彼らの正体が判明してから数日とてもこの村も居ずらくなって来た。


「ね、ちょっといい?」



「どうした?」



「あの…ね、今日は一緒に泊まれないかな?」



「い、いきなり何?」



「私…話したい事があるから…」



「?分かった…」



一体何だ?改まって…いや、まさか告白?いやいやそれはない!と自分に言い聞かせながらゆぴぴと共に宿の中へと足を踏み入れた。



食事も終わり寝支度も終わり後は寝るだけとなったところでゆぴぴは口を開いた。



「フウタ」



「ん?」



俺がゆぴぴの方を向くとゆぴぴはそのまま俺を押し倒す。



「ゆぴぴ!?」



「私フウタが好き…レイって人には取られたくない」
好き?どういう意味なんだ?友達として?異性として?



確かにゆぴぴの事は可愛いし、守りたくなるし、一緒に居るのは楽しい…



一人で悩んでいるとゆぴぴが口を開く。



「急がなくてもいいから私の事を異性として見て欲しい」



「ゆぴぴ」



「…やっぱり私今日は別の部屋に泊まるね!」



俺の声を遮るようにゆぴぴが部屋を出ようとベッドから立ち上がる。



「分かった…おやすみ」



「おやすみ」



部屋の扉が閉まると思わず溜息が漏れる。



「なんで…俺なんだ?」



俺はどうしたいんだ?



そんな事を延々と考え続け気付けば夜も更けて日も昇り朝が来ていた。



「…おはよー」



「おはよう」



ゆぴぴも昨日は悶々としていたのだろうか?額には隈が出来ているような気がする。



「あの、さ…」



「どうしたの?」



「昨日の件で返事がしたいんだ」



「…!分かった」



「俺ゆぴぴと一緒に居るのが楽しいこれからもずっと一緒に居たい俺と…結婚して欲しい」



「本当に…?本当に私で良いの?」



「うん、ゆぴぴが良い」



「…!ありがとう…っ!」



それから数日後俺が”旅に出たい”と話すとゆぴぴは”景観の良い所で式をしたい”と言い出しばたばたと慌ただしい日々が過ぎて行った。



その後レイさんや非那月さんに結婚の報告と引っ越しについての報告をすると非那月さんが”きっとここで巡り会えたのは運命だならば別れは楽しく宴をしよう!”と言い出し次の日の夜には宴の準備が終わり宴が始まった。



「「カンパーイ!」」



あちこちで乾杯の音頭が聞こえる。



「隣、いい?」



「あぁ」



ゆぴぴが俺の隣で林檎のジュースを飲みながら話しかけて来る。



「出発は明日の朝でしょ?」



「うん」



「だから、最後にここでの思い出が欲しいんだ」



「…?うん?」



「だから…高台に今から行かない?」



「それはいいけど…どうして高台?」



「高台なら夜景が見れるじゃない?」



「確かに」



「じゃ、行こう!」



ゆぴぴに手を握られ進んで行くと村の高台に着く。



「…綺麗…」



思わず呟いた俺にゆぴぴは微笑みながら



「綺麗だよね」



と返した。



「ここいつ知ったの?」



「昨日非那月さんに教えて貰ったの。嫌な事があった時にここに来るんだって」



「そっか…」



そうして俺達は暫く夜景を眺めてから村の広場へ戻った。