広〜い
芝生広場から帰ってきて、シャワー浴びて、

 
 そんで、今、夜。俺、マンションのベッド。寝転がってる。
 天井ぼーっと見てて、気づいたら時計の針、一周とちょい。
俺が。
ぜんっぜん、寝れねぇ。

 今日は、なんか……マジで濃すぎた。

 任太朗の顔。声。言ったこと。やったこと。全部、フラッシュバックしてくんの。勝手に。

「ピョンピョンオシャレ同好会」とか、どーでもいい。

 ……てかもう、任太朗のこと以外、どーでもいいんだよ、今。
 俺の頭ん中、ずっとグチャグチャループ。マジ、止まんねぇ。

 任太朗に置かれてたんだのに。

 あいつ、裏じゃいろいろ見抜いてて。
しかも俺になんにも言わずに、勝手に守ってて。
 ……って、なんなん。
 
 ママにもパパにも、大事にされてきたし、ちゃんと守られてきた。
 
俺、恵まれてんの、自覚してる。
でもさ、それとは、なんか違うんだよ。

 いや、これって──ただの安心感とか、守られてん感じとか、欲しがられてん感じとか
そーゆーの……?
 優越感? 高揚感?

 ……なんか、気分いいんだよ。めちゃくちゃいい。
 
 それだけじゃなくて。
任太朗に、好かれてるってのが──嬉しいんだよ。

 胸、ギュってしてて、血管、詰まんのかよ俺!? ってぐらい、ヤべぇ。

 
 そうだ、今までの「誰でもいい」じゃねぇ。
任太朗じゃなきゃ、ダメなんだよ。

 無表情で、無口のくせに。

 でも、ちょっとずつしゃべってくれてさ。
で、笑ったんだよ。レアに。レア笑。

 なんつーか、あれだよ──
九年分の空白、ちょっとずつ埋まってってる感じ? 

 懐かしい、だけじゃなくて。
 
 ……なんか、ちゃんと「今」なんだよ。任太朗との時間が。

 今日みたいに、一緒に笑って、走って、話して、

 ドキドキの質……意味わかんねぇくらいバクバク。

 
 いやもう、ただ隣にいるだけでも、楽しかったんだよ。嬉しかった。
 
……離れたくなかったんだよ。

 それって、これって──
──「好き」ってやつじゃね?
 てか、「好き」だろ。

 あーもう、そうだよ。これが好きって気分だ!
 
 
 やべ。マジで、好き! 俺、任太朗のこと。

 心臓、胸、内側からギュンギュンしてて、って?  なにこの現象。すげぇじゃん。

 任太朗は、俺のこと──恋愛として好き、なんだよな。

 じゃあさ、俺のこの「好き」は? え? なに? それも恋なの? は?
 恋ってことで……いいのか!? いいのか俺!?
 
 
──でも!  任太朗、男だぞ!?

 「男と男って、どうなるん?」

 好きって止まらないのが恋!? 蓮が言ってたよな。


 
 ──じゃあこれ、止まんねぇし。
任太朗のことばっか考えてんだし。

 
 ……え? じゃあ、これも恋なのか??

「あああああ~~~ッ!!!」


 気づけば、頭ん上にあった枕、ガシィッて抱えて、


「や~~~~~~~~~ッ!!!」

 
そのまんま、ベッドでゴロンゴロン転がってて。

 
顔も、体も、全身、熱ッつ!!
 エアコン、最低の16℃設定してんのに!? 効いてねぇ!!

 いやもう……
……わかんねー。

 恋とか意味不明だし、全部バグってんだけど。

 でも、ひとつだけ──ちゃんと、わかる。

 ──任太朗のこと、好き。たぶん、
どーしようもねぇくらい、好き。
 ……マジか、俺。

「うわああああ~~~~!!!」

 
枕に顔、ズボォッ!!