しか人間はいない。
それを狙っての計画的犯行が高い。
「このスプレー缶の中身は火に精通する妖の妖力を含んでいます。種類は缶に寄って違い、人間の血液に反応するもの・そうでないもの。それも組み合わせ次第で変わってきます」
「なら幸華の血液と反応する妖力を調べ、疑わしい妖の候補リストをあげろ」
「幸華様には?」
「今は黙っておいてくれ。これ以上怖がらせたくない」
史文は燃えた木材に目をやれば溜息をついた。
大切な人を傷つけた犯人を何としても自分の手で見つけ出したかった。



