あの夢のように桜が舞う並木道を
2人で帰っていたら、拓真が言った。
「好きな人ができた。別れよう」
優しい笑みを浮かべて拓真が紡ぐあのセリフ。
「え?」
あの時みたいに何も言えずに、
わたしはただ立ち尽くす。
拓真は踵を返して、
私と同じ制服を着た
女の子の元へ行ってしまう。
絶望がわたしを包む。
やっぱり、あの夢の通りになってしまった。
運命なんて変えられなかった。
……変えられなかった?
わたしは、運命を変えようと努力したの?
自分が情けない。
拓真の優しい笑顔、手を繋いだ感触、
初めて告白した時の拓真の反応。
その全てが愛おしくて、手放したくなかった。
涙が花びらの上に落ちる。
その時、何かの糸が切れた音がした。
どうして、わたしが後悔しないといけないの。
「さよならなんて言わないでよ!!」
思いっきり叫ぶと拓真が振り向き、
周囲の人の視線が集中した。
「何なの、突然別れようって!
なんで夢の通りのこと言うの!!バカ!!」
乱暴に目元を拭うけど涙は止まってくれない。
「うぅ〜拓真のバカっっ!!!」

