君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「教室出たら廊下の窓から世那が見えて、いつも通り一人かと思ったら女子と一緒に歩いてるからびっくりしちゃって。二人してどこに行くのかと思ったら、向かった先は誰もいない教室でしょ?本当に大したことない用事だったら、その場で済ませられるよね。わざわざ誰もいない場所に移動したのは、誰にも聞かれたくない用事だったからなんじゃないの?」

「そ、れは…………」


じわじわと追い詰められていくのを感じる。

元より友人のいない吉野は言い合いはおろか普通の会話すらあまりしてこなかったから、普段から大勢と会話して喋り慣れている佐渡にはどうやったって敵わない。
佐渡とは軽い言い合いをしたりもするけれど、それが出来るのは佐渡が笑っているからだ。
目も口元もちゃんと笑顔で、からかうような雰囲気を出していて、言い返せるような空気の中にいるから、吉野も言葉がするりと出てくる。
だから、そうではない今のような状況では、吉野は蛇に睨まれた蛙状態で、言葉が喉でつかえたように出てこなかった。


「世那は俺のことが好きなんだから、俺以外に目移りしてたらダメでしょ」


佐渡の突然の言葉に、吉野は「……え……」と零して固まった。