それから。
*
「こころ先輩!」
「乃愛ちゃん。どうしたの?」
「ここ、リズムがよく分からないので、教えてほしくて……」
「全然いいよ、どこ?」
里奈先輩が卒業して二ヶ月後。
わたしは愛良先輩や、一個下の後輩、乃愛ちゃんと一緒にトランペットを頑張っている。
「ここは、スタッカートだね。わたしが吹いてみるから、聴いてて」
「はい!」
わたしが乃愛ちゃんが分からないと言っているところを吹いてあげると、乃愛ちゃんは感心していた。
「すごいです。さすがこころ先輩。分かりました、ありがとうございます!」
「いえいえ。わたしなんかより全然愛良先輩のほうがすごいよ」
「確かに、愛良先輩の音は綺麗ですけど……今年からトランペットを始めたわたしからすれば、こころ先輩もとっても上手です。見習います」
そう言ってくれて、わたしはとても嬉しかった。
初めて後輩という存在できたので、わたしもやり甲斐があると感じている。人に教えることで自分も成長できるから。
ふと、乃愛ちゃんがわたしのことをじっと見つめているのが気になった。
「どうかした?」
「あ、す、すみませんっ。こころ先輩って本当に優しくて憧れるなぁと思って」
「あはは、ありがとう。私も入部したての頃は全然憧れる存在じゃなかったよ。卒業した先輩にも前はおとなしかったよねって言われたし」
「えぇ、そうなんですか! 意外です。先輩を変える何かがあったんですか?」
そのとき、里奈先輩が言っていたことを思い出す。
わたしは笑って答えた。
「たぶん、トランペットがわたしを変えてくれたんだと思う」
「トランペットが……。なるほど、こころ先輩らしいですね」
乃愛ちゃんは微笑んだ。
「教えてくれてありがとうございました!」
「いえいえ。一緒に頑張ろうね、コンクール」
「はい!」
今年こそは絶対、支部大会に出場するんだ。
去年のあの悔しさは、もう経験したくない。だから絶対に目標を叶えたい。
……里奈先輩も、きっと応援してくれているはず。
あの大きな青空へ、わたしはまだまだ羽ばたきたいからーー……!
*
「こころ先輩!」
「乃愛ちゃん。どうしたの?」
「ここ、リズムがよく分からないので、教えてほしくて……」
「全然いいよ、どこ?」
里奈先輩が卒業して二ヶ月後。
わたしは愛良先輩や、一個下の後輩、乃愛ちゃんと一緒にトランペットを頑張っている。
「ここは、スタッカートだね。わたしが吹いてみるから、聴いてて」
「はい!」
わたしが乃愛ちゃんが分からないと言っているところを吹いてあげると、乃愛ちゃんは感心していた。
「すごいです。さすがこころ先輩。分かりました、ありがとうございます!」
「いえいえ。わたしなんかより全然愛良先輩のほうがすごいよ」
「確かに、愛良先輩の音は綺麗ですけど……今年からトランペットを始めたわたしからすれば、こころ先輩もとっても上手です。見習います」
そう言ってくれて、わたしはとても嬉しかった。
初めて後輩という存在できたので、わたしもやり甲斐があると感じている。人に教えることで自分も成長できるから。
ふと、乃愛ちゃんがわたしのことをじっと見つめているのが気になった。
「どうかした?」
「あ、す、すみませんっ。こころ先輩って本当に優しくて憧れるなぁと思って」
「あはは、ありがとう。私も入部したての頃は全然憧れる存在じゃなかったよ。卒業した先輩にも前はおとなしかったよねって言われたし」
「えぇ、そうなんですか! 意外です。先輩を変える何かがあったんですか?」
そのとき、里奈先輩が言っていたことを思い出す。
わたしは笑って答えた。
「たぶん、トランペットがわたしを変えてくれたんだと思う」
「トランペットが……。なるほど、こころ先輩らしいですね」
乃愛ちゃんは微笑んだ。
「教えてくれてありがとうございました!」
「いえいえ。一緒に頑張ろうね、コンクール」
「はい!」
今年こそは絶対、支部大会に出場するんだ。
去年のあの悔しさは、もう経験したくない。だから絶対に目標を叶えたい。
……里奈先輩も、きっと応援してくれているはず。
あの大きな青空へ、わたしはまだまだ羽ばたきたいからーー……!



