君の声は甘く優しく、募る想いは切なく苦しく

「ほんとはさ、告白されてたんじゃないの?」


何度目かの吉野の誤魔化しの言葉のあとで、佐渡が言った。
その言葉に吉野は驚いて目を見張り、ふるふると首を横に振る。
本当は“違う”と声に出して否定したかったが、佐渡の纏う空気があまりにも不機嫌そうで、なんならちょっぴり怒っているくらいで、その空気にやられた吉野は首を横に振るのが精一杯だった。

確かに放課後の教室に二人きりという状況は、シチュエーション的にはそれっぽいけれど、そうではないのだ。


「前にもあの子と二人で話してたよね、生徒玄関のところで。まああの時は、周りに他の女子もいたけど。でも話をしていたのは、世那とあの子だった」


その時も佐渡は、告白されていたのか?なんて聞いて来たけれど、あの時は佐渡がちゃんと笑っていたから、今みたいに怒気を含んだ空気を醸し出していなかったから、否定しやすかった。声を大にして否定出来た。でも今は……――。