そうっと見上げた先には、佐渡の笑顔があった。
どことなくまだちょっぴり困った感じが残っていたけれど、怒っている雰囲気は消えている。呼びかける声も、先ほどに比べて優しい。
「今はそれでもいいよ」
「……今は?」
引っかかった言葉を問い返すも、佐渡はそれには答えずに続けて言った。
「でも、世那はこれからも俺だけを見て、俺だけに可愛いところを見せてくれないとダメだよ」
わかった?と聞かれても、ちょっとよくわからなくて頷けない。
きょとんとする吉野を見て、佐渡はしばし何かを考えるように黙り込んだあと「よし、こうしよう」と楽しそうに口を開いた。
「今後世那が俺以外の人の前で可愛い顔をする度に、罰として校内のとても目立つところでハグします。公開ハグの刑に処します」
「なっ!!?」
何を言われているのかよくわからないうえに、意味不明な罰まで勝手に決められて、吉野は困惑に目を白黒させる。その様子を、佐渡は可笑しそうに眺めていた。
あー、ほんと可愛い。と呟く声が、くすくす笑いに混じって吉野の耳に届いた。
どことなくまだちょっぴり困った感じが残っていたけれど、怒っている雰囲気は消えている。呼びかける声も、先ほどに比べて優しい。
「今はそれでもいいよ」
「……今は?」
引っかかった言葉を問い返すも、佐渡はそれには答えずに続けて言った。
「でも、世那はこれからも俺だけを見て、俺だけに可愛いところを見せてくれないとダメだよ」
わかった?と聞かれても、ちょっとよくわからなくて頷けない。
きょとんとする吉野を見て、佐渡はしばし何かを考えるように黙り込んだあと「よし、こうしよう」と楽しそうに口を開いた。
「今後世那が俺以外の人の前で可愛い顔をする度に、罰として校内のとても目立つところでハグします。公開ハグの刑に処します」
「なっ!!?」
何を言われているのかよくわからないうえに、意味不明な罰まで勝手に決められて、吉野は困惑に目を白黒させる。その様子を、佐渡は可笑しそうに眺めていた。
あー、ほんと可愛い。と呟く声が、くすくす笑いに混じって吉野の耳に届いた。



