私は深くため息をつく。
今朝は散々な目に合った。
結局朝のホームルームに間に合わず、
拓真と2人してみんなの前で怒られたし。
それに。
『別れよう』
拓真が夢の中で口にしたセリフが思い浮かんだ。
それは紛れもなく、別れのセリフ。
私と拓真は別れることに
なってしまうんだろうか。
そう思うと泣きたくなる。
たかが、夢でどうしてそんなに思い悩むのかと
思う人もいるだろう。
それは私が予知夢を視ることができるからだ。
始まりは12歳の時、クラスメイトが
怪我をする予知夢を視た。
その翌日、クラスメイトは体育の時間に
転んで怪我をしたのだ。
夢で視たのと同じように。
最初は気味が悪かった。
だけど、時間とは恐ろしいもので
時が経つにつれ、自分の能力に慣れてしまった。
だけど、この予知夢だけは慣れない。
拓真に好きな子ができて、
私と別れてしまう未来が
来るなんて信じたくない。
だけど、予知夢で視た運命は変えることができない。
これは天見家の呪いだ。
お父さんも、お兄ちゃんも、お爺ちゃんも
みんな分かっていることだ。
どんなに残酷な未来でも悲惨な未来でも
みんな口を閉ざし、運命を受け入れてきた。
だから、結局私もこの運命を
受け入れるしかないのだろう。

