君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「……お、れは……」


それでも、何か言わなければと口を開いた。開いた口から、零れ落ちるように声が出た。でもやっぱりその先は、どんな言葉を続ければいいのかわからなかった。

先ほど佐渡は吉野を見て、“泣きそうな顔をしている”と言っていたけれど、吉野にしてみれば今の方がずっと、泣きたいような状況だった。
昔の吉野だったなら、もうとっくに泣いていただろう。小学生頃までの吉野は、とても泣き虫だった。
それが原因でからかわれ、また泣いて、よく佐渡に慰められていた。からかわれているところを、助けてもらったことも何度もあった。

その度に佐渡は優しい笑みを浮かべて言うのだ。

――「あんないじわるなやつらの言うことなんて気にしちゃダメだよ。たとえクラスで一人ぼっちでも、世那には俺がいるんだから」

小学生の頃に比べて、段々と一緒にいる時間は減っていったけれど、それでも一緒にいること自体は変わらない。
それでよかった。二人の関係性に変化は訪れなくても、一緒にいられるならそれでよかった。